媒介契約の規制 ― 趣旨
テキスト36ページ、2-4「営業活動を開始しましょう」に入ります。四角の1番「商品たる物件を仕入れます」、媒介・代理契約の規制がテーマとなります。まず趣旨です。民法上は、誰と、どのような内容の契約をしても自由であり、またその契約を書面化することも要求されていません。しかしそれでは、宅建業者Aが依頼を受けて取引する場合(媒介もしくは代理)、依頼者Bさんとの間で「約束した・しない」といったトラブルが発生する危険があります。
そこで宅建業法はまず、①契約内容を類型化し、その中から当事者が好みのタイプを選ぶものとし、また②後のトラブルを防止するために、一定事項を書面化して業者は依頼者に交付しなければならないものとしました。③が重要です。今から勉強する媒介契約の規制は、賃貸借の媒介については適用されませんので、ここをしっかり押さえておきましょう。④媒介契約の規制は、依頼者が宅建業者である場合にも適用されます。つまり宅建業者間でも適用があるわけです。また、代理の場合にも媒介契約の規定が準用されます。
媒介と代理の違い
37ページ、「媒介と代理の違い」です。言葉は似ているようで、実際は意味が全然違います。1番の媒介は、売主B(貸主)と買主C(借主)の間に入り、依頼を受けて契約を成立させる行為です。つまり、契約を実際に結ぶ権限はないわけです。イラストで、業者Aが売主Bと買主Cの間に入る3者の関係を確認しておいてください。
一方、2番の代理は、売主Bまたは買主Cの依頼を受けて相手方と実際に契約をし、その効果が依頼者に帰属する関係です。つまり、契約を結ぶ権限がある。ここが媒介と代理の違いとなります。
契約のタイプ ― 3種類の媒介契約
38ページ、かこ1「契約のタイプ」です。ここがまた黄色の枠で星5個、10年間の出題率12/12という最重要テーマです。媒介契約は大きく、一般媒介契約・専任媒介契約・専属専任媒介契約の3つのパターンに分かれ、右に行くほど宅建業者と依頼者との関係が深く濃くなります。まず、他の宅建業者に重ねて依頼できるか。一般媒介は重ねて依頼することができ、重ねて依頼したことを明示する義務がある型とない型(明示型と非明示型)があります。専任媒介・専属専任媒介では、他の宅建業者に重ねて依頼できません。簡単に言えば、右に行くほど浮気はできないということです。続いて自己発見取引(自分で契約の相手を見つけること)ができるか。一般・専任は可能ですが、専属専任は不可で、約束を破ったら違約金を請求されることがあります。
有効期間と業務処理状況の報告義務
続いて有効期間です。一般媒介には定めがありませんが、専任・専属専任の場合には①3カ月以内という有効期間があります。②もし3カ月を超える定めをしても、その期間は無効となって3カ月に短縮されます。③更新は可能です。ただし依頼者からの申出のある場合に限られ、さらにその期間もやはり3カ月以内とされます。米印のとおり、自動更新は不可です。業務処理状況の報告義務は、一般媒介はなし、専任媒介は2週間に1回以上、専属専任媒介は1週間に1回以上で、この期間には休業日を含みます。報告の方法は書面で行う必要はなく、口頭ベースや電子メールでもOKとされています。そして契約の相手方を探索する義務、つまり後で見るレインズというシステムに登録する義務は、一般はなく、専任・専属専任にはあります。
レインズへの登録 ― いつ・どこで・どのように
39ページ、ではレインズに登録する義務はいつあるのか。専任媒介の場合には媒介契約を締結した日から7日以内、専属専任媒介は5日以内で、この期間はいずれも休業日を除くとされていますので注意しましょう。どこで=指定流通機構(レインズシステム)で、です。しつこいようですが、一般媒介の場合にはこの登録義務はありません。どのように行うか。①業者は指定流通機構に、物件についての所在・規模・形質・売買すべき価額など8項目の事項を登録します。②業者はきちんと登録したら、登録を証する書面を遅滞なく依頼者に引き渡します(依頼者の承諾を得て、電磁的記録により提供することもできます)。そして③きちんと契約を結ぶことができたら、レインズから情報を削除してもらう必要がありますから、業者は契約が成立したとき遅滞なく、(1)契約成立年月日 (2)取引価格 (3)登録番号をレインズに通知することが必要とされています。また、申込みがあった旨の報告として、業者は売買または交換の申込みがあったときは遅滞なく、その旨を依頼者に報告しなければなりません。
指定流通機構(レインズ)を介した取引の仕組み
40ページをご覧ください。先ほどからレインズ、レインズと言っていますが、要するに大量の物件情報を指定流通機構に登録・検索できるシステムです。売主Aから依頼を受けた業者Bが物件を登録し、買主Dから依頼を受けた業者Cがその情報を見ることで、大量の中から最も希望に添った条件の取引が可能になり、早く契約を結ぶことができる、お客さん同士を結びつけることができる仕組みです。もしイメージがつかなかったら、この40ページのイラストで確認をしておきましょう。
書面化におけるルール ― 誰が・いつ・どのように
41ページ、かこ2番「書面化におけるルール」です。まず書面化が要求される取引の種類。①宅地建物の売買・交換の媒介・代理契約に限られます。②貸借の媒介・代理契約には、書面化の義務はありません。媒介契約の規制は、貸借の媒介を規制するものではないからです。③専任媒介契約・専属専任媒介契約だけでなく、一般媒介契約の場合にも書面化が必要とされています。④書面の交付に代えて、依頼者の承諾を得て、電磁的方法により提供することもできます。
では媒介契約書は誰が作るのか。宅建業者が作ります。たとえ依頼人がプロの宅建業者であっても省略することはできず、書面の作成・交付は必要です。いつ作るのか。売買・交換の媒介・代理契約を締結した後、遅滞なく作成し、依頼人に交付します。そして、作成した書面には宅建業者が記名押印します。宅建士が媒介契約書面に記名押印するのではない点、ここは注意が必要です。
書面への記載事項 ― 9項目
42ページ、書面への記載事項(何を書くのか)です。ここも黄色の枠で星5個、出題率9/12と非常に高いところです。①宅地建物を特定するために必要な表示。②売買すべき価額または評価額。米印に注意してください。業者が価額または評価額について意見を述べる場合には、単なる勘ではなくその根拠を明らかにする必要があります。ただし明らかにする方法は口頭でOKで、依頼人より高く言うか低く言うか、依頼人の希望の有無に関係なく根拠を明らかにする必要があります。③媒介・代理契約の型。④既存建物の売買または交換のときは、建物状況調査を実施する者のあっせんの有無、そして「無」とするときはその理由。⑤報酬に関する事項。⑥有効期間。⑦契約違反に対する措置。⑧国土交通大臣が定めた標準媒介契約約款に基づくか否か。そして最後⑨番として、指定流通機構への登録に関する事項を記載することとされています。




媒介契約の3種類の比較は、試験で頻出のテーマです。表を使って有効期間・レインズ登録期限・業務報告義務の違いを確実に覚えましょう。