実務家密着取材

直撃インタビュー
社会保険労務士 金原雄二さん

社会保険労務士   金原雄二 さん

1970年愛知県生まれの千葉育ち。1993年大学卒業後、大手外食チェーンに入社し、関東一円の店長を経験。その後、和食店で板前修業を4年間経験。2002年に実家の蕎麦店を継承したものの、2006年に交通事故に遭い、やむなく廃業。2007年に社労士試験を受験し、一発合格。2008年9月にスバル社労士事務所を開業、2011年5月 特定社会保険労務士 付記し、現在に至る。

金原さんが所属する「スバル社労士事務所」のホームページは下記のとおりです。
URL : http://www.e-can.co.jp


一番重要なのは、「スピード・コスト・確実性」
飲食業界出身の異色の社労士

試験に合格して資格を取得した後、実際にどのような仕事を行うのか。フォーサイトでは、活躍中の実務家を直撃し、その実像に迫ります。今回は特定社会保険労務士である金原雄二さんからお話を伺いました。

どのようなお仕事をされているのでしょうか


現在一番多いのは、助成金の申請に関する案件ですね。顧問という立場で1号業務(関係書類の作成業務)、2号業務(代理・代行業務)等を行うこともよくあります。具体的には、行政官庁に提出する届出書、申請書、報告書、審査請求等の書類の作成・代行、企業の就業規則、労働者名簿、各種労使協定、賃金台帳等の書類作成・代行業務ですね。人事・労務に関する相談、指導、アドバイスといった3号業務以外のものが増えています。スバル合同会計グループは全国各地に事務所を構えていますが、私が担当するクライアントは関東近郊が多いですね。また一方で、労務管理や知的財産権をテーマにしたセミナー講師を行うこともあります。


セミナー講師も行う金原さん

セミナー講師も行う金原さん


資格を取得したきっかけを教えてください


大学在学中から大手外食チェーンストアでアルバイトしていました。その後、正社員として入社し、関東一円の店長を経験しました。私は実家が蕎麦屋だったため、いずれ跡を継ぐことを視野に、和食店で板前修業をしました。2002年に蕎麦屋を継ぎ、比較的順調にいっていたのですが、2006年に交通事故に遭ってしまったんです。腰を悪くしてしまったため、蕎麦屋の主人としては致命的なダメージを受けました。6か月の入院期間中、たまたま病院内の書店で、社労士の参考書を目にしました。“独立開業できる資格”と書かれていたため、興味を持ち、受験を決意しました。ほぼ独学でしたが、がむしゃらに勉強して2007年の試験で合格しました。


一発合格で社労士となった金原さん

一発合格で社労士となった金原さん


資格を取得してから、どのようにお仕事を進めていきましたか?


2007年に社労士試験に合格し、2008年から一定の期間、特許庁に勤務しました。その後、「税理士法人スバル合同会計」という会計事務所を母体にした「株式会社CAN」に入社しました。そこでは主に記帳代行・経理受託、給与計算をメインに行いました。同時に開業登録し、社労士としても働いていたのですが、社労士業務に専念するため、2010年10月より独立しました。もともとは飲食業界出身、サービス業の経験も長かったので、ポスティング等の営業活動は楽しみながらやりました。今でも機会を見つけては、飛び込み営業をしたりしていますね。


金原さんのオフィスは秋葉原にある

金原さんのオフィスは秋葉原にある


お仕事の魅力、やりがいは何でしょうか?


お客様のデリケートな情報を開示していただけた時、「信用されている。有り難いことだな」と感じます。会社の資金繰りに関する諸事情を聞かせていただいたり、通帳を見せていただくということは、ある程度の信頼関係を構築していなければ出来ないことです。また、仕事を任せていただける領域が増えていくのは、お客様から私が承認されていることにつながっていると思いますので、嬉しいですね。


フットワークの軽さを基本としている金原さん

フットワークの軽さを基本としている金原さん


お仕事される際に気をつけていることは何でしょうか?


お客様のニーズを知り、それに応えることが何よりも大事だと考えています。前職時代、お客様から求められるのは、「はやさ、安さ、うまさ」でした。売り物はフードとサービスという、分かりやすく見えやすいものでした。今のお客様が社労士の私に求めるものは、全く異なります。しかし、飲食業と士業では、扱っている商品・サービスの違いはあれど、基本的には同じだと思います。「スピードとコスト、確実性」は、どんな業種でも求められると思います。社労士としては、課題を抱えているお客様が今、何をすべきかということと、その理由を分かりやすくコンパクトに伝えるようにしています。その際に、一辺倒に説明しては、大事なポイントがずれてしまう恐れがあります。ですから、私も出来るだけ当事者意識を持って、お客様によりよいご提案をするよう心がけています。実務に関する知識・ノウハウはもちろん、私オリジナルの商品価値を高めることが重要だと思っています。


愛犬「小次郎」くんと笑顔の金原さん

愛犬「小次郎」くんと笑顔の金原さん


人生には、生きている限り「これで終わり」ということはありません。自分の目標に向けて努力し続けていけば、必ず報われます。私は“会社”という組織がある限り社労士のニーズはなくならないと思います。今も人や会社を取り巻く環境は厳しいと思いますが、ニーズはあります。受験勉強は大変だと思いますが、体調管理して勉強に励んでほしいと思います。自分の弱点を補っていけば、きっと合格できます。頑張ってください!


社会保険労務士   金原雄二 さんの、ある1日


ある日のスケジュール
4:00 起床 勉強
5:00 外出 犬の散歩
5:30 自宅 家事、朝食
8:00 外出 カフェにて新聞チェック
9:00 出社 書類作成(打ち合わせ資料の準備)
11:00 外出 役所に書類の提出
12:00 休憩 昼食
14:00 社内 社内ミーティング
16:00 外出 顧問先との打ち合わせ
18:00 退社  
19:30 帰宅 妻と一緒に夕食
22:00 就寝