ファイナンシャルプランナー講座の講師ブログ

退職給付の種類②

皆さん、こんにちは。
フォーサイトFP専任講師の伊藤です。

今回は、前回に続き退職給付の種類について解説していきます。

■退職給付の種類(その2)

②確定給付企業年金
確定給付企業年金制度は、厚生年金基金と異なり、国の厚生年金の代行を行わず、上乗せの年金給付のみを行う仕組みです。
厚生年金基金制度は、代行給付があるために終身年金を原則とする等の制約があり、また、近年の資産運用環境の悪化等により財政状況が大変厳しいものとなったことから、代行を行わず、労使の合意で柔軟な設計を行うことができる企業年金制度の創設の要望が寄せられていました。そこで、労使の自主性を尊重しつつ、受給権の保護等を確保した企業年金制度として、平成14年4月に本制度が新たに導入されました。

確定給付企業年金には、従来の厚生年金基金の代行部分をなくした基金型と、従来の税制適格退職年金を改善した規約型の2種類があります。制度を実施する企業において厚生年金の被保険者や私学共済の加入者となっている人は役員を含め全員加入対象となります。ただし、労使合意の上で一定の加入資格を定め加入者を限定することもできます。掛金は原則として企業が全額負担します。老齢給付金は年金支給が原則ですが、一時金で受け取るようにすることもできます。

③確定拠出年金
確定拠出年金(DC)とは、拠出された掛金が個人ごとに明確に区分され、掛金とその運用収益との合計額をもとに年金給付額が決定される年金制度をさします。従来からある厚生年金基金は、年金給付額が確定している点に特徴がありましたが、確定拠出年金では毎月支払う掛金が確定する代わりに加入者自身が運用に携わり、その運用結果次第で年金給付額が変動する点に特徴があると指摘できます。

確定拠出年金には、企業が主に掛金を拠出する「企業型」と個人が任意に加入する「個人型」の2つのタイプがあります。加入者がどのタイプに該当するかによって、拠出できる限度額も異なります。なお、いずれにおいても、加入者自身が支払った掛金は小規模企業共済等掛金控除の対象に、企業が支払った掛金は損金算入の対象となりますので、税制優遇措置があります。また、2012年1月からは、企業型において、企業の拠出だけでなく従業員が上乗せして掛金拠出を行うことができる「マッチング拠出制度」も導入され、利便性は向上しているといえます。2017年以降国民年金第1号・第2号・第3号いずれも確定拠出年金に加入可能となっています。

<過去問題の演習>
3級・2級受験者、いずれも解いてみてください。

次の問題に答えなさい。計算問題

【問題1】
老齢基礎年金および老齢厚生年金は、その年中に受け取る当該年金の収入金額から公的年金等控除額を控除した金額が一時所得として所得税の課税対象となる。

<解答>✕
老齢基礎年金および老齢厚生年金は、その年中に受け取る当該年金の収入金額から公的年金等控除額を控除した金額が雑所得として所得税の課税対象となります。

いかがでしたでしょうか?

それではまた次回、お楽しみに★