ファイナンシャルプランナー講座の講師ブログ

ご存じですか?農業者年金について

皆さん、こんにちは。
フォーサイトFP専任講師の伊藤です。

農家さんならではの上乗せ年金に、農業者年金があることはご存じでしょうか。今回と次回において、一般的には知られていない農業者年金について解説していきたいと思います。

■年間60日以上農業に従事している方が対象
まず、農業者年金に加入できるのは、年間60日以上農業に従事している国民年金第1号被保険者が該当します(60歳以上65歳未満の任意加入者含む)。国民年金免除者は除きます。自営業者の上乗せ年金として国民年金基金がありますが、その農家さんバージョンとして匹敵するのが農業者年金です。とはいえ、条件等が異なるため、全く同じというわけではありません。また、農業者年金と国民年金基金および個人型確定拠出年金(イデコ)とは重複加入できない点に注意が必要です。

■終身年金であり、80歳前に亡くなられた場合には死亡一時金が支払われる
農業者年金は、国民年金同様、終身年金です。毎月の掛金が確定している確定拠出型であり、国内債券を中心に安全性を重視した資産構成により運用されています。イデコとは異なり、ご自身で何に投資するか決める必要はありません。制度発足以降の19年間(令和2年度まで)の運用利回りの平均は、年率2.97%となっています。運用益は非課税で年金原資として積み上がっていくほか、年金受け取り時は公的年金等控除が適用されます。
しかも65歳以降の年金裁定時に、ご自身の年金原資が支払った掛金合計を下回る場合には、危険準備金からマイナス分が補填される仕組みがあります。支払った掛金は全額社会保険料控除の対象となる点も考慮すると、非常にメリットの大きい年金であることが分かります。
この他、80歳前に亡くなった場合には、80歳までに受け取れるはずであった農業者老齢年金額の死亡時現在価値相当額が遺族に死亡一時金として支払われます。単純な終身年金ではなく保証期間が付いているのが大きな特徴です。

※農業者年金の想定利回りは、65歳までが年2.5%となっています。65歳以降の予定利率は0.3%とし、受け取れるであろう年金額が試算されています。現状では19年間の運用利回り平均が年2.97%となっているため、想定を上回った運用が行われています。

次回に続きます。

<過去問題の演習>
3級・2級受験者、いずれも解いてみてください。

次の問題に答えなさい。○✕問題

【問題1】
弁護士の登録を受けていないFPのBさんは、資産管理の相談に来た顧客の求めに応じ、有償で、当該顧客を委任者とする任意後見契約の受任者となった。

<解答> ○
弁護士の登録を受けていないFPでも、有償で、当該顧客を委任者とする任意後見契約の受任者となることは可能です。個別具体的な法律相談は弁護士の登録が必要となります。

【問題2】
生命保険募集人の登録を受けていないFPのDさんは、ライフプランの相談に来た顧客に対して、生命保険の一般的な商品性や活用方法を有償で説明した。

<解答> ○
生命保険募集人の登録を受けていないFPでも、生命保険の一般的な商品性や活用方法を有償で説明することは可能です。生命保険の募集(販売)を行うには、生命保険募集人の登録が必要です。

いかがでしたでしょうか?

それではまた次回、お楽しみに★