ファイナンシャルプランナー講座の講師ブログ

ご存じですか?農業者年金について(その2)

皆さん、こんにちは。
フォーサイトFP専任講師の伊藤です。

前回に続いて、一般的には知られていない農業者年金について解説していきたいと思います。

■条件に該当すれば保険料の補助が受けられる
ご家族で農業を営んでいる場合などには、夫だけではなく妻も単独で農業者年金に加入できます。農業経営から生じる収益が、経営主とその配偶者又は後継者の双方に帰属することなどの事項が盛り込まれている家族経営協定を締結している場合には、保険料の国庫補助が受けられます。
また、39歳までに農業者年金に加入し、農業所得が900万円以下、認定農業者で青色申告者等の条件を満たしている場合にも保険料の国庫補助が受けられます。この国庫補助が受けられる期間は、35歳未満であれば一定の要件を満たしているすべての期間であり、35歳以上の場合は10年以内とされており、通算して最長20年間となっています。この国庫補助をもとに受け取ることができる年金は特例付加年金と呼ばれています。特例付加年金を受け取るためには、①農業者年金の被保険者期間等が20年以上、②65歳に到達していること(60歳から繰上げ可能)、③農業を営むものでなくなること、つまり引退すること(経営承継は65歳以降でも可能)という3つの要件を満たした場合に支給されます。

■途中脱退、再加入も可能
保険料は、月額2万円(35歳未満で国庫補助の対象とならないケースは1万円)から6.7万円の間で自由に決めることができます。いったん決めた保険料について支払いが厳しいといった場合には、千円単位で希望する額に変更できます。ただし、保険料の国庫補助を受けている場合には自由に変更できません。
また、途中で脱退して保険料の支払いを一時停止することも可能です。この場合には、納めた保険料は脱退一時金として受け取ることはできません。脱退後も農業者年金基金が運用を続け、将来に年金として支給されることになります。加入要件を満たせばいつでも再加入も可能です。

農業は人間が生きるうえでの根幹であり、我々の生活は農家さんあって成り立っているわけです。農家さんが老後に安定した収入を得ることができる仕組みを用いることで、普段の事業も安心して取り組めるよう、農業者年金に加入していない農家さんにFPとしてお声がけをしてみましょう。これだけの税制優遇、しっかりとした仕組みで運用されている年金はそうそうあるものではありませんので、私的年金よりもまずは農業者年金に加入すべきだと考えます。

<過去問題の演習>
3級・2級受験者、いずれも解いてみてください。

次の問題に答えなさい。○✕問題

【問題1】
育児休業給付金は、一般被保険者の休業開始日前1年間に、みなし被保険者期間が通算して6ヵ月以上なければ支給されない。

<解答> ✕
育児休業給付金は、原則として育児休業を開始した日前2年間に被保険者期間が12か月以上必要となります。

【問題2】
介護休業給付金は、同一の対象家族について介護休業を分割して取得する場合、休業開始日から休業日数が通算して93日に達するまでに5回を限度として支給される。

<解答> ✕
介護休業給付金は、同一の対象家族について介護休業を分割して取得する場合、休業開始日から休業日数が通算して93日に達するまでに3回を限度として支給されます。支給額は「休業開始時賃金日額×支給日数×67%」により、算出します。

いかがでしたでしょうか?

それではまた次回、お楽しみに★