ファイナンシャルプランナー講座の講師ブログ

個人所得課税における主な改正のポイント

皆さん、こんにちは。ファイナンシャル・プランナーの伊藤亮太です。
FP試験対策を兼ねて、令和2年度の税制改正の主なポイントについて、
3回にわけて解説していきます。

今回は、個人所得課税における主な改正のポイントを解説します。

まず、未婚のひとり親に対する税制上の措置及び寡婦(寡夫)控除の見直しについて。
これまで、離婚・死別によるひとり親には寡婦(寡夫)控除が適用されてきましたが、未婚の場合のひとり親に関しては適用がなされていませんでした。また、男性のひとり親と女性のひとり親では寡婦(寡夫)控除の額が異なるなど、平等とは言い難い取り扱いが行われてきた側面がありました。
そこで、令和2年度の税制改正により、すべてのひとり親家庭に対して、公平な税制支援を行うことになりました。これにより、婚姻歴や性別にかかわらず、ひとり親控除(控除額35万円)が適用されることになります。
なお、扶養する子がいない寡婦の控除額は27万円であり、男性の寡夫と同様、所得制限(所得500万円以下)が設けられます。令和2年分以後の所得税から適用されます。

もう一つ、特に金融機関への影響が大きいと想定されるものがあります。
それがNISA制度の改正です。実際は令和6年からの適用のため、まだまだ先ですが、NISA制度が新しく変わることになります。
新NISAでは、一階部分の年間投資上限額が20万円、二階部分は102万円とし、現状の120万円の枠から2万円投資金額が増額されます。ただし、一階部分はつみたてNISAと同様の投資となります。
そして二階部分が現状と同様の株式や公募株式投資信託などでの運用となります。なお、二階部分では、高レバレッジ投信など一部の商品が投資対象から除外される見込みです。
非課税期間が5年などその他の点はほぼ現行と同様の取り扱いとなりますが、一階部分は非課税期間終了後はつみたてNISAへ移行可能となります。
また、これまで同様、つみたてNISAと選択制となるため、同じ年に両方を適用することはできません。
新NISAにより、お客様への運用の提案は、1階部分は中長期的な運用を、2階部分はお客様の考え方に沿って短期売買か中長期かわけて運用を行っていく。こうした提案を行っていく必要が出てくることでしょう。
また、10年単位の運用を見据えていくのであれば、最初からつみたてNISAでコツコツ資産形成を図っていくという提案の方が無難ともいえます。

以上、個人所得課税から、寡婦(寡夫)控除と新NISAについて解説しました。
FP業務などでも活かせるように、税制改正を確認していくことが大切です。

 
<過去問題の演習>
3級・2級受験者、いずれも解いてみてください。
次の問題に答えなさい。○✕問題

【問題1】
個人の資産や負債の状況を表すバランスシートの作成において、株式等の金融資産や不動産の価額は、取得時点の価額ではなく作成時点の時価で計上する。

<解答> ○
個人バランスシートは、作成時点の資産評価となるため、時価で計上します。

 
【問題2】
キャッシュフロー表の作成において用いられる可処分所得は、年間の収入金額から所得税、住民税、社会保険料および生命保険料を控除した金額である。

<解答> ×
可処分所得は、年間の収入金額から所得税、住民税、社会保険料を控除した金額です。
生命保険料は控除しません。

 
いかがでしたでしょうか?
それではまた次回、お楽しみに★