ファイナンシャルプランナー講座の講師ブログ

税制改正のポイント②

 前回、「新型コロナウィルス感染拡大に伴う負担軽減措置」について記載しました。第二回目は、「私たちの暮らしに直結する税制改正」部分から、教育資金贈与/結婚資金贈与の改正とセルフメディケーション税制の延長について解説していきます。

 まずは教育資金贈与と結婚資金贈与の改正について。教育資金贈与は、子育て負担などを軽減するために、祖父母などからの教育資金の援助に贈与税をかけない措置です。教育資金として1,500万円(学校等以外の部分への支払いは500万円)までの贈与が非課税となり、本来は令和3年3月31日までの措置となっていました。これを2年延長し、令和5年3月31日までとなります。結婚資金贈与では、300万円までの贈与が非課税となりますが、こちらも同様に令和5年3月31日まで延長となります。。

 なお、単純に期間が延長されるだけではありません。贈与をした祖父母等が亡くなった場合、これまではその時点の残額は相続税の課税対象となるものの、相続税額の2割加算の対象とはなっていませんでした。しかしながら、今回の改正により、令和3年4月1日以後の信託等により取得する信託受益権等からは、相続税額の2割加算の対象となります。

 また、受贈者の子や孫等の年齢要件の下限が20歳から18歳へと引き下げられます。令和4年4月1日以後に信託等を行った場合に適用されます。これらの措置は、教育資金贈与および結婚資金贈与両方において適用されます。今後こうした贈与を検討されるお客様には延長はメリットとなりますから是非コンタクトをとるようにしましょう。

 もう一点、セルフメディケーション控除についても解説します。セルフメディケーション控除は、対象となるスイッチOTC医薬品を購入すると最大で88,000円の控除が適用されるものです。通常の医療費控除と選択適用となっています。本来は令和3年12月末が適用期限でしたが、令和8年12月31日まで5年間延長となりました。

 なお、対象となるスイッチOTC医薬品から、療養の給付に要する費用の適正化の効果が低いと認められるものは除外されることになりました。一方、療養の給付に要する費用の適正化の効果が著しく高いと認められる医薬品は控除の対象となります。この改正は、令和4年分以後の所得税について適用します。

 もう一点、これまでは確定申告の際に健康診断の受診結果などを添付する必要がありましたが、こうした書類は5年間保管が必要となるものの、確定申告の際の添付が不要となった点も知っておきましょう。これにより手続きが簡素化されます。令和4年以降に提出する確定申告(令和3年分以後)から適用されます。

<過去問題の演習>

3級・2級受験者、いずれも解いてみてください。

次の問題に答えなさい。○✕問題

【問題1】

退職手当等の支払を受ける個人がその支払を受ける時までに「退職所得の受給に関する申告書」を提出した場合、その支払われる退職手当等の金額に20.42%の税率を乗じた金額に相当する所得税および復興特別所得税が源泉徴収される。

<解答> ✕

退職所得の受給に関する申告書を提出した場合には、その退職所得に応じた税金が源泉徴収されます。20.42%がかかるのは、申告書を提出していない場合です。

【問題2】

所得税において、NISA口座(少額投資非課税制度における非課税口座)内で生じた上場株式の譲渡損失の金額は、特定口座内の上場株式の譲渡益の金額と損益を通算することができる。

<解答> ✕

NISA口座内の譲渡損失と特定口座の譲渡益は損益通算できません。

いかがでしたでしょうか?

それではまた次回、お楽しみに★