旅行業務取扱管理者講座の講師ブログ

旅行業法Q&A

旅行業法令や約款の学習はお進みでしょうか? 早い方はもうテキスト全体の学習が終わったかも知れませんね。

大半の方は、初めて旅行業法令と旅行業約款・各種約款を学習なさると思います。一度テキストの学習を終えても、日が経つとどうしても知識が薄れてしまうものです。また、実際の試験では巧妙な引っかけ問題が非常に多く、なかなか一筋縄では行きません。

そこで今回からは、実際に受講生の方から頂いたご質問と回答例をご紹介します。分かりにくいものや、ついうっかり間違いやすいものを取り上げますので、問題集を解く際のご参考にしてください。

① 旅行業務に該当しない行為

Q.専ら乗車券、航空券を代理して販売する行為は旅行業に該当しないとされていますが、単に航空券や乗車券を販売するだけの取引を指すのでしょうか。

A.ご質問の通りです。JRの乗車券類や航空券類など、運送機関の乗車券類等を販売するだけの行為は、単純な取引であり、企画や手配を伴わないので、旅行業務には該当しません。
乗車券類の他に宿泊の手配も併せて行ったり、遠足などの貸切バスの手配を行ったりすると、旅行業務に該当します。別な例えでいいますと、他人が作ったお菓子をただ売っているだけの場合と、自分でお菓子を作って販売する行為や、お菓子の中身などに注文をつけてオリジナルのものを売る場合との違いです。

② 書面の交付

Q.旅行に関する相談に応ずる行為を行う契約(旅行相談契約)を締結したときに、書面の交付は必要か不要か、よく理解できません。

A.旅行業者が交付する書面には2種類あります。1つ目は、「契約締結前」に行う取引条件の説明の際に交付する書面(説明書面)と、2つ目に、「契約締結後」に交付する書面(約款でいう契約書面)があります。旅行相談契約を締結したときは、2つ目の「契約書面」の交付は不要ですが、「説明書面」は交付が必要になります。

③ 受託契約

Q.ある問題で、「第1種旅行業者は、地域限定旅行業者の実施する募集型企画旅行について、当該地域限定旅行業者を代理して企画旅行契約を締結する事ができる」となっていますが、そもそも地域限定旅行業者は、自身では募集型企画旅行は実施できないのではないでしょうか。

A.地域限定旅行業者も、拠点区域内に限られますが、募集型企画旅行を実施することができます。具体的には、地域発着型のミニツアーなどが該当します。このツアーを、他の旅行業者と受託契約を結んで代理販売させることが可能です。
すべての旅行業者は、第1種旅行業者を除き何らかの制約はありますが、募集型企画旅行を実施することが可能です。したがって、すべての業務範囲の旅行業者は委託旅行業者となることができ、また受託旅行業者となることができます。委託旅行業者と受託旅行業者との組合せに、業務の範囲による制約はありません。

④ 雑則・罰則

Q.「登録行政庁の行う登録を受けず旅行業又は旅行業者代理業者を営んだ者は、1年以下の懲役若しくは100万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。」という設問のどこが間違っているのかわかりません。

A.この罰則は、無登録営業を行った者に懲役刑と罰金刑を併科するというもので、旅行業者(及び旅行サービス手配業者)のみを対象として適用され、旅行業者代理業者には適用されません。該当する旅行業法の条文は第75条第1号で、そこには「第三条(登録)の規定に違反して『旅行業』を営んだ者」とあり、旅行業者代理業者が含まれていません。
直感的には、旅行業者代理業者も無登録であれば同じように罰せられそうです。しかし旅行業者代理業者は、必ず所属旅行業者に所属しなければなりません。所属する際には、当然ながら登録状況等の身元確認があり、無登録の旅行業者代理業者を旅行業者が所属させることはあり得ないからです。そのため、旅行業者代理業者は事実上無登録営業ができません。
ただし、不正な登録を行った者については、旅行業者代理業者も懲役・罰金が併科されることがあるので、大変まぎらわしい規定となっています。

次回は、約款のQ&Aです。