前回、ドイツの観光街道について書いた際に、
「メープル街道」の名前を出しました。
ちょっと書き足りない気がしましたので、少し補足します。
メープル街道は、カナダのトロント・ナイアガラ地域からケベックまでの、
約800kmにわたる観光ルートです。
名称は、国旗にもデザインされているカエデ(Maple)に由来します。
特に、秋の紅葉の美しさは有名で、この季節には日本からも多くのツアーが実施されています。
お土産にメープルシロップをもらったことがある人も多いでしょう。
また、この地域の特徴は北に向かうほどフランス色が濃くなってゆくことです。
まずこの地域は、1500年代の前半にフランス人が開拓しました。
その後にイギリス、次いでアメリカ人が入ってきましたが、
フランス文化の影響は強く残り、現在でも、首都オタワから北はフランス語圏に属しています。
この少数派のフランス系の住民は、自治権を求め続け、
そのため過去2回(1980年と1995年)ケベックで分離独立の住民投票が行われました。
結果は1~2%の僅差で独立は否決されましたが、
このような歴史的背景のある地域です。
昨年の9月、スコットランドでもこのような話がありましたね。
スコットランド地方は、1700年代の初頭にイングランドと合併し、
現在のイギリスの一部になりました。
観光地としても独特の文化が残り、エジンバラなどが代表的な見どころです。
しかし経済的な不満などが生じて独立運動が盛んになり、とうとう住民投票に至りました。
結果はご存知の通り55%vs45%で、否決されました。
同じヨーロッパのベルギーにも似たような運動があります。
「ヨーロッパの十字路」といわれ、ビールやチョコレートが美味しいベルギーですが、
北部のオランダ語圏と南部のフランス語圏は仲が良くありません。
(ほかにドイツ語圏もあります。)
首都ブリュッセルではオランダ語・フランス語の2つの言語による交通標識があります。
このままでは分裂の危機を迎えるということで、
憲法で首相以外の閣僚を2つの言語圏から同数選ぶことを決めています。
(問題の深刻さがうかがえますね。)
それでも現在、分離を主張する勢力が活動中で、
なお予断を許さない状況だそうです。
これらの国々では、一部の国のような分離・独立に向けた
過激な行動はありませんので、あまり話題になりませんが、
観光産業が盛んな地域でもいろいろあるのですね。