旅行業務取扱管理者講座の講師ブログ

お疲れさまでした!

 10月23日に行われた総合旅行業務取扱管理者試験を受験された皆さん、大変お疲れさまでした! 今年もかなり厳しい問題内容でしたが、皆さんの手ごたえはいかがだったでしょうか。実施直後の講評(https://www.foresight.jp/ryokou/sokuhou/sougou/)をホームページに掲載しておりますので、ぜひご覧ください。
 また、10月26日には、国内旅行業務取扱管理者試験の合格発表が行われました。1人でも多くの方が合格されていますことを、心からお祈りいたします。

 試験後の講評でも触れたのですが、総合管理者試験は、特に海外旅行実務の第10問(狭い意味での「旅行実務」)で難問が多くなりました。この分野は、国際航空運賃、出入国法令実務と並んで得点源の分野だったのですが、ここ2、3年で急激に傾向が変化し、今や難関分野となってしまいました。過去に余り問われていないテーマが連続して出題されたこと(ESTAと液体持ち込み制限)、従来からのテーマが更に掘り下げられたこと(2レターコードにアライアンスが加わる)などが主な理由です。ESTAを含め、外国での出入国自体が、従来は出題頻度の高いものではありませんでした。
 また、OAGフライトスケジュールが問われなくなったことも、貴重な得点源の喪失となっています。この分野で今後もこの傾向が続き、得点源としての地位が失われたままになるのか、合否に直結するだけに強い関心を抱かざるを得ません。

 さて、国内管理者試験の結果が判明しましたので、少し分析をしてみたいと思います。
 本年度の受験申込者の総数は10,343名で、昨年度比は82.1%と大きく減少し、3年連続で前年比10%超の減少となりました。やはりコロナ禍が最大の理由と思います。
 合格率は全受験者で34.9%となり、昨年度の42.6%を7.7ポイント下回る結果となりました。このうち、全科目受験者の合格率は32.9%で、昨年度の合格率40.9%を8ポイントも下回りました。筆者(相馬)は、試験直後の講評で「30%前半、最悪30%割れ」と予想していましたが、何とか最悪の結果は避けられました。しかし、直近5年間(2017〜2021年)では最低の合格率となっています。
 もっとも、2016年以前の5年間の平均合格率は30.2%(全科目)でしたので、その頃の「冬の時代」よりは多少良かったといえます。
 合格率低下の最大の原因は、やはり「国内旅行実務」の難化にあります。法令・約款の2科目のみ受験(国内旅行実務免除)の方の合格率は3.7%のダウンで済みましたので、国内旅行実務の難化の影響が大きかったことが伺えます。具体的な難問につきましては、試験直後に公開した講評をご参照ください。
 職業別・年齢別の合格率は公表されていません。以下、受験者数と合格者数の構成比率からの推定です。
 合格者の年齢層では、25歳以上の受験者が全国平均を上回っています。これは毎年の傾向です。また、職業別では、例年通り旅行業以外の一般社会人が最も高い合格率となりました。一方、圧倒的に受験者数と合格者数が多い学生は、合格率では今年も全国平均を下回る結果となりました。学生層をはじめ若年受験者の方は、特に地理分野が弱点となりがちです。今後の受験をお考えの方は、地理分野の強化が課題となります。

 すでに私たちは来年度の教材作成に着手しています。来年度試験に向けて受講を開始された方には、何回かに分けて教材をお届けしていきます。今回の試験の内容を見て、今後の教材にも反映していくことになります。毎年のことですが、教材改訂は、法令や規則改正よりも、出題傾向の変化を読み取って記述の追加・削除・訂正をすることが多いものです。
 毎年そのような微調整を繰り返して教材作成しており、教材作成時に間に合わなかった改正等は、ManaBunで随時改正情報を公開して行きます。
 ということで、この時期は私たち講師にとって、反省と改善、工夫の1年の始まりでもあります。来年の秋に、より豊かな実りを得られるように、土壌改良と技術更新の日々が続きます。そう考えますと、本当に自分の仕事は農業に似ているなあと、つくづく思います。

 ではまた!