本稿の内容は次の通りです。
■問題集は、3回やればオッケー?
■では、何回やればいいのか?
■いろんな問題をたくさんやった方がいいのでは?
■まとめ
■3回やればオッケー?
よく、「3回は回しましょう」というアドバイスがなされます。
それはもちろん間違ってはいません。
以前、司法試験の合格者の話を聞いたことがあります。私と同世代の方で東大合格者数の上位に入るような高校ご出身。なおかつ同級生から「あいつはモノが違う」と言われていたそうです。
そんな方でも司法試験の受験勉強で「同じ本を4回は読む」とおっしゃっていました。
つまり、「3回は回しましょう」というアドバイスは、正確には
「3回はやらないとどんな天才でも身につくことはない」
という意味だと理解するべきでしょう。
私自身、「3回やればいい」という言葉を信じて、とりあえず3回やって次に進めたはいいものの、1か月後に全く記憶になくて愕然としたという失敗があります。
同じ失敗をあなたにはしてほしくありません。
■では、何回やればいいのか?
問題集を解く回数は、それこそ個人差があります。論点ごとの好き嫌いもあるはずです。
ですから、回数にこだわってしまうと、できているものをまだやっている、あるいは逆にまだ仕上がっていないのに回数に満足してしまうという事態が発生します。
では、「この問題はもう解かない」と言えるのはどのような状況になったときなのでしょうか?
目安としては
「見た瞬間手が動き、3分以内に解答にたどり着けるかどうか?」
です。
試験会場で使える知識は「反射的に無意識に体が反応する」というレベルのものだけです。
スポーツで考えてみるとわかりやすいのですが、ピッチャーが投げた球を打つときに、バッターは考えながらバットを振っていないはずです。
もし考えていたら、その間にボールはミットに収まってしまっています。
これと同じで、公務員試験に当てはめてみると、試験会場では考えないレベルにまで練習したパターンだけが時間内に使える知識だといえるでしょう。
■いろんな問題をたくさんやった方がいいのでは?
たくさん問題を見た方が安心という方もいらっしゃるかもしれません。
もちろん、必要なパターンを網羅するのも大事です。
それについては、公務員試験の数的処理のパターンが100程度に絞れる点から、それぐらいのパターンを見ておく必要はあります。
網羅性の高い参考書を一通りやったにもかかわらず、模擬試験や、本屋で立ち読みをしてみて、もし、「見たことがない」と思うのであれば、次の可能性が考えられます。
①新傾向度が強く、初見に近い人が大半である。
②やったことがあるパターンなのに、自分にはそう見えていない。
①の場合は、多くの受験生が同じ状況だと考えられますから、試験当日であれば焦る必要はありません。(模擬試験等であれば、復習すればよいだけですしね)
後回しにしましょう。
解けないといけないのは、多くの合格者が解く問題だけです。
ただ、新傾向度が強いと言っても、その問題が完全な「無」から生じているわけではありません。
見た目や聞き方が「あれ?」というような問題であっても、解いている過程で既に学んだパターンが使えることに気づく場合があります。
②の場合ですが、やったことがあるの「やった」のクオリティが低い、あるいは自分自身の中で完全に消化しきれていないことが大半です。
また、論点をまたいで問題が作られていた場合、どちらかがぐらついていると、問題全体が見えなくなってしまいます。
ただ、これも学習の途中ではよくあることです。
■まとめ
数的処理は、特に仕上がりに時間のかかる科目です。
例えば、文章理解であれば、何度も同じ問題を解くよりも、自身の選択ミスのクセを問題で確認したら、別の問題に向かった方が、効率はいいと言えます。
その意味で数的処理は学習の進み方が遅く、焦りを感じる時期もあるかもしれません。
しかし、多くの受験生は同じ状況になります。
何ページやったか、何問やったかではなく、「見た瞬間に解法がイメージできる問題が何パターンあるか?」
という基準を持って学習を進めていきましょう。