社労士試験の受験料や合格後の費用について解説

更新日:2023年9月28日

社会保険労務士(以下:社労士)は、独立開業や企業勤務など、働き方が選べる士業資格として近年人気を集める資格です。

そんな社労士となるためには、国家試験である社労士試験に合格する必要があります。

この社労士試験の受験料や、社労士試験に合格するために必要な費用、さらに合格後社労士として働くために必要な費用など、社労士と費用に関して解説していきます。

目次

社労士試験の受験料

社労士試験の受験料は15,000円になります。

社労士試験の受験料に関しては、令和3年度(2021年度)から値上げされていますので、それ以前に受験した経験がある方は注意が必要です。

社労士試験の申し込みには、インターネット申し込みと郵送申し込みがあります。

申し込み方法によって、受験料の払い込み方法は指定されていますので、指定の方法で納付する必要があります。

受験料の支払いの際に生じる手数料に関しては、受験生負担となります。

ほかの人気資格の受験料と比較

社労士試験の受験料は、資格試験の中では高いのか安いのか。ほかの人気資格と比較してみましょう。

★ほかの人気資格の受験料

  • 行政書士の受験料 10,400円
  • 宅地建物取引士の受験料 8,200円
  • 司法書士の受験料 8,000円
  • 中小企業診断士の受験料 32,300円
    (一次試験の受験料14,500円・二次試験の受験料17,800円)

ほかの人気資格、特に士業と呼ばれる資格試験の受験料は8,000~10,000円程度が一般的。これらの資格と比較すると社労士試験の受験料はやや高いということができます。

中小企業診断士試験の受験料が唯一高めの設定になっていますが、中小企業診断士の試験は一次試験と二次試験に分かれており、それぞれに受験料が必要です。そのため合計の受験料が高めになります。

社労士試験に挑戦するための学費に関して

社労士試験を受験するために必要な費用は、受験料だけというわけではありません。社労士試験を受験するということは、しっかりと受験勉強をする必要があり、受験勉強にも費用はかかります。

こうした受験料以外に必要とされる費用に関しても解説していきましょう。

独学で挑戦する場合に必要な費用

自宅で自分一人で勉強をする独学は、数ある勉強方法の中でももっとも費用がかからない勉強方法となります。

独学で勉強する場合、必要となるのはテキストや問題集、さらに受験をする場合は模試の受験料といったところでしょう。全てを合計しても2万円程度の費用で社労士を目指すことができます。

ここでひとつ独学の場合のテキスト選びのポイントも簡単に紹介しておきましょう。

独学の場合、使用するテキストは1冊、問題集はテキストと同じシリーズでそろえるのがおすすめです。

複数のテキストがあると、情報過多により勉強しづらくなる可能性がありますし、同じシリーズの問題集を使えば、テキストと同じペースで進んでいきますので勉強しやすくなりますので覚えておきましょう。

通信講座を受講した場合の費用

独学では不安という方には通信講座の受講がおすすめです。通信講座の受講料は、独学よりは高くなりますが、予備校に通学する場合と比較すれば安く抑えることができます。

また、受講料に中にオリジナルテキスト代や問題集代も含まれますし、通信講座によっては模試の受験代も含まれるケースがあります。

通信講座の受講料に関しては、比較的幅が広く、受講する講座によって差がありますので注意が必要です。どんな教材が含まれているかをきちんとチェックし、講座の比較をするのがおすすめとなります。

受講料の相場は10~15万円程度が多いイメージ。独学と比較すれば高額ですが、その分効率的に勉強することができ、社労士試験に合格する可能性も高くなります。

また、自分でテキストを探したり、勉強スケジュールを細かく設定したりする必要などはなくなりますので、勉強開始時点から、勉強に集中できるというメリットもあるので、この値段も仕方ないかもしれません。

予備校に通学した場合の費用

予備校に通学して勉強できるかどうかは、ある程度条件が揃っていないと難しいかもしれません。

まずは何より通学できる範囲に予備校があることが絶対条件。資格試験の予備校は、人口が集中している都市部に多く、地方部では通いたくても通えないというケースも多いかと思います。

また、社会人の方や、子育て中の方などの場合、予備校に通えるかどうかも大きな問題。予定外の残業が多い仕事であったり、お子様がまだ小さく、目を離せなかったりなどの事情があれば、毎週時間を決め手予備校の通うのは難しいかもしれません。

予備校の受講料は、授業の受講形式によっても変わります。ライブで専門講師の授業を受講できる場合と、専門講師の授業を映像で受講する場合では、やや差が出るようです。

予備校で社労士試験の勉強をする場合の受講料は、大手の予備校で20~30万円あたりが相場となります。もちろんテキスト代や問題集代も含めた金額ではありますが、ほかの勉強方法と比較すると、やはり高いというイメージはあるかもしれません。

社労士試験に合格した後に必要となる費用

ここまで社労士試験に受験する場合に必要な費用に関して紹介してきました。試験を受験すると聞くと、受験料のことばかりが気になる方もいらっしゃるかもしれませんが、社労士資格を取得するのに必要な費用の内、受験料が占める割合はさほど大きくはないというのが事実。

さらに社労士試験に合格し、社労士として働くには、ほかにも必要な費用があります。

そんな社労士試験合格後に必要な費用に関しても紹介していきましょう。ただし、この費用に関しては、都道府県ごとに差がある費用になります。ここでは参考までに東京都の社労士に必要な費用を紹介していきます。

企業に勤務する場合に必要となる費用

社労士の働き方は大きく分けて2つの働き方に分類されます。企業に勤務しながら社労士としての業務を行う企業勤務型と、独立開業し社労士の業務にあたる独立開業型です。

働き方によっても必要な費用が変わりますので、まずは企業勤務型の社労士の費用に関して紹介していきましょう。

社労士として働くためには、社労士試験に合格し、かつ2年以上の実務経験が必要です。この条件を満たした方は、各都道府県に設置されている社労士会に登録を行い、登録が認められて初めて社労士を名乗って業務に当たることができるようになります。

まずは、東京都社労士会に登録するために必要な費用をまとめてみましょう。

企業勤務の社労士登録に必要な費用(東京都の場合)
社労士登録料 30,000円
登録免許税 30,000円
入会金(東京社会保険労務士会) 30,000円
年会費(東京社会保険労務士会) 42,000円/年
初年度合計 132,000円

社労士として働くためには、社労士会への登録料、登録免許税、さらに入会金と年会費が必要になります。登録を行う社労士会は、勤務する会社の所在地がある都道府県です。

入会金や登録料、登録免許税などは、最初に登録する場合に必要となる費用。年会費は、登録し続ける間、ずっと必要になる費用となります。

初年度の年会費に関しては、月割計算で納付します。例えば登録するのが10月の場合、10月から翌年3月の年度末までの分を納付する必要がありますので、年会費の1ヶ月分にあたる3,500円を、10~3月までの6ヶ月分納付するため、初年度の年会費は21,000円ということになります。

この年会費や入会金が都道府県ごとに変わってきますので、登録する都道府県の社労士会に問い合わせ、必要な金額を確認しておきましょう。

独立開業するために必要な費用

独立開業をする場合は、事務所を設置した都道府県の社労士会に登録する必要があります。例えば埼玉県に住んでいるものの、事務所は東京都内に開設するというのであれば、登録は東京都社労士会に行います。

まずは必要な費用をみてみましょう。

独立開業の社労士登録に必要な費用(東京都の場合)
社労士登録料 30,000円
登録免許税 30,000円
入会金(東京社会保険労務士会) 50,000円
年会費(東京社会保険労務士会) 96,000円/年
初年度合計 206,000円

独立開業型の場合、入会金や年会費が企業勤務型よりもやや高くなるので注意が必要です。年会費に関しては企業勤務型と同様で、初年度に関しては月割計算で納付する形となります。

事務指定講習に必要な費用

仮に実務経験がない方が社労士試験に合格した場合、社労士としての業務ができる仕事に転職しないと実務経験が足りないため、いつまでも社労士として登録できないということになります。

こうした事態を避けるため、社労士試験合格者には、「事務指定講習」という講習が用意されています。この講習を受講し修了すれば、2年以上の実務経験と同等以上と見なされ、例え実務経験がなくても社労士としての登録を行うことができます。

この事務指定講習の受講料は税込みで77,000円。受講方法や受講場所に関しては、社労士会のHPで確認しましょう。

受験のための費用を抑えるためには?

社労士試験の受験料は15,000円と、ほかの資格試験と比較してもやや高額です。しかし、社労士試験に合格するために必要な勉強に関する費用や、社労士試験に合格した後に、登録するために必要な費用を考えると、受験料自体は大きな出費とは言えません。

いずれにせよ、社労士試験を受験し、合格して社労士として働くには多くの費用が必要になるのは間違いないところ。では、この費用を抑えるためにできること、意識したいポイントなどを紹介していきましょう。

勉強期間を長引かせない

費用面で大きな割合を占めるのは、受験料ではなく勉強のために必要な費用、つまり学費です。また、受験料に関しては抑える事はできませんが、学費に関しては、工夫次第で抑えることが可能です。

学費は、勉強期間が長くなればなるほど嵩んでいきますので、できるだけ勉強期間を短くすることが、費用面全体を抑えるもっとも効果的な方法となります。

社労士試験は年に1度の実施です。一度試験に失敗すると、勉強期間は1年単位で増えていくということになります。

仮に独学で目指すといっても、2年目以降は毎年テキストや問題集の買い替えが発生します。社労士試験には法令問題も多く出題されるため、最新の法令に対応するために、最新のテキストで学ぶ必要があるからです。

独学で1年間に4万円の費用がかかった場合、勉強期間が2年になれば8万円、3年になれば12万円ということになります。これは、通信講座1年分の受講料と大差ないということになってしまいます。

まずは何より短い勉強期間で合格すること。これが費用を抑える最大のポイントとなります。

通信講座を利用する

より短期間で合格するということを考えると、勉強の効率化が絶対条件となります。しかし独学で目指す方、特に社労士試験に関して初学者であるという場合、勉強を効率化するのはなかなか難しいということになります。

そこでおすすめしたいのが通信講座の利用です。予備校ではなく通信講座をおすすめするのは、なんといっても受講料が安いというのが大きなポイント。個々に比較すれば、予備校の半額以下で学べる通信講座というのも珍しくありません。

予備校も通信講座も、専門講師の授業が受けられる点、専用のオリジナルテキストがある点、効率的なカリキュラムがある点などは共通して受けられるメリットです。

同じように効率的に学べる上、受講料が安いというのであれば、通信講座を利用するのがお得という結論になります。

費用面以外でもおすすめとなる通信講座

通信講座をおすすめする理由は、費用面だけではありません。特に社会人の方にとっては、予備校通学よりも通信講座の方が受講しやすい、勉強しやすいという側面もあります。

そんな費用面以外の部分で、おすすめできる部分を紹介していきましょう。

通学時間が必要なくマイペースで勉強できる

予備校に通学する場合、予備校までの通学時間が必要になります。片道30分だとしても、往復で1時間の移動時間が発生します。

社会人の方は毎日の忙しい時間の中で勉強時間を捻出する必要があります。普段の生活の中で、平日に確保できる勉強時間は1~2時間程度という方が多いかと思います。この貴重な勉強時間の一部を、通学時間という単なる移動時間で消化してしまうのは得策とは言えません。

また、予備校は決まった曜日の決まった時間に授業が行われます。仕事をしている社会人の方の場合、急な出張や残業、どうしても断れない接待などで、授業を受講できない可能性があります。

予備校もその対策として、後日映像授業を受講できるようなサービスを提供していますが、映像授業を受講するのであれば通信講座でも同じということになります。

通信講座は予備校と同様、社労士試験に精通した専門講師の授業を受講できる勉強方法です。同じレベルの授業を受けられるのであれば、自宅でマイペースで受講できる通信講座の方がおすすめとなります。

また通学時間も不要ですので、勉強時間も確保しやすく、より効率的に学べるでしょう。

まとめ

社労士試験の受験料は15,000円。2021年度試験から受験料が上がっていますので、これから受験する方は注意してください。

社労士の受験料は、ほかの資格試験の受験料と比較してもやや高額な部類。さらに社労士試験に合格するためには、勉強するための費用が必要です。また、社労士試験に合格した後も、社労士会への登録料や年会費なども必要であり、社労士を目指すのであれば費用面はある程度意識しておく必要があります。

費用面を抑えるのであれば、学費をどう抑えるかが重要。受験料や登録料は変えようがない費用ですので、変えようがある部分に注目して工夫するといいでしょう。

費用面も考えれば、勉強期間を短くし効率的に学ぶのがおすすめ。効率的な勉強が、費用を抑えるには有効ですので、独学などにこだわらず、通信講座を活用して短期間での合格を目指しましょう。

この記事の監修者は
小野賢一(おの けんいち)

「そうだったのか!」という驚きや嬉しさを積み重ねましょう
【出身】北海道
【経歴】横浜国立大学大学院国際社会科学府修了。社会保険労務士、日商簿記2級等の資格を保有
【趣味】楽器演奏
【受験歴】2022年社労士試験初回受験、合格
【講師歴】2023年よりフォーサイト社労士講座講師スタート
【座右の銘】昨日から学び、今日を生き、明日へ期待しよう
フォーサイト公式講師X 小野賢一@社労士専任講師

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