ファイナンシャルプランナー講座の講師ブログ

資金循環統計から家計の金融資産の動きを確認する(その2)

皆さん、こんにちは。
フォーサイトFP専任講師の伊藤です。

前回に続いて、家計の金融資産の動きを資金循環統計から解説していきたいと思います。

■家計の株式・投資信託受益証券への流入は堅調
老後の資金不安、インフレ対策、NISAなどの公的制度の活用。様々な理由からか、リスク性の資産に家計は資金を振り向けています。2022年4~6月期において、株式等に0.7兆円の純流入となり、投資信託は1.3兆円の純流入となっています。直近1年間で確認すると、株式へは1.2兆円の純流入が生じています。投資信託は9四半期連続で純流入となっており、この間に10兆円を超える純流入となっています。
定期性預金の一部がリスク性資産へ振り向けられた可能性があります。また、2022年3月以降の大幅なドル高円安をはじめとする円安傾向にあったことも資金が流入した一つのきっかけとなっている可能性があります。
今後、円安や資源価格上昇等による物価高が長期的に生じ、日本でもデフレ脳からインフレ脳へとシフトしていく時期が来ているのでしょう。物価上昇リスクに対応するため、リスク資産へ振り向けるといった動きもじわりじわりと広がっていく可能性があります。

■おまけ:日銀の国債保有高が44.3%に
最後に、国債についても少し触れておきましょう。とはいっても家計では日本銀行に関して。2022年6月末時点における国債残高が1225兆円。このうち、542兆円を日本銀行が保有しています。全体に占めるシェアは44.3%となっています。
日本銀行では、今後も現状の金融緩和を続けると主張されているものの、どこまで日本銀行が国債を保有し続けるのか、そして金利を抑えることが今後もできるのかどうか?金利を抑制できるなら、住宅ローン等の金利に影響はないとはいえるものの、果たしてどうなるのか?日米の金利差が拡大し、さらにドル高円安へと広がるのか?日本銀行の今後の行動は家計の金融資産にも大きな影響を与えることになります。それによって、今後の家計金融資産の配分なども変わってくることになるでしょう。引き続き、日本銀行の動向には目が離せません。

<過去問題の演習>
3級・2級受験者、いずれも解いてみてください。

次の問題に答えなさい。○✕問題

【問題1】
同一の事由により、障害厚生年金と労働者災害補償保険法に基づく障害補償年金が支給される場合、障害補償年金は所定の調整率により減額され、障害厚生年金は全額支給される。

<解答> ○
同一の事由により、障害厚生年金と労働者災害補償保険法に基づく障害補償年金が支給される場合、障害厚生年金は全額支給されますが、障害補償年金は所定の調整率により減額されます。

【問題2】
老齢厚生年金や遺族厚生年金等の年金給付を受ける権利(基本権)は、原則として、その支給すべき事由が生じた日から5年を経過したときに時効により消滅する。

<解答> ○
老齢厚生年金や遺族厚生年金等の年金を受ける権利(基本権)は、権利が発生してから5年を経過したときは、時効によって消滅します。

いかがでしたでしょうか?

それではまた次回、お楽しみに★