ラオス教育支援プロジェクト

2017年10月 ヴァンプアイ校 新校舎開校式

笑顔が溢れた開校式

フォーサイトにとってラオスで三番目となるヴァンプアイ中学校の新校舎が完成した。開校式には総勢600名以上の学生・父兄・村人に集まっていただき、大規模な開校式となった。

地元サラワン県副知事・プートン氏も開校式出席のため、急遽スケジュールを調整して駆けつけて下さった。ラオスの「国」としても教育にかける意欲が高いことを実感する。

式典の後は大食事会を開催。現地の方々と身振り手振りを交え交流しながら、お母さま方が作ったラオス料理の数々を頂いた。ラオスは特に鶏肉を使った料理が美味で、また野菜もとても新鮮で味が濃く、ドレッシングがなくても十分に美味しくいただける。

今回の開校式にはこちらからのお返しの意味も込めて、綿あめを作る機械を持ち込んだ。初めて見る食べ物に目を輝かせながら列を作る子どもたち。独り占めせず、友人や低学年の子どもに自然と分けてあげる姿にラオスの素晴らしい国民性を見た。

残念ながら電圧の関係で機械が長くはもたなかったことが悔やまれるが、日本の文化に触れてもらい、子どもたちに少しでも喜んでもらえたなら幸いだ。

歓迎の儀式「バーシー」。私たちにとってもう何度目かの参加になるが、何度経験しても琴線に触れる行為だと感じる。私たちの健康や、友好が継続するようにと祈りの言葉をかけながら丁寧に紐を結んでくれる人々。学校が出来た喜びと、重要性を再確認する。

ラオスの人々はお酒がとても好きだ。「日本からの手土産は、酒なら強いものを」という現地からの希望に応え、今回は泡盛を差し入れた。ラオスの地酒「ラオラオ」と共に宴を盛り上げた。

昨年のドンニャイ校開校式に続き、バーシー、酒盛りの後はダンス大会に突入。お酒と同様にラオスの人々はダンスがとても好きなようだ。私たちも加わって楽しいひと時を過ごす。

綱引き大会には先生方も本気で参戦。勝っても負けても笑顔が絶えない様子に、こちらも自然と笑顔が溢れる。

開校式の前日にヴァンプアイ校を訪れた際には授業風景も見学させていただいた。

先生たちは親身に教え、生徒たちも熱心に耳を傾けていた。この風景はラオスでどの学校に行っても共通だ。カメラを向けると恥ずかしそうに微笑むが、授業に臨む姿勢は真剣だ。

子どもたち、大人たちの笑顔が溢れた開校式。私たちの記憶に残るのはもちろんのこと、彼らの良き思い出になってくれれば幸せだ。

これから新校舎でますます多くの笑顔が生まれ、子どもたちが夢を叶えていってくれればと思う。これからもそのお手伝いをしていきたい。

ドンニャイ村のその後

2015~16年にかけて校舎建設や教員養成の面で支援をさせていただいたドンニャイ村を訪問。

昨年の開校式時に植樹した「フォーサイの木」(ラオス語で古くから「フォーサイ」と呼ばれていた種類の木)が大きく成長していた。(写真右は植樹時)

こらから何年、何十年と子どもたちの成長を見守る木になると考えると感慨深い。

お土産にスポーツ用品などをプレゼント。完成済みの校舎では子どもたちが熱心に、かつ楽しそうに勉強をしている風景が広がっていた。

学校の敷地内に昨年までなかった売店が出来ていて驚いた。学校が大きくなると新たな産業も生まれ、村全体への発展に繋がる――小さな事例ではあるが、大きな可能性を感じさせる変化だった。

次の支援候補地へ

今回の渡航では2018年に支援を行う候補地の視察も大きな目的の一つだった。

その一つであるカムトン村へ向かう途中、かなりの悪路でさながら遊園地のアトラクションと化した道中。断続的に降った雨の影響か、水浸している箇所もありバンが立ち往生。そんな時、見ず知らずの近くの村民が自分のズボンが水浸しになることも厭わずに水の深さを確認してくれた。
「大丈夫、通れるよ」という身振りに車を発進させる。ラオス人の懐の深さが凝縮された光景に胸を熱くする。

カムトン村に到着すると、例によって大歓迎を受ける。人々の教育への想いの大きさをひしひしと感じる。

現在使用している校舎を視察。ラオスの古い校舎によくみられる「雨音を増幅させるトタン屋根に吹きっ晒しの壁」という学習に適しているとは言い難い環境だ。

カムトンでも歓迎の儀式「バーシー」を行なって頂く。老若男女が心を込めて紐を結んでくれた。

もう一つの支援候補地ナボーン村でも大歓迎を受け、村人集会には多くの父兄が足を運び教室から溢れるほどだった。

一方的な支援ではなく、現地の方々の意志や熱意を引き上げて学校建設を〝自分事化〟していく。
話に聞き入る一人のお父さんの顔がしだいに笑顔に変わっていく様子に、このプロジェクト成功への手ごたえを感じた。
母に抱かれて気持ちよさそうに眠る幼子もきっと通うことになる校舎。彼らの力になることができればと切に思う。

ナボーンでは校舎建設だけでなく女子寮の新設も検討。家から学校への距離が遠い生徒へ進学の道を守るための寮だが、現在は老朽化が進み雨風を凌ぐには心もとなすぎる。

帰国後、正式にカムトン村、ナボーン村への校舎建設支援の実施が決まった。現地で感じた彼らの想いに報いることができてなによりだ。開校式で再びお会いできることを楽しみにしている。

サラワン県庁訪問

ヴァンプアイ校の開校式に参列いただく前日、プートン副知事との会談を行なうことができた。地元サラワンTVの取材も入り、実際の放送はラオス国営放送でも流れたと伺っている。大変有難いことだし、私たちが継続してきたことが多くの人に受け入れられていることに感謝したい。

ラオス第二の都市パクセーにて

日本の支援によるパクセー橋を見ることができた。ラオスの紙幣にも描かれている橋で、日本とラオスの関係性の象徴である。何十年も前から日本はラオスに多くの経済支援を行っており、両国の絆は実は深い。

特定非営利活動法人NGOクワトロが運営する、パクセーの学生寮「坂雲寮」を見学させていただいた。
NGOクワトロはクラウドファンディングで支援を広く一般から募集するなど、新しい国際支援、教育支援の形を実践されている。
子どもたちに学ぶ意欲があっても環境が伴っていないラオスを支援することで、彼らが自分自身の手で豊かな未来を描いてもらいたいという想いは共通だと感じている。

坂雲寮では日本語も教えており、学生が望めば日本への留学も支援したいとのお話を伺った。
ラオスでは一般的に整理整頓の意識があまりなかったり、地方部ではゴミを決められた場所に捨てる文化が根付いていなかったりする。
公衆衛生やマナーに関する日本の良い文化を伝える役割も坂雲寮は果たそうとしている。
日本人が異国の地で教育に携わる際に、見本となるケースだろう。

ホテルの一部を改装して運営されていることもあり、寮内部はとても綺麗に整っていた。
ラオス地方部の寮と比べると、車で数時間の場所なのに隔世の感を禁じ得ない。
ラオスは首都ビエンチャンと第二の都市パクセーの間に大きな隔たり――日本でいう東京と大阪以上の格差――があるが、パクセーと農村部でもまた歴然とした差があることを再度実感する。

学びで人生を豊かに

2017年のドンニャイ校に続き、ヴァンプアイ校でも盛大な開校式を開催していただいた。
ドンニャイ村では学校が地元の経済に僅かながらも影響を与えている、具体的な変化を見て取ることができた。
ヴァンプアイ校も同じように、村全体が活性化するための礎となってくれることを祈っている。

カムトン村、ナボーン村という新たな支援先も決まり、地域の行政府との接点も深くなるなど、今回の視察で得たものは必ずや今後に繋がっていくものと確信している。
「学びで人生を豊かに」という私たちフォーサイトの理念を、ラオスの地でもより実践していきたい。