旅行業務取扱管理者講座の講師ブログ

国内運賃料金Q&A(3)

ご質問全体の中で、最も多いのはJR運賃料金に関するものです。その中でも群を抜いて多いのが、特急料金、グリーン料金等の各種料金の取り扱いです。料金にも例外規定が多く、なかなか理解しづらいものです。そこで、今回は料金に関するQ&Aをお届けします。

Q1.特急料金は、どのような行程でも必ず営業キロで算出するのでしょうか? 換算キロ、擬制キロで計算するのは運賃だけなのでしょうか

A1.特急料金は、全国どこの区間でも必ず営業キロで計算します。グリーン料金、グランクラス料金も同様です(ただし寝台料金は固定料金です)。
実際に私たちが特急列車を利用して旅行するときには、乗車券と特急券の両方が必要になりますが、このときに、地方交通線区間が含まれるのであれば、運賃は換算キロや擬制キロ又は運賃計算キロを用いて計算します。
しかし、同じ区間であっても、料金計算は営業キロで計算することになります。有効期間や往復割引、学生割引を適用する場合も、必ず営業キロです。換算キロ、擬制キロ、運賃計算キロは、「運賃計算のみ」に用いるキロ数なので、これらのキロ数で料金を計算しては誤りです(試験ではよくある引っかけです)。
何を求めるかによって、同じ区間であっても用いるキロの種類が異なります。

Q2.2つ以上の列車を乗り継ぐときに、グリーン料金を合算できるときと分けて計算するときの違いは何ですか?

A2.基本的に、「同一JR会社区間内」で新幹線同士を乗り継ぐ場合は、1本の列車とみなし、通しの料金が適用されます。いずれも改札を出場せず乗り継ぐことが条件です。
例)東北新幹線区間内、上越新幹線区間内、九州新幹線区間内
  北陸新幹線で、東京〜上越妙高の区間内又は上越妙高〜金沢の区間内を利用するとき
※例外として、東海道・山陽新幹線にまたがる場合や、在来線特急列車の特定区間を利用するときは、通しの料金を適用します。

以下の場合は通し料金が適用できず、列車ごとに別々に料金を計算します。
 ①異なるJR会社にまたがって利用する場合(例:東京駅で乗り継ぐ場合)
  ※以下の行程では、通し料金は適用できませんが、特例計算により料金が低額になります。
   東北新幹線と北海道新幹線にまたがる場合(新青森駅をはさむ)
   山陽新幹線と九州新幹線にまたがる場合(博多駅をはさむ)
   北陸新幹線で、上越妙高駅をはさんで利用する場合
 ②同一方向でない場合(上りから下り、下りから上りに乗り継ぐ)
 ③新幹線と在来線を乗り継ぐ場合
異なる会社間かどうか判断するために、会社間の境目となる駅を覚えておきましょう(新青森、東京、上越妙高、博多)。

Q3.次の行程の特急料金の計算のしかたを教えてください。
(通常期)東京-(のぞみ号)-新大阪-(ひかり号)-姫路 ※全区間普通車指定席利用
(資料)①東京〜姫路間の「ひかり・こだま」の特急料金 5,920円
    ②東京〜新大阪間の「ひかり・こだま」の特急料金 5,490円
     ③東京〜新大阪間の「のぞみ」の特急料金 5,810円

A3.「のぞみ」と「ひかり」の乗り継ぎは、料金計算の定番問題です。このような場合、基本となる特急料金は、「ひかり・こだま・さくら」の料金です。これに差額を加算する形で全区間の料金を算出します。
なお、「のぞみ・みずほ」の特急料金は、「ひかり・こだま・さくら」の料金に差額を加算した額になっています。時刻表にも、「のぞみ」を利用した場合の加算額表が計算されています。
具体的には、全区間に適用する特急料金(資料の②)に、資料②と③の差額を加算する手順で計算します。これを式で表すと、「①+(③-②)」となります。数値を入れると、5,920円+(5,810円-5,490円)=6,240円です。差額の部分(カッコ内の計算)は、320円です。
算出した特急料金(6,240円)は、1個の料金とみなしますので、最繁忙期/繁忙期/閑散期には、この料金に+400円又は±200円を計算します。また、グリーン車を一部でも利用している場合には、この料金から530円を差し引きます。シーズンにより、+400円又は±200円も重ねて計算しますのでご注意ください。