ファイナンシャルプランナー講座の講師ブログ

経済・物価情勢の展望から先行きの日本経済を捉える②

皆さん、こんにちは。
フォーサイトFP専任講師の伊藤です。

前回に続いて、最新の「経済・物価情勢の展望」を確認し、先行きの日本経済がどうなりそうなのか、確認してきたいと思います。

■物価上昇率は徐々にプラス幅を縮小へ
物価上昇率に関して、日本銀行はどう考えているのか確認していきましょう。経済・物価情勢の展望では、物価の先行きに関して以下のように示しています。
「物価の先行きを展望すると、消費者物価(除く生鮮食品)の前年比は、目先、輸入物価の上昇を起点とする価格転嫁の影響から高めの伸びとなったあと、そうした影響の減衰に加え、政府の経済対策によるエネルギー価格の押し下げ効果もあって、来年度半ばにかけて、プラス幅を縮小していくと予想される。」

また、2022~2024年度の政策委員の大勢見通しでは、2022年度の消費者物価指数(除く生鮮食品)は2022年10月時点の見通しでは中央値で+2.9%であったものが、2023年1月時点では+3.0%へと上方修正しています。そして、2023年度は+1.6%、2024年度は+1.8%と若干ではあるものの上方修正しています。ただし、日本銀行が示すように、現状の物価上昇率よりは来年度以降プラス幅が縮小し2%をきると見込まれています。

米国なども同様に、物価上昇率は2022年がピークであり、今後は上昇幅は縮小するといった見通しが大勢ではないでしょうか。利上げが功を奏している部分が大きいと思います。そのため、日本の物価上昇率も世界の情勢につられて緩やかになる可能性は高いと考えます。物価上昇が緩やかとなれば、経済にはプラスとなることでしょう。

■リスク要因は結局物価にある
なお、物価上昇率のプラス幅は縮小する見込みではあるものの、ウクライナ情勢によっては再度資源・穀物価格の上昇を引き起こす可能性があり、それが各国の利上げにつながり、世界経済にマイナスを与えるという点を日本銀行はリスク要因として示しています。
結局の所、2023年も物価情勢が引き続き世界経済、日本経済、また株価に影響を与える要因として存在することになりそうです。もちろん、新型コロナウィルスの変異株によるマイナスの影響も拭いきれません。

以上、日本銀行の経済・物価情勢の展望から、ポイントを要約しつつ、どのように日本経済を捉えていけば良いか解説を行いました。物価動向は引き続き留意する必要があるものの、日本経済は引き続きゆるやかな成長を遂げる年となりそうです。なお、報道にもあったように一部の企業の賃上げの動きがさらに広がっていくならば、ペントアップ需要とは別に消費拡大が期待できます。果たしてどうなるか?今後の企業動向にも是非注目しておきましょう。

<過去問題の演習>
3級・2級受験者、いずれも解いてみてください。

次の問題に答えなさい。○✕問題

【問題1】
加入者が支払った確定拠出年金の掛金は、その全額が社会保険料控除として、所得控除の対象となる。

<解答> ✕
加入者が支払った個人型確定拠出年金の掛金は、その全額が小規模企業共済等掛金控除として、所得控除の対象となります。

【問題2】
個人型確定拠出年金の老齢給付金を60歳から受給するためには、60歳に達した時点で通算加入者等期間が15年以上なければならない。

<解答> ✕
老齢給付金を60歳から受給するためには、60歳に達した時点で通算加入者等期間が10年以上なければなりません。

いかがでしたでしょうか?

それではまた次回、お楽しみに★