ファイナンシャルプランナー講座の講師ブログ

人生100年時代を考える④

皆さん、こんにちは。
フォーサイトFP専任講師の伊藤です。

今回は、老後資金が不足したときの提案の一つとして、リバースモーゲージについて考えていきたいと思います。

お客様の中には、いざセカンドライフを送りたいのに、資金が不足しそうで心配というケースもあることでしょう。楽しい老後生活を送りたいのに、お金がないから働く。これでは何のためのセカンドライフかわかりません。

独立行政法人労働政策研究・研修機構「60代の雇用・生活調査(2015年1月公表)」結果によれば、60~64歳の就業者の75.2%、65~69歳の就業者の65.9%が、働く理由として「経済上の理由」を挙げています。つまり、公的年金等だけでは不足すると考え、働く人が多い状況なのです。

働く選択肢をとることで、経済上の不安をなくす方法も可能ですが、働く選択肢をとりたくない方の場合、どのような提案ができるでしょうか。その一つが「リバースモーゲージ」の利用です。

リバースモーゲージとは、自宅を担保にして、自宅に住み続けながら金融機関から融資を受け、その資金を老後資金などに活用する制度です。融資を受けた方もしくはその配偶者が亡くなった時に自宅を売却して、その代金で融資を返済していきます。リバースモーゲージの歴史は意外にも日本では1981年から始まっています。東京都武蔵野市が導入した「福祉資金貸付制度」がその始まりと言われています。現在では、メガバンクを始め、地方銀行、信用金庫、信用組合などで取り扱いがなされています。このリバースモーゲージを利用して、老後資金を確保する方法は、子どもがいない夫婦や自宅を売ってでも資金化して老後資金を確保したいという方に向いています。一体どんな制度なのでしょうか?

①リバースモーゲージのメリット
リバースモーゲージは、住宅ローンとは異なり借りたお金を毎月返済するわけではありません。借りたお金を亡くなった際に担保を売却しまとめて返済する方法です。

リバースモーゲージのメリットは、今住んでいる自宅にそのまま住み続けられること。融資額は自宅の担保評価により異なりますが、一括または年金のように毎月受け取ることも可能です。そして、融資額は生活資金だけではなく、旅行費用やリフォーム資金などに利用することも可能です。

この他、利用できる年齢は60歳以上などシニア層が対象となっており、収入要件は住宅ローンと比べてさほど厳しくないといってよいでしょう。

②リバースモーゲージのデメリット
一方、リバースモーゲージのデメリットとして、対象となる住宅は一定の条件があることをあげておきます。マンションは対象外となるケースが多く、地域も制限される場合が多いです。基本的には一戸建てで資産価値の高い不動産が対象となります。

また、利用にあたり推定相続人全員の同意が必要となる点は注意です。そのため、相続人がいる場合には、反対され利用できないということも想定されます。

この他、長生きするとその分融資を受け、返済額が多くなった場合、融資枠を使い切り生活費に不足する恐れもあります。一般的には変動金利のため、金利が上昇した場合には返済額が膨らむ可能性もあります。

こうしたメリット、デメリットを活かして、お子さまがいないご家庭等ニーズのありそうなお客様に提案をされるとよいでしょう。

<過去問題の演習>
3級・2級受験者、いずれも解いてみてください。

次の問題に答えなさい。○✕問題

【問題1】
元金1,000,000円を年利1%の1年複利で2年間運用した場合の元利合計金額は、税金や手数料等を考慮しない場合、1,020,100円である。

<解答> ○
1年複利の計算は、元金×(1+年利)年数乗で計算できます。本問の場合、100万円×(1+0.01)2乗=1,020,100円となります。

【問題2】
ある債券の信用リスク(デフォルトリスク)が高まった場合、一般に、その債券の価格は下落し、利回りは上昇する。

<解答> ○
信用リスクが高まると、返済されない恐れが出てきます。そのため、その債券価格は下落することになり、利回りは上昇します。

いかがでしたでしょうか?

それではまた次回、お楽しみに★