ファイナンシャルプランナー講座の講師ブログ

金融システムを守る国際ルール「国際金融規制」

皆さん、こんにちは。
フォーサイトFP専任講師の伊藤です。

本日は、国際金融規制について解説します。

■金融機関により高い財務の健全性・経営規律が求められている
国際金融規制は、バーゼル規制とも呼ばれ、世界の金融システムを健全に保つための国際ルールが該当します。日本を含む多くの国における金融規制として採用されています。
最初の規制は1988年に策定されました。これをバーゼルⅠと呼んでいます。バーゼルⅠでは、国際的な銀行システムの健全性の強化および銀行間の競争上の不平等の軽減を目的として策定されます。具体的には、銀行の自己資本比率規制の測定方法と、国際業務に携わる銀行の自己資本比率の最低水準として8%以上という基準が定められました。日本では、1992年度末から適用されています。

その後2004年に規制が改定され、バーゼルⅡへ移行します。自己資本比率を算出する際のリスク計測が精緻化されました。日本ではバーゼルⅡは2006年度末以降に移行しています。
2008年の世界的な金融危機に伴い、再発を防ぐこと、国際金融システムのリスク耐性を高めることを目的に、バーゼルⅢが策定されます。銀行が想定外の損失の発生でも経営危機に陥ることがないように自己資本比率規制が厳格化されました。この他、急な資金の引き出しに備えるための流動性規制や、過度なリスクをとることを規制するレバレッジ比率規制などが導入されることになりました。また、個々の金融機関の健全性を確保するミクロ・プルーデンスだけではなく、金融システム全体のリスクの状況を分析、評価し、それに基づいて制度設計を行い、金融システム全体の安定性を維持するマクロ・プルーデンスの観点も重視されるようになります。バーゼルⅢは2013年から段階的に実施され、2028年初から完全施行される予定となっています。こうして、二度と過ちを犯さないよう、大規模な金融危機が発生しないような仕組み作りが着々と進んでいます。

なお、バーゼル規制は銀行関係の規制ですが、これ以外に証券監督者国際機構が証券会社関係、保険監督者国際機構が保険会社関係、金融安定理事会が国際金融システムの監視機能強化や金融分野全般にわたる基準を設けています。

<過去問題の演習>
3級・2級受験者、いずれも解いてみてください。

次の問題に答えなさい。○✕問題

【問題1】
がん保険では、一般に、責任開始日前に90日程度の免責期間が設けられており、その期間中にがんと診断されたとしても、がん診断給付金は支払われない。

<解答> ○
がん保険には免責期間があります。その間にがんと診断されても保険金は出ませんのでご注意ください。

【問題2】
国内の証券取引所に上場している内国株式を普通取引により売買する場合、約定日の翌営業日に決済が行われる。

<解答> ✕
国内の証券取引所に上場している内国株式を普通取引により売買する場合、約定日の翌々営業日に決済が行われます。

いかがでしたでしょうか?

それではまた次回、お楽しみに★