医療保険の主な給付と国民健康保険を理解する
医療保険は病気やケガの治療費だけでなく、休業中の生活費や出産費用まで幅広くカバーしています。この講義では、医療費が高額になった場合に自己負担を抑える「高額療養費」、休業中の生活を支える「傷病手当金」、出産時に支給される「出産育児一時金」という3つの給付と、自営業者等が加入する「国民健康保険」の仕組みを、具体的な数値とともに整理して解説します。

高額療養費は、長期入院などで医療費の自己負担額が一定額(自己負担限度額)を超えた場合に、その超えた金額が保険から払い戻される制度です。ただし、保険外併用療養費の差額部分や入院時食事療養費、入院時生活療養費の自己負担額は対象外です。あらかじめ「限度額適用認定証」の交付を受けて医療機関の窓口に提示すれば、医療機関ごとに1ヵ月の支払額を自己負担限度額までにとどめることができます。

70歳未満の医療費の自己負担限度額(1ヵ月あたり、外来・入院とも世帯ごと)は所得区分によって異なります。標準報酬月額83万円以上では「252,600円+(総医療費-842,000円)×1%」、28万円未満では57,600円、低所得者(住民税非課税)では35,400円などと定められています。

傷病手当金は、病気やケガのために会社を休み、療養により連続して3日以上欠勤し給料が支払われない場合に、4日目から通算して1年6ヵ月を限度に支給される制度です。支給額は、休業1日につき標準報酬日額の3分の2相当額で、傷病手当金の額を下回る給与の支給があった場合はその差額が支給されます。なお、任意継続被保険者には原則として傷病手当金は支給されません。

出産育児一時金(家族出産育児一時金)は、被保険者またはその被扶養者が出産した場合に、1児につき50万円(産科医療補償制度に加入していない医療機関等で出産した場合は48.8万円)が支給される制度です。多胎児を出産したときは胎児数分だけ支給されるため、双子の場合は出産育児一時金が2人分になります。

国民健康保険は、自営業者等であって被用者保険(健康保険等)に加入していない者が加入する医療保険です。保険者は都道府県・市(区)町村、国民健康保険組合で、被保険者は市町村または特別区が行う国民健康保険の被保険者と、組合が行う国民健康保険組合の被保険者に分かれます。健康保険と異なり被扶養者という区分がないため、加入者全員が被保険者となります。

高額療養費・傷病手当金・出産育児一時金は、それぞれの給付の対象者・金額・支給期間の違いを問う出題が多い分野です。「医療費が高額になったとき」「休業したとき」「出産したとき」というように、給付を受ける場面ごとに整理すると覚えやすくなります。国民健康保険は健康保険と異なり被扶養者の区分がないという特徴も、あわせて押さえておきましょう。