トップ宅地建物取引士講座スピード合格カリキュラム体験講義農地法 ~権利移動・転用・転用目的権利移動~

宅建 講座 体験講義農地法 ~権利移動・転用・転用目的権利移動~

この記事では、法令上の制限(農地法)をテーマにした体験講義の内容をお届けします。自分の土地は自由に売れるのが原則なのに、なぜ農地には規制があるのか、という趣旨から始まり、農地・採草放牧地の定義(登記簿の地目ではなく事実状態で判断)、出題のメインテーマである権利移動(3条許可)・転用(4条許可)・転用目的権利移動(5条許可)の比較、許可権者と市街化区域内の特則、適用除外、そして無許可の場合の効果までを講師が順に解説していきます。

 

 

1. 農地法のかたち ― なぜ農地に規制があるのか
2. 農地・採草放牧地の意義 ― 事実状態で判断する
3. 3条許可(権利移動) ― 農地を農地のまま
4. 4条・5条許可(転用・転用目的権利移動)と許可権者
5. 適用除外 ― 許可がいらない場合
6. 2a未満の特例と無許可の場合の効果
目次
講義の概要

農地法のかたち ― なぜ農地に規制があるのか

テキスト116ページ、農地法に入ります。農地法のかたちで、1問の出題が毎年あります。まず趣旨です。自分の土地を誰に売ろうが(契約自由の原則)、どう利用しようが(所有権絶対の原則)、自由なのが原則です。賃貸借においても、誰と、どのような内容の契約を結んでも自由なのが原則です。

しかし、それでは食料の大切な供給源である農地がなくなったり、放置されたままになる危険性があります。そこで農地法は、農地を確保するために権利移動・転用・転用目的権利移動に対する規制を設けました。学習事項としては、①まず理解の前提となる農地や採草放牧地の意義(定義)、②権利移動・転用・転用目的権利移動に対する規制の内容、の2つを見ていきます。

ポイント:農地は食料の大切な供給源。農地法は農地を確保するために「権利移動」「転用」「転用目的権利移動」の3つの規制を設けている。

農地・採草放牧地の意義 ― 事実状態で判断する

118ページ、5の2「農地・採草放牧地の意義」を見ていきましょう。まず農地とは、耕作の目的に供される土地のことです。①農地であるか否かは、登記簿の地目や所有者等の意思から判断されるのではなく、あくまでも事実状態で判断されます。②休耕地(一時的に耕作を休止している土地)も含まれます。③山林への植林用苗圃・果樹園も含まれます。④一時的に野菜を栽培している土地や宅地内の家庭菜園は含まれません。

続いて採草放牧地です。簡単に言えば、牛が草を食べているイメージを持ちましょう。農地以外の土地で、主として耕作または養畜の事業のための採草または家畜の放牧の目的に供される土地を採草放牧地と呼んでいます。

ポイント:農地=耕作の目的に供される土地。登記簿の地目や所有者の意思ではなく「事実状態」で判断される。休耕地は農地に含まれ、家庭菜園は含まれない。

3条許可(権利移動) ― 農地を農地のまま

120ページ、5の3「権利移動・転用・転用目的権利移動に対する規制」です。この表が出題のメインテーマとなります。テキストでは重要度★5、10年間の出題率はなんと12/12です。要するに、今から見る内容が3条許可がいるのか、4条許可がいるのか、5条許可がいるのか、これがポイントとなります。

最初に3条許可(権利移動)です。対象は、①農地は農地のまま、②採草放牧地は農地に、またはそのまま、で権利を動かす場合です。①所有権の移転(売買をイメージしましょう)、②地上権・賃借権・質権の設定または移転をする場合が該当します。ただし抵当権は含まれません。抵当権は人に権利が移るわけではなく、農地は自分の手元に残ったままですから、3条許可はいらないのです。競売は含まれます。誰の許可が必要かというと、農業委員会の許可です。なお、3条許可については市街化区域の特則はありません。

ポイント:3条許可(権利移動)=農地を農地のまま売買等する場合で、許可権者は農業委員会。抵当権の設定は権利が移らないので許可不要、競売は含まれる。3条に市街化区域の特則はない。

4条・5条許可(転用・転用目的権利移動)と許可権者

次に4条許可(転用)です。農地を農地以外のものに変える場合が対象で、農地を採草放牧地に変える場合も含みます(採草放牧地は対象外です)。農地を例えば宅地に変える、これが4条許可が必要なパターンです。原則として都道府県知事(農業委員会経由)の許可が必要で、例外として、その農地が指定市町村の区域内にあるときは指定市町村の長の許可となります。さらに特則があり、その農地が市街化区域内にあったら、原則・例外が全部飛んで、あらかじめ農業委員会へ届出となります。ここを忘れないでください。

5条許可(転用目的権利移動)は、①農地を農地以外のものに変えて売る、②採草放牧地をそれ以外(農地は除く)に変えて売る、といった場合です。①所有権の移転、②地上権・賃借権等の設定または移転をする場合が該当します。農地を宅地に変えて売ったり貸したりする場合ですね。許可権者は4条と同じで、知事(または指定市町村の長)の許可、市街化区域内であれば農業委員会への届出となります。この4条・5条の特則を押さえておきましょう。

ポイント:4条(転用)・5条(転用目的権利移動)の許可権者は都道府県知事等(指定市町村の区域内は指定市町村の長)。市街化区域内の農地なら、あらかじめ農業委員会へ届け出れば足りる。

適用除外 ― 許可がいらない場合

121ページ、適用除外です。3条については、国や都道府県等が権利を取得する場合、土地収用法等によって農地の権利が収用・使用される場合、そして相続・遺産分割・法人の合併等の場合には、許可ではなく農業委員会に届出となりますので押さえておいてください。あとは民事調停法の農事調停の場合です。

4条は、①国・都道府県等が道路や農業用の用排水施設等の用に供する場合(ここは5条と共通です)、②国・都道府県等が学校・医療施設・庁舎等を造る場合には、国・都道府県等と都道府県知事等との協議が成立することをもって許可があったものとみなされます。これは「許可不要」ではない、という点に注意してください。

ポイント:相続・遺産分割・法人の合併等による取得は3条許可不要だが、農業委員会への届出は必要。国・都道府県等が学校等を造る場合は知事等との協議成立をもって許可があったものとみなされる(許可不要ではない)。

2a未満の特例と無許可の場合の効果

4条の真ん中、2a(200㎡)未満です。この面積を押さえてください。2a未満の農地を農業用の施設の敷地に転用するときには、許可はいりません。

最後に、許可を受けないでした場合の効果です。3条の場合は契約は無効となって、罰則の適用を受けることがあります。4条の場合は、工事をやめなさい・現状に戻しなさいということで工事停止命令・原状回復命令・罰則があります。5条の場合には契約は無効、そのうえ工事停止命令・原状回復命令・罰則がありますので、この内容を押さえておきましょう。122ページにはイメージ図が載せてありますので、その内容で復習をしておいてください。

ポイント:2a(200㎡)未満の農地を農業用施設の敷地に転用する場合は4条許可不要。無許可の効果は、3条=契約無効・罰則、4条=工事停止命令・原状回復命令・罰則、5条=契約無効+工事停止命令・原状回復命令・罰則。

講師コメント

農地法は出題率12/12、つまり毎回出題されるテーマです。3条・4条・5条の比較表を完璧に覚えれば、確実に得点できます。

宅建士講座 窪田義幸
農地法は権利移動(3条)・転用(4条)・転用目的権利移動(5条)の3パターン
許可権者は3条=農業委員会、4条・5条=都道府県知事等(指定市町村の区域内は指定市町村の長)
市街化区域内の農地の転用(4条・5条)は、あらかじめ農業委員会へ届け出れば足りる特例あり
相続による取得は3条許可不要だが、農業委員会への届出は必要
この講義のまとめ
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