☆始めに☆
勉強していてなかなか実力が上がっていく実感が伴わないと、「自分には数的処理のセンスがないのではないか?」「結局、数的はセンスのある人間しか点が取れないのでは…」なんて思い始めてしまう方がいらっしゃいます。
「数的を全捨てしてしまおうか…」などという極端な思想にも染まりかねません。
■センスを問う意味ってそもそもありますか?
■じゃあ、数的処理では何を問うているのか?
■センスの正体とは?
■まとめ
■センスを問う意味ってそもそもありますか?
教養型の試験であれば、配点の約4割を占めるのが数的処理であるのはご存じの通りです。
数的処理が本当にセンスを問うのであれば、公務員を採用するサイドは「センスのある人間」「生まれながらにして何かを持っている人間」を採用したいというメッセージを発していることになります。
しかし、それって本当に許されるのでしょうか?
行政を担当する職員は公平・公正に採用され、基本的には誰しもに門戸が開かれている必要があります。
問題がセンスを問うようなものであれば、そもそも「誰しもに受験機会がある」という建前に反してしまいはします。
事実、数的処理試験の問題集を一通りご覧いただければお分かりになると思いますが、計算に必要な知識の多くが中学校や、高校で学ぶものが多くを占めています。
高校進学率が95%を超える今、大学での専門知識や高度な高校数学を必要としない試験はまさに誰にも機会を保証している、センスを問うものではないというメッセージと言えないでしょうか?
■じゃあ、数的処理では何を問うているのか?
時間とお金をかけて採用試験を実施するわけですから、ムダなことはしません。ここでいう無駄とは、公務員に向いていない人物を採用してしまう事です。
少し話はそれますが、ある予備校の講師で流行語大賞をとった先生がこうおっしゃっていました。
「現代文をセンスだという人。あの東京大学がセンスで決まってしまうようなものにこれだけの配点を割くと思いますか?」
まさに、公務員試験の数的処理も同じことが言えると思います。
つまり、数的処理は公務員としての適格性を試しています。
良し悪しはさておき、公務員になれば、大量のデータを目の前にすることになります。その文書や数字で与えられる情報を高速にこなすためには、どうしても一定水準以上の計数理解力が必要になるのは納得がいくのではないでしょうか?
我が国の鉱物性燃料の輸入額の推移
(フォーサイト問題集より)
資料解釈の一例です。
Q:1999年から2001年までの各年とも,「天然ガス及び製造ガス」の輸入額は,「石油及びその製品」のそれの35%を超えている。
超えているか、超えていないかだけが聞かれています。ですから、やるべきことは計算ではありません。
一応解説しますが、興味がない方は飛ばしてください。
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まず、「1999年から2001年までの各年とも」と言われているので、超えて無い年が一つでも見つかれば、この選択肢が誤りだと言えます。
よって、見る場所は問題中の赤で示したところ。
こう問われていますが、式を変形すると次のようになります。
天然ガス及び製造ガス > 35%
こう問われていますが、式を変形すると次のようになります。
天然ガス及び製造ガス>石油及びその製品×35%
つまり、 石油及びその製品×35% を計算し、がそれを下回る年を探せばよさそうですよね?
次に、有効数字の考え方(概算)を用いて計算していきます。
1999年に着目し、上3桁だけ使いましょう。
すると、369×0.35=129.15 < 131
となり、1999年には「天然ガス及び製造ガス」の輸入額は,「石油及びその製品」のそれの35%を超えておらず、誤りだと判断できます。
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また、定まっている業務を効率的にこなすスキルが公務員には求められます。税金で生活するわけですから、ムダにだらだらやって残業代をむさぼるのは国民や住民への背信行為です。
ですから、最適な手順を学習する必要、模索する必要に迫られるわけです。一個一個数えていたら日が暮れてしまうと思われる問題も、手順を学んでいくことであっさりと解けた、という体験を受講生の方はなさっていることと思います。
Q:次の図形A~Eのうち,一筆書きができるものを選んだ組合せはどれか。
(フォーサイト問題集より)
受験生であれば、当然当たり前のように奇点を数えますよね。
(補足:奇点、何それ?おいしいの?と思われた方のために補足です。奇数の線が集まっている点を奇点と呼びます。そして、一筆書きができる図形というのは、必ず、奇点は0か2個であるというルールがあります)
その上で、奇点が2つであるAとDが一筆書きができる図形だと判断します。
ちなみに、Aで、赤で示した点は線が3本集まる奇点、Dで示したのは線が5本集まる奇点です。
しかし、数的処理を学んだことがなければほぼ全員が、実際に一筆書きができるかどうか、各図形をなぞって書いてしまうわけです。
これって、時間のムダですよね?
最適手順を学ぶ訓練だと思えばこのような試験が課されるのも合点がいきはしないでしょうか?
■センスの正体とは?
問:次の図のような、一辺の長さが2aの正三角形とその内接する円で構成された斜線部の面積はどれか。
ただし,円周率はπとする。
フォーサイト問題集より
まず、正答する方は問題を見た瞬間にこう見えているという一例を挙げます。
相似のパターンと、円と接線の定理が頭に入っていることが必要です。
つまり、センスがあってなんでも解ける、スラスラ学習が進む方というのは、このように解答手順と呼べるものがたくさん頭の中に入っている人と言えるでしょう。センスと言われるものは多くがトレーニングの量、経験だと言えるわけです。決して生まれ持ったものであはりません。
☆まとめ☆
確かに、時間をさかのぼって小学生から計算のトレーニングを再度積み、センスのカタマリと言われているような人物になることはできません。
しかし、そんな人は決して多くありません。合格に必要な範囲で、速攻で解法が浮かぶだけの技術を身につければいいだけです。
あわてずに、ひとつひとつ、パターンを習得していきましょう。