旅行業務取扱管理者講座の講師ブログ

総合旅行業務取扱管理者試験実施結果の分析

 昨年の12月14日に、令和4年度の総合旅行業務取扱管理者試験(10月23日実施)の合格発表がありました。今回は、日本旅行業協会が公開した実施結果を分析してみます。試験直後に公開した弊社の講評もご参照下さい(https://www.foresight.jp/ryokou/sokuhou/sougou/)。

1.受験者数が減少
 令和4年度の受験出願者総数は6,488名で、前年(8,356名)より約1,900名減少しました。昨年度も大きく減少しましたが、やはり今年もコロナ禍の影響が大きかったものと思われます。このうち受験区分A(全科目受験者)は2,875名(前年3,663名)、受験区分E(国内旅行業務取扱管理者有資格者)受験者は2,317名(同2,497名)でした。その他の試験区分でも減少が見られますが、特に全科目受験者での減少が目立ちました。

2.合格率がアップ
 全科目受験者の合格率は13.5%で、昨年(6.2%)の倍以上となりました。また、受験区分Eの国内有資格受験者(2科目免除)は同35.7%で、こちらも前年(17.6%)の倍増となりました。実は、私(相馬)は試験直後の講評で、合格率は二ケタに届かないだろうと予想していました。実務科目に難問が多かったことが理由なのですが、結果は大躍進となりました。どうも、歳を取ると悲観的になっていけませんね。お詫びいたします。

3.要因分析
 試験問題全体の難易度は昨年よりも易化しましたが、大きく違うものではありません。合格率アップの理由は、実務科目について、しっかりと対策を取られた方が多かったことが要因の一つと思います。受験区分のうち、法令・約款若しくは約款のみの受験であった受験者(受験区分D及びF)の合格率は、前年を若干下回っています。この2科目は、前年よりもやや難化したといえます。しかし実務科目を含んだ受験区分では、ほとんどが前年の合格率を上回りました。受験区分Eは前述の通りで、受験区分B(法令・約款・国内旅行実務の3科目受験)では前年の2.7倍の合格率となっています。昨年は、実務科目で受験者の皆さんの大健闘が目立った試験だといえるでしょう。

4.今後の対策
 実務科目ではここ毎年、従来の傾向には見られない難問(言い換えれば、重箱の隅的問題)が見られます。受験者にとっては、今まで「重要」「必須」と位置づけられていた知識も確信が揺らぐものです。また、近年の超難問レベルを、どのように学習していけばよいのか、どこから(どこまで)手を付ければよいのか、迷いが生じることでしょう。これらは私たち講師泣かせの課題でもあります。
 しかし、すべての問題が「難問」というわけではありません。毎年手こずる実務科目でも、少なくも6割は並レベル、若しくはやや難しいレベルで、いわゆる「コア」と位置づけられる問題です。これらのコア問題で絶対にロスしない力が一層強く求められるでしょう。
 最近3年間の合格率(全科目受験者)は、18.5%→6.2%→13.5%と乱高下しています。円相場どころではないですね。1年で2倍も3倍も合格率が違うような試験問題は、公平・公正の観点からいかがなものか、疑問を感ぜざるを得ません。受験される方は、「その年」が勝負なのですから。問題の品質が安定しないならば、宅建のような相対評価方式も考慮に値すると思います。