地価公示法の目的 ― 設例から考える
テキスト80ページ、4の2番の「地価公示法」に入ります。このテーマは、出ると得点しやすいテーマになります。まずは設例です。地価公示法とは、いったい何のための制度でしょうか。考え方を見ていきましょう。土地をいくらで売ったり買ったりしても自由なのが原則です(契約自由の原則)。しかし、一般の人には土地の正確な値段はつけにくく、また土地の取引におけるさまざまな駆け引きがその土地ばかりでなく、結局は周りの土地の値段にも影響して、土地の値段が異常につり上がってしまうことが多いのです。これでは、一般の人が土地を買う場合に困ってしまいます。また、公共事業を行うにあたって、取得する土地の補償額を決める基準がなくては不都合です。
そこで、公の機関がいくつかの土地についての正常な価格を示して、①一般の土地取引の指標とするとともに、②公共用地等の取得価格の算定規準とすることとしました。これが地価公示法の目的です。
地価公示等の価格情報と標準地の選定
81ページをご覧ください。公示等の価格情報です。国土交通省のWEBサイト(不動産情報ライブラリ)において、不動産の取引価格や地価公示等の価格情報、防災情報、都市計画情報など、不動産に関する各種情報が提供されていますので、できれば皆さんの方で軽く目を通しておきましょう。
82ページをご覧ください。ここからが試験的に重要なまとめとなります。ここでのポイントは「流れ」です。土地鑑定委員会が何をするかという内容が82ページから83ページまで続いていますので、ボックスの左側の流れにも注目しておきましょう。まずは標準地の選定です。試験のポイントは「誰が」という主語、そして「選ぶ」という述語です。標準地は土地鑑定委員会が選びます(国土交通大臣ではありません)。どこから選ぶのかというと、①土地取引が相当程度見込まれるものとして国土交通省令で定める区域(公示区域)の中から選定します。②都市計画区域の内外を問いません。③国土利用計画法の規制区域は除かれます。
公示価格の決定 ― 「正常な価格」とは
標準地の選定の4番も見ておきましょう。標準地は、自然的および社会的条件からみて類似の利用価値を有すると認められる地域において、土地の利用状況、環境等が通常と認められる一団の土地について選定します。このように標準地を選んだら、次は公示価格の決定です。
誰が決定するのか。はじめに2人以上の不動産鑑定士が標準地の価格を鑑定評価し、その結果を土地鑑定委員会が審査調整して正常な価格、つまり公示価格を決定します。ここでも主語・述語に注意しましょう。では「正常な価格」とは何か。①当該土地について、自由な取引が行われるとした場合に通常成立すると認められる価格をいいます。②これが重要です。当該土地に建物等の定着物が存在する場合や、地上権等の権利が付着している場合には、これらの定着物・権利がないものとして価格を算定します。③不動産鑑定士は、標準地の鑑定評価にあたっては、近傍類地の取引価格から算定される推定の価格、近傍類地の地代等から算定される推定の価格、および同等の効用を有する土地の造成に要する推定の費用の額を勘案して行わなければなりません。あわせて、標準地の鑑定評価を行った不動産鑑定士には秘密を守る義務があり、正当な理由なく秘密を漏らしてはいけません。
公示 ― いつ・どんな事項が公示されるのか
83ページをご覧ください。次は公示です。いつ公示されるのか。これはニュースになるので、皆さんも見たことがあるかと思います。毎年1月1日の標準地の平方メートル当たりの価格を、だいたい3月中旬に公示します。毎年1回ですね。流れとしては、官報に公示し、公示事項を関係市町村の長に送付することになります。
そして、どんな事項が公示されるのか。①標準地の所在、②標準地の単位面積当たりの価格および価格判定の基準日、③標準地の地積および形状、④標準地およびその周辺の土地の利用の現況、⑤その他国土交通省令で定める事項、の5つです。できれば暗記を頑張ってください。
公示の効力 ― 「指標」と「規準」の違い
続いて、公示されるとどんな力があるのか、公示の効力を見ていきましょう。①都市およびその周辺地域において、土地取引を行う者は、当該土地と類似する標準地の公示価格を指標として取引を行うように努めなければなりません。②地価公示が実施されている公示区域内の土地について、不動産鑑定士が行う鑑定評価、公共用地の取得価格の算定、土地収用に対する補償金の額の算定の規準となります。
①と②、「指標」と「規準」という同じような言葉があるのですが、意味が全然違うとともに、使われるパターンも違います。問題文中に「取引」とあったら指標、それ以外は規準と覚えましょう。さらに、指標の方は「努めなければならない」という努力義務となっている点にも注意してください。なお、③公示価格を規準とすることの意味については、皆さんの方でお読みください。




公示価格の決定(出題率6/12)と公示の時期・事項(出題率6/12)が特に重要です。正常な価格の定義と公示事項5つを正確に覚えましょう。