保証・連帯保証とは ― 設例で考える
76ページをご覧ください。ここからは、目次で説明したとおり、よく出題されて得点しやすい分野に特化して扱っていきます。3番の「保証・連帯保証」を見ていきましょう。まず設例です。AさんはBさんから「おまえの家を売ってくれ」と頼まれましたが、Aさんとしては、Bさんがきちんと代金を払ってくれるかどうか不安です。しかし、兄弟なので拒むわけにもいきません。Aさんはどうすればよいのでしょうか。考え方としては、何か担保をとればよいのですが、Bさんにはほとんどめぼしい財産がありません。それなら、保証人を立ててもらうしかありません。結論としては、Aさんは代金債権について、お金持ちのCさんに保証人になってもらえばよい、ということになります。
そして、このイラストの中にある※印が結構重要です。通常、主たる債務者(この場合Bさん)が保証人に「保証人になってくれないか」と頼みますが、これは保証の委託契約であって、今から勉強する保証契約ではありません。あくまでも保証契約は債権者と保証人との間で結ばれる契約であることを忘れないでください。
保証契約の成立 ― 書面主義
77ページを見てください。保証債務、まずは保証契約の成立です。①保証契約は、書面か電磁的記録でしなければ、その効力を生じません。要するに、口約束ではダメだということですね。②保証契約は、先ほども言いましたが債権者と保証人との間で締結されるものですから、主たる債務者と連絡を取らず、主たる債務者からの委託を受けないまま債権者に対して保証したとしても、保証契約は有効に成立します。頼まれていないのに保証するというのは不思議に感じるかもしれませんが、契約の当事者はあくまで債権者と保証人だからです。①と②、どちらも試験で問われやすいところですので、セットで押さえておきましょう。
保証債務の範囲 ― 根保証契約と極度額
続いて保証債務の範囲です。①主たる債務に関する利息・違約金・損害賠償など、元本だけでなく、すべて主たる債務に従たるものも含みます。②根保証契約ですね。根保証契約とは、例えば家を借りる場合にその賃料を大家との間でまとめて保証する契約など、保証人となる時点ではどれだけの金額の債務を保証するかわからない場合をいいます(語句説明もお読みください)。根保証契約では、保証人は極度額(責任を負う金額の上限額)の範囲で支払いの責任を負います。ただし、個人の根保証契約では、極度額の定めのない契約は無効になります。この点を押さえておきましょう。
附従性 ― 主たる債務に従う性質
続いて附従性を見ていきましょう。①もともとの主たる債務が成立しなければ、保証債務も成立しません。②主たる債務が消滅すれば、保証債務も消滅します。③主たる債務より保証債務の方が重くなることはありません。重いときはどうなるのか。主たる債務と同じになります。④主たる債務が軽く変更されれば、保証債務も軽くなります(※反対に、保証債務が軽く変更されても、主たる債務もこれに伴って軽くなるわけではありません)。⑤主たる債務が重く変更されても、保証債務は重くはなりません。このあたりは一般常識的に分かるかと思います。
そして⑥です。主たる債務者に対する請求その他の時効の完成猶予および更新はどうなるのか。保証債務についても効力が生じますので、この⑥はしっかりと頭に入れておきましょう。
随伴性と補充性 ― 連帯保証には抗弁権がない
78ページをご覧ください。今度は随伴性です。債権が移転すると保証債務も移転します。いわゆる債権譲渡があった場合ですね。次に補充性です。①催告の抗弁権…まず、主たる債務者に請求せよ、という権利です。②検索の抗弁権…まず、主たる債務者の財産につき執行せよ、という権利です。要するに、債権者がいきなり保証人のところにやってきて「金を返せ」と請求してきたら、普通の保証人には「まずは主たる債務者に請求してくれ」と言い返せる権利(催告の抗弁権)があり、いきなり財産を差し押さえに来たときには「まずは主たる債務者の財産について執行せよ」と言い返せる権利(検索の抗弁権)があるということです。
そして③が超重要です。今見たのは普通の保証人の場合で、連帯保証の場合には、①②のような抗弁権はありません。理由は、保証とはBさんが払わなかった場合に代わりに払うものだから、このような補充性を嫌う債権者のために設けられたのが連帯保証だ、ということです。この点に注意しておきましょう。
保証人の資格と権利
続いて保証人の資格です。①原則として、何ら制限はありません。誰でも保証人になることができます。②例外として、保証人を立てる義務がある場合には、行為能力者であり、かつ弁済の資力を有することを要します。理由は、行為能力者でなければ保証契約を取り消されるかもしれないし、弁済の資力がなければ保証人とした意味がないからです。③保証人が弁済の資力を欠くに至った場合、債権者は保証人の変更を請求できます。ただし、保証人が債権者の指名による場合は、この変更請求は認められません。④保証人は、主たる債務者の委託を受けなくても、また、その意思に反してもなることができます。
続いて保証人の権利を見ていきましょう。①保証人は、主たる債務者が主張することができる抗弁をもって債権者に対抗することができます。②主たる債務者が債権者に対して相殺権・取消権または解除権を有するときは、これらの権利の行使によって主たる債務者がその債務を免れるべき限度において、保証人は、債権者に対して債務の履行を拒むことができます。
保証人への免除
79ページをご覧ください。最後は保証人への免除です。いいですか、保証人への免除ですよ。債権者が保証人の債務を免除しても、当たり前ですが、その効力は主たる債務者には及びません。図のように、主たる債務3,000万円について保証人の債務を1,500万円に免除しても、主たる債務者には影響なしです。反対に、主たる債務者の債務が免除されたら、附従性によって保証人の債務も免除されます。保証債務はあくまで主たる債務を支えるためのものなので、主たる債務がなくなれば保証債務もなくなる、という理屈ですね。免除する相手が保証人なのか主たる債務者なのかで結論が変わりますので、この違いを皆さんしっかりと頭に入れておいてください。




保証のポイントは附従性と補充性の理解です。連帯保証では補充性がなくなる点が特に重要で、試験でもよく問われます。