皆さん、こんにちは。
フォーサイト、FP講座専任講師の伊藤です。
前回から数回に分けて、2024年に変わることの中から、皆様のFPスキルに役立つことのできる内容を解説していきます。
今回は、金融商品取引法の改正の続きについて。
■公衆縦覧期間の延長
前回の四半期報告書の廃止の他に、もう一点、改正ポイントがあります。それは、公衆縦覧期間の延長です。現行の金融商品取引法では、半期報告書、臨時報告書について、虚偽記載を行った場合の課徴金の除斥期間よりも公衆縦覧期間の方が短いため、課徴金納付命令が行われる際に、公衆縦覧期間が終了している(見れなくなる)事態が生じかねないという問題がありました。そのため、今回の改正案により、半期報告書、臨時報告書の公衆縦覧期間を課徴金の除斥期間と同じ5年間まで延長することとなりました。
四半期報告書の廃止、半期報告書の義務付け、公衆縦覧期間の延長はいずれも2024年4月1日から施行される予定です。四半期決算短信では、監査法人のレビューは求められていないものの、改正後は速報性を意識しながらもレビュー有の短信を公表する企業も出てくるものと思われます。また、これまでの決算短信の内容に加えて、投資家が求める情報をさらに開示するといったことも出てくる可能性がありそうです。
■四半期決算短信の重要性
四半期決算短信の役割がこれまで以上に重要となりそうです。FPとして活動する時が来たら、お客様には、上場企業の情報開示のうち、四半期報告書が廃止となるため、四半期決算短信から企業状況を確認すべきと伝えていきましょう。上場企業には四半期決算短信に何を追加で掲載するかが投資家を呼び込むカギとなってくる可能性があることを伝えましょう。
<過去問題の演習>
3級・2級受験者、いずれも解いてみてください。
次の問題に答えなさい。
【問題1】
投資助言・代理業の登録を受けていないFPが、顧客に対し有償で、特定企業の公表されている決算報告書を用いて、具体的な株式の投資時期等の判断や助言を行った。
<解答>×
投資助言・代理業の登録を受けていないFPが、顧客に対し有償で、特定企業の公表されている決算報告書を用いて、具体的な株式の投資時期等の判断や助言を行うことはできません。なお、株価動向などの基礎的資料の提供は投資助言・代理業の登録を受けていないFPでも行うことができます。
いかがでしたでしょうか?
それではまた次回、お楽しみに★