30代・異業種未経験からFPへ|資格の側で決まっていることと、自分で決められること
- キャリアの展開

30代で、いまの仕事はFPと関係のない分野。そこからキャリアを変えられるのかと考えたとき、不安だけが大きくなって動けなくなることがあります。「30代・未経験」という一語に、年齢のことと、FPの実務経験がないことと、いまの業種のことが混ざったままだからです。
この3つは、答えが書いてある場所が違います。この記事では、資格制度の側ですでに決まっていることと、自分で決められることに分けて、何から確認すればよいかを解説します。
なお、本記事はFPのキャリアを扱うFPナビの一部です。FPの仕事内容や年収から確認したい方は、まずこちらのページをご覧ください。
「30代・未経験」は、3つの別のことを指している
混ざったままでは、確認しようがない
「30代・未経験」という言葉には、実は別々の3つのことが含まれています。年齢のこと、FPの実務経験がないこと、そしていまの業種がFPと関係のない分野であることです。
どこに答えが書いてあるかは、3つでそれぞれ違います。年齢と実務経験については、資格制度の側に条件が文字で定められていて、自分で読めば確認できます。一方、異業種から来たことをどう評価するかは、採用する会社の側にしかありません。
「30代だから遅いのでは」と感じている方の話を聞くと、実際に引っかかっているのは3つ目であることが少なくありません。その場合、年齢を気にしていても答えは出てきません。逆に、いまの業種をどう見られるかは会社ごとに違うので、悩んでも確定しない問いを抱え続けることになります。
混ざったままの不安を3つに分けると、いますぐ自分で確認できることと、確認しようがないことがはっきりします。この記事では前者から順に見ていきます。
資格の側に年齢の条件はなく、確かめるのは実務経験の範囲だけ
FP2級の受検資格は3つのルート
FP2級を受けるための条件は、「3級合格」「2年以上の実務経験」「AFP認定研修修了」のいずれかを満たすことです。この中に年齢の条件はありません。30代であることを理由に受検できなくなることはない、というのが制度の側の答えになります。
ただし「2年以上の実務経験」については、自分が当てはまるかどうかを先に確かめる必要があります。日本FP協会が挙げているのは証券・保険・銀行などの金融機関だけではありません。一般事業会社や官公庁で福利厚生・金融・財務・経理を担当する方、不動産会社や建設会社で土地建物の取引や相談にあたる方、会計事務所の職員なども含まれます。該当するかどうかは自己申告での判断になるため、下の一覧で自分の職務が当てはまるか確認してください。
参考:日本FP協会「2級FP技能検定 受検資格「実務経験」について」
当てはまらなかった場合に残るのは2つです。3級から順に受けて2級に進むか、AFP認定研修を修了して2級から受けるか。どちらを選ぶかは、これまでにお金に関する知識へ触れてきたかどうかや、学習に充てられる時間によって変わります。3級を経由しない場合の条件と注意点はFP2級はいきなり受検できる?で、受検先の選び方はFP協会ときんざい、どっちで受けるべき?で解説しています。
つまり「未経験だと受けられないのではないか」という不安は、制度の側では成り立ちません。どのルートを通るかが変わるだけで、受けられなくなるわけではありません。ここは調べれば確定する話なので、先に片づけてしまえます。
合格したあとにも、自分で決める手続きが残っている
「合格」と「認定」は別のもの
2級に合格したところで終わりではありません。その先に、AFP認定を受けるかどうかという選択が残っています。
AFP認定を受けるには、2級の合格に加えて認定研修を修了している必要があります。合格しただけで自動的に認定されるわけではなく、認定を受けたあとも継続教育が続きます。かかる費用や、認定を受けることで何が変わるのかはAFP登録の費用とメリットにまとめています。
転職の時期を考えるときは、合格日だけを見ないほうが計画を立てやすくなります。合格した状態で応募するのか、認定まで済ませてから動くのかで、準備にかかる期間が変わってくるからです。求人の出方に合わせて動きたいなら前者を、腰を据えて準備してから臨みたいなら後者を選ぶ、という考え方もできます。
どこまで進めてから動くかは、制度が決めることではありません。自分で決められる部分です。
会社が見る「経験」は、業種名のことではない
「何をしてきたか」より「何を身につけたか」
採用する側が知りたいのは、前職の業種名そのものではありません。そこで何を身につけ、それが新しい環境でどう活きるかです。

接客業で培った対人対応力、事務職で培った正確な事務処理能力。業種を問わず身につくこうした力は、相談業務の土台として活きます。FPの相談業務には、相手の状況を丁寧に聞き取り、分かりやすく整理して伝えるという要素が大きいためです。営業で課題をヒアリングして提案してきた経験があれば、その流れはそのまま重なります。
頭の中で考えるだけでなく、担当してきた業務や成果を紙に書き出してみると、思いがけない共通点が見えてくることがあります。自分の経験を業種ではなく「培った力」で棚卸しすると、伝えられる強みが見えてきます。
FPの仕事が実際にどう組み立てられているかはFPの仕事内容を完全解剖で扱っています。資格を強みとして伝える型については、学生向け就活アピール術で紹介している考え方が中途採用の場面にも通じます。学習と仕事を両立した方がどう進めたかはFP講座の合格者の声に掲載されています。
求人票から読み取れること・読み取れないこと
「未経験可」は会社が決めた条件
求人票に書かれた「未経験可」は、その会社が決めた採用の条件です。試験や認定の要件として決まっているものではありません。
制度として文字で定められているのは、受検資格と認定の要件までです。誰を採用するかは各社の判断なので、同じ「未経験可」でも求めているものは求人ごとに違います。ここを資格の話と混ぜてしまうと、「資格を取れば応募できるはず」「未経験可でないから資格が足りない」といった、どちらも実態と合わない読み方になりがちです。
そのうえで、知識が活きる求人かどうかは業務内容から読み取れます。同じ「営業職」という肩書きでも、扱う商品やお客様との関わり方は業界によって大きく異なります。税金・保険・資産運用・不動産・相続といった範囲は、お金の相談や提案を含む仕事と直結するので、職種名ではなく業務内容の欄にその要素があるかを見るほうが手がかりになります。
資格で説明できる範囲と、応募してみないと分からない範囲。この2つを分けておくと、求人票の読み方が変わります。
学習の費用は、どこで確認できるかが決まっている
「調べようがない」ものではない
転職を考えるとき、学習にかかる費用が判断を止めてしまうことがあります。ただ、費用についても確認する先は決まっています。
国には教育訓練給付制度があり、要件を満たす方が指定された講座を受講・修了した場合に、費用の一部が支給されます。自分が対象になるかどうかは、雇用保険の被保険者期間などの要件と、受けようとする講座が指定の対象かどうかの両方で決まります。どちらもハローワークで確認できるので、見込みで判断せずに問い合わせてしまうほうが早く片づきます。
在職中のうちに確認しておくと、退職や転職のタイミングも含めて計画を立てやすくなります。フォーサイトのFP講座と給付制度の関係は教育訓練給付制度のページにまとめています。
費用は調べようがないものではなく、確認先が決まっているものとして扱えます。
未経験の段階で、今日決められることの順番
決められることから順に埋めていく
採用の側にしかない答えを待っている間も、自分で決められることはあります。
まず決めるのは、どのルートで2級の受検資格を満たすかです。これまでの職務が実務経験に当てはまるかを確かめ、当てはまらなければ、3級から順に受けるか、AFP認定研修を修了するかを、自分の知識と使える時間に合わせて選びます。次に、いつの試験を受けるかを決めます。FP技能検定日カレンダーで試験日と申込みの期間を確認し、そこから逆算して学習にあてる期間を押さえます。そして、その間にこれまでの業務で身につけた力を書き出しておきます。
いずれも会社の判断を待たずに進められることです。決められるところから埋めていくと、「30代・未経験」という言葉の輪郭は小さくなり、次に手をつけることが具体的になります。
講師からのアドバイス
未経験からの一歩を考えるうえで伝えたいこと
金山 浩晃講師の経歴はFP講座の講師紹介ページでご覧いただけます。
この記事のまとめ
よくある質問
資格の側に年齢の条件はありません。定められているのは受検資格のルートと認定の要件までで、年齢を理由に受検できなくなることはありません。
受検できます。FP2級の受検資格は「3級合格」「2年以上の実務経験」「AFP認定研修修了」のいずれかで、実務経験は3つのうちの1つにすぎません。なお実務経験の範囲は金融機関に限らず、一般事業会社の経理・財務や福利厚生の担当なども挙げられています。当てはまらない場合は、3級から受けるか、AFP認定研修を修了して2級から受けることになります。
「未経験可」は採用する会社が決めた条件で、試験や認定の要件として決まっているものではありません。求人ごとに求めるものが違うため、職種名だけでなく業務内容まで読むことをおすすめします。
フォーサイトで学んだ方の合格までの道のりは、FP講座の合格者の声で紹介しています。忙しい社会人や家庭と両立した方の体験談も掲載されています。

未経験からの一歩を踏み出すときは、「ゼロから始める」のではなく「いま持っているものに何を足すか」と考えてみてください。これまでの経験は消えてなくなるわけではなく、FPの知識と組み合わさることで、あなたにしか語れない強みになります。制度の側で決まっていることは調べれば分かります。焦らず、確認できるところから順に片づけていきましょう。