ファイナンシャルプランナー講座の講師ブログ

退職給付の種類①

皆さん、こんにちは。
フォーサイトFP専任講師の伊藤です。

今回は、退職給付の種類について解説していきます。

■退職給付の種類
退職給付には、主に退職金と企業年金があります。基本的な違いは、退職給付を一括で受け取るのか、分割して年金として受け取るのかの違いです。ただし、企業年金についても一時金で受け取ることも可能となっているため、年金として受け取るべきか、一時金として受け取るべきか検討していく必要があります。企業年金には、以下の3種類があります。

①厚生年金基金
確定給付型の企業年金制度には、厚生年金基金と確定給付企業年金があります。
厚生年金基金制度は、我が国の企業年金の中核をなす制度であり、国の老齢厚生年金の一部を国に代わって支給する(代行給付)とともに、企業の実情に応じて独自の上乗せ給付(プラスアルファ給付)を行うことにより、従業員により手厚い老後保障を行うことを目的として、昭和41年に発足しました。

その後、生活水準の向上や経済・投資環境の変化などを踏まえ、制度の充実・改善が図られてきましたが、平成15年9月からは、確定給付企業年金法の制定により、代行部分を国に返し(代行返上)、確定給付企業年金へ移行することも認められるようになっています。厚生年金基金に加入する事業所で働く人で厚生年金の加入者は、役員等も含め原則全員が厚生年金基金に加入することになります。掛金のうち、代行部分の給付を行う基本掛金は労使折半になります。加算部分の掛金に関しては、一般的には企業が全額負担するケースが多いといえます。

代行部分は終身年金、加算部分は各厚生年金基金により受取方法が異なります。なお、加入員が負担する掛金は、全額が社会保険料控除となります。平成26年から厚生年金基金の新規設立が停止となり、過去解散も多く見受けられました。そのため、確定給付型の現在の主流は確定給付企業年金となっています。

次に続く。

<過去問題の演習>
3級・2級受験者、いずれも解いてみてください。

次の問題に答えなさい。計算問題

【問題1】
会社員の平尾さんは、2022年6月末に勤務先を退職した。平尾さんの退職に係るデータが下記<資料>のとおりである場合、平尾さんの退職一時金に係る退職所得の金額を求めなさい。なお、平尾さんは、勤務先の役員であったことはなく、「退職所得の受給に関する申告書」を適正に提出している。また、退職は障害者になったことに基因するものではない。

<資料:平尾さんの退職に係るデータ>
支給される退職一時金:1,300万円
勤続期間:23年3ヵ月

<解答> 110万円
まず、退職所得控除を求める際には勤続期間の月数を繰り上げて24年で計算します。
退職所得控除=800万円+70万円×(24年-20年)
      =1,080万円
退職所得=(退職一時金-退職所得控除)×1/2
    =(1,300万円-1,080万円)×1/2
    =110万円
と計算できます。

いかがでしたでしょうか?

それではまた次回、お楽しみに★