ファイナンシャルプランナースペシャリストによるこっそり裏講義

 今回で、税制改正のポイント解説は最後になります。そこで、これまで解説した点以外の部分で、皆さんの実務に活かせそうな内容や利便性という観点をもとに改正部分をまとめていきます。

 まず、退職所得税制の見直しについて。具体的には、勤続年数が5年以下の従業員の退職所得の計算に関して見直しが行われることになりました。これまでは、従業員に関しては勤続年数に関係なく「(退職手当等の収入金額-退職所得控除額)×1/2」で計算されたものが退職所得となり、課税対象となっていました。今回の改正では、勤続年数5年以下の従業員の退職金については、1/2課税の適用が対象外となります。つまり、×1/2が適用されないため、節税メリットが薄れることになります。ただし、退職所得控除額を控除した残額の300万円以下の部分についてはその限りではなく、引き続き1/2課税が適用されることになります。

 要は、短期間の勤務で退職金を多く受け取らない限りは、これまで同様の計算式ですみます。一方、毎月の給料を少なくし、退職金で一度にまとめて支払われるといったケースでは1/2課税が適用されなくなる部分が出てくるといえ、分離課税である退職金を利用した租税回避をさせないようなしくみが適用されることになるのです。この改正は令和4年分以後の所得税および個人住民税から適用されます。

 なお、既に以前の税制改正により、勤続年数5年以下の役員に関しては1/2課税は適用できなくなっています。これに加えて従業員も同様のしくみが適用されるものの、租税回避の部分に焦点を充てた措置であり、退職所得控除額を控除した残額の300万円以下の部分にはこれまで同様1/2課税が適用されるため、多くの方にとっては影響はないものと想定されます。

 もう一点、納税のデジタル化、税務手続きの押印原則廃止について解説し、本稿の締めくくりとしたいと思います。2022年1月以降、所得税や贈与税などの国税において、30万円以下という限定はつくものの、「PayPay」や「LINEPay」といった決済アプリを使用して納税を済ませることができるようになる見込みです。既に自動車税や固定資産税などの地方税では東京都など一部の自治体が先行して決済アプリで支払いが可能となっていますが、これが国税でも可能となるのです。また、確定申告でなどの税務手続きにおいて、押印が原則廃止されます。電子化も進み、脱ハンコ社会が着々と進むことになりそうです。

<過去問題の演習>

3級・2級受験者、いずれも解いてみてください。

次の問題に答えなさい。○✕問題

【問題1】

不動産の登記事項証明書の交付を請求することができる者は、当該不動産の所有者に限られる。

<解答> ✕

誰でも請求可能です。

【問題2】

都市計画法において、市街化区域内で行う開発行為は、その規模にかかわらず、都道府県知事等の許可を受けなければならない。

<解答> ✕

1000㎡以上のケースでは都道府県知事等の許可が必要です。

いかがでしたでしょうか?

それではまた次回、お楽しみに★



伊藤 亮太

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