☆初めに☆
本稿では、消防士、消防官の採用試験における資格加点制度についてみていきます。
資格加点制度とは、特定の資格・経験を持つ受験生に試験受験の際に点数をプラスする仕組みのことを指します。
すべての自治体で加点が行われるわけではありませんが、消防士を目指すにあたってプラスになる要素が見えてくるはずです。
■救急救命士
救急救命士での加点は、もっとも消防士らしいといえるかもしれません。
救急救命士加点
救急救命士の資格を有する人又は受験資格を取得する見込みの人は、一次試験に点数加点あり。
（令和2年度西予市消防職員採用候補者試験について）
■語学
例えば、熊本県は上級消防職で英語、中国語、韓国語で加点を実施しています。
ただし、熊本県の場合、他の職種と共通での制度ですから、要求される語学のレベルも少し、高くなっています。
例えば、英語では実用英語技能検定 １級、準１級 以上。ＴＯＥＩＣ（ＩＰテストを除く。） ではスコア 730 点以上となっています。
東京都は、さすが国際都市。上記の言語以外にも、スペイン語、イタリア語、ポルトガル語、ロシア語、タイ語、ドイツ語、フランス語も加点対象です。
文章理解の講義をしていて「英語が苦手」という方にお会いすることもあります。
しかし、これを見ていると、「消防を目指すなら語学ぐらいやらないと」とアドバイスしたほうがいいような気すらします。
消防を目指す大学生の方は1,2年生の間はTOEICをガッツリ学んで730点を取る、というのも戦略の一つとしてありかもしれません。
文章理解での英語の得点にもつながりますしね。
■スポーツ
中学校卒業以降、全国規模で行われるスポーツ大会に選手として出場した経験のある人は、一次試験に点数加点あり。
（令和2年度西予市消防職員採用候補者試験について）
具体的な段位を加点対象としている警察官採用試験と比べて、「全国大会経験」が一般的に消防士の採用試験では加点対象となる場合が多いようです。
なお、消防では採用試験に、体力検査もあります。運動部等で日常的に体を使っている方は大丈夫でしょうが、そうでない方は、注意が必要です。
■音楽
東京消防庁の採用では、高校生以降の全国大会金賞相当も加点の対象としてくれます。
■その他の資格
東京消防庁の採用では、下記の資格が加点対象とされています。見慣れないものも多いですが、例えば、私の場合、大型自動車免許を「家業の関係で取った」なんて方にお会いしたことがあります。バスを使ってお客さんを送り迎えすることが必要だったそうです。
111 大型自動車免許（第一種） 112 大型自動車免許（第二種） 121 事業用操縦士（回転翼航空機） 122 航空整備士（回転翼航空機）（一等） 123 航空整備士（回転翼航空機）（二等） 124 海技士（航海）六級以上 125 海技士（機関）五級以上 131 救急救命士 141 消防設備士甲種特類 142 危険物取扱者甲種 151 建築士（一級） 152 建築士（二級） 153 電気主任技術者（第一種） 154 電気主任技術者（第二種） 155 特級ボイラー技士 171 総合無線通信士（第一級） 172 総合無線通信士（第二級） 173 システム監査技術者 174 公認情報システム監査人 191 司法書士 192 手話通訳士
（出典：東京消防庁採用ページ）
具体的に、今持っていなくても、加点される資格から採用後どのような勉強が必要になるのかも少し見えてくることがあります。
危険物や電気に関する知識が活用できそうですね。そう考えると、消防の採用試験で自然科学が他の試験種に比べて点数が高いとしても、まったく疑問ではありません。
☆まとめ☆
いかがでしたか？
仮にあなたの志望先にこのような加点制度がなかったとしても、消防士としてはどのような人材を求めているのか、どのような能力が評価されるのかというものの一端は見えるはずです。
もし、興味のありそうなものがあれば、大学在学中に取り組んでみるのも面白いかもしれません。
なお、本文内に記載した自治体が同じでも、採用区分によって、あるいは年度によって加点対象が異なることもありますので、出願の際にはそこをご留意ください。
（参考サイト）
西予市消防職員採用候補者試験ページ
https://www.city.seiyo.ehime.jp/kakuka/shobo_honbu/osirase/7975.html
熊本県職員採用ページ
https://www.city.kumamoto.jp/common/UploadFileDsp.aspx?c_id=5&id=2446&sub_id=293&flid=201100
東京消防庁採用ページ
https://tfd-saiyo.jp/assets/ver2020/pdf/tfd_recruit_guide_123rui.pdf
