旅行業務取扱管理者講座の講師ブログ

JR運賃計算の裏技(3)

前回までは、無割引の運賃を(強引に)割引するお話でした。今回は、普通運賃でも工夫により安く上がる方法です。裏技というほどでもないので、今回は「横技」という感じでしょうか。

3.往復するよりも片道がおトク?

〈問4〉東京から金沢を往復したいと思います。運賃は、どのルートがおトクでしょう?

東京からですと、北陸新幹線利用が乗り換えなしの直通で行け、最も便利です。また、時間と乗り換えの手間がかかりますが、東海道新幹線から名古屋、米原を経て、北陸本線経由で行く方法もあります。それぞれのルートの往復運賃(特急料金は除く)を比較してみましょう。

①北陸新幹線経由…営業キロ450.5キロ 片道普通運賃7,480円

 往復運賃は、7,480円×2=14,960円(往復割引は適用不可)

②東海道新幹線・北陸本線経由…営業キロ622.5キロ 片道普通運賃9,790円

 往復運賃は、9,790円×0.9=8,811円→8,810円(往復割引適用) 8,810円×2=17,620円。

割引が適用されなくても、北陸新幹線を利用したほうが安上がりですね。

ここで、第3のルートを考えてみましょう。北陸新幹線〜北陸本線〜東海道新幹線(又はこの逆回り)と、ぐるり一周する行程です。これは、東京から一回りして東京に戻るという、壮大な片道切符になります(乗車券には、「東京都区内⇒東京都区内」と表示されます)。

この場合の通算キロ数は、450.5キロ+622.5キロ=1,073.0キロ→普通運賃は13,970円です。①の場合より990円安くなりました。缶ビール付はムリでも、駅弁は買えてしまいます。②のルートとは3,650円もおトク! 駅弁は加賀御膳、ます寿司、カニめしの3個が買えます!

ここで注目するのは、キロ数は①の往復キロ数より172キロも長いのに、運賃は逆に安くなる、ということです。その理由は、「遠距離逓減法」という、何やら難しそうで実はおトクな規則があるからなのです。JR運賃の1キロあたりの単価は、距離が延びるほど安くなります。特に、600キロを超えると格段に下がり、キロあたり単価は近距離の場合の半分ほどになります。つまり、長〜い片道キップにするほど、安上がりということです。

部分的にでも一周行程を入れると、合計の運賃が安くなることがあります。プランニングの際には、ぜひ参考にしてください。

次回も、遠距離逓減法を取り入れた例をご紹介します。