公務員試験対策講座の講師ブログ

公務員の給料は高すぎる!?

なにかとやり玉に挙げられがちな公務員の給料。
ただ、受験生の中には、その給料に魅かれて勉強を始める方もいらっしゃいます。

では公務員の給料って高すぎるのでしょうか?

一般的に給料はその職務の難度、希少性、リスク等に対して支払われると僕は考えるわけですが、今回は公務員が抱える「リスク」に絞って検証していきたいと思います。

というのは、4月ということもあり、公務員試験の学習を検討している方も多い時期です。
「公務員になるリスク」を検討することで、以下のものを提供できれば、との思いがあります。
① 公務員に相応の報酬が支払われる背景と妥当性の判断材料
② 目指すべきかどうかの検討材料

では早速見ていきましょう。

リスク①「心身に及ぶ危険」
警察官、消防士、自衛官など直接的に身体に危険が及ぶ職種があります。

例えば、警視庁の特殊勤務手当を見てみましょう。

第三条 条例第二十八条第一項に規定する人事委員会の承認を得て規則で定める特殊勤務手当は、次のとおりとする。
一 捜査等業務手当の(3)から(5)まで
二 削除
三 爆発物等処理手当
四 削除
五 死体処理手当
六 深夜特殊業務手当
七 特別救助手当
八 夜間緊急招集手当
九 航空作業手当の(2)
十 削除
十一 小笠原業務手当

(警視庁職員の特殊勤務手当に関する条例施行規則)
https://www.reiki.metro.tokyo.lg.jp/reiki/reiki_honbun/g101RG00002188.html

心身共に、誰でも耐えられるというものではなさそうです。
(血を見るのも苦手な僕には3日も務まらないでしょう…)

リスク②制約される「基本的人権」
全体の奉仕者である公務員には、一般国民とは違う制限がかかることがあり、その代表が基本的人権の制約です。
すなわち「労働基本権」の制約です。
一般企業であれば、この権利によってストライキや労働組合の結成が可能になり、労働者は使用者に対して不当に不利な立場にならないような仕組みになっています。
しかし、公務員はこれの一部、または職種によっては全部が制限されています。

公務員の給料が高い理由の説明としては、一般的にこれが言われることが多いですね。
(僕自身「なんで?」と立ち話で聞かれたらこの理由をいつも挙げています)
事実、憲法上保障される人権が制限されるという事実はかなり大きなものと言えないでしょうか?

その他にも、「政治活動の制限」なんかも公務員には課されます。

リスク③キャリア形成
公務員は異動が多い職業です。
一般企業であれば同一の職種でキャリアを重ねている方も多いでしょう。
中途採用では職種ごとに募集があるため、何をやるかわからないということもあまりありません。
このように、ある程度自発的にキャリア形成をおこなう事が可能です。

しかし公務員では、同じ業務、例えば経理一筋、人事一筋みたいなキャリア形成は難しいと言えます。
もちろん、異動は能力開発、適性の見極めという前向きな内容もありますが、公務員にはこれに加えて「癒着の防止」という要素も加わります。
個人的にはこの「キャリア形成リスク」がかなり大きいように感じます。
ただ資格免許職(薬剤師、栄養士等)の枠での採用であれば、このリスクは軽減されると言えそうです。

リスク④副業の禁止
すべてが禁止されているわけではありませんが、かなりの制約があります。
これも一般企業と比較したときのデメリットと言っていいでしょう。
「副業で、ものすごく稼いでいる」という方は多くは無いでしょうが、報酬面以外でも副業を通じたキャリア形成や、自己実現といった機会を得ている人もいる中、この制約を嫌う人もいておかしくありません。

(下の記事にも公務員の副業に関して記載があるので、興味のある方はご覧ください。)
https://www.foresight.jp/koumuin/column/side-business/

以上のようなリスクが公務員というキャリアには存在します。

これをご覧になって、「あれだけの報酬じゃ全然割に合わないじゃん。絶対やりたくないよ」という方もいらっしゃるはずです。
となれば、それは見方によっては「報酬が高過ぎはしない」という考え方にもつながるでしょう。

逆に「この程度のリスクであんなにもらえるの?」と思った方には、ひょっとすると公務員試験はコスパのいい試験になると言えるかもしれません。

あなたはどうお考えになりますか?