要素の錯誤とは?|わかりやすく宅建・宅地建物取引士の解説
- 試験内容と難易度

要素の錯誤とは
要素の錯誤とは、民法条文に規定された意思表示の中の1つです。
「要素」とは、「契約の重要な部分に関する」といった意味合いで、「錯誤」とは、「勘違い」という意味です。読み方は「ようそのさくご」です。要素の錯誤とは聞き馴染みのない言葉ですが、宅建の試験においては、意思表示でよく出てきます。
動機の錯誤と表示の錯誤
要素の錯誤は大きく分けて2つの種類があります。
- 動機についての錯誤
- 表示についての錯誤
動機の錯誤
意思と表示は合致していて、間違いはないけれど、そもそもの動機部分で勘違いしていることです。
表示の錯誤
意思と表示がバラバラなことです。意思を表示する際に勘違いしてしまった場合です。
それでは、意思表示するまでの流れで、動機の錯誤と表示の錯誤を解説していきます。意思を表示するまでには、以下の3つの段階があります。
- そろそろ家を建てたい(動機)
- そのための土地を買おう(意思)
- 土地を購入したいと申し込む(表示)
動機の錯誤の例
平さんが、家を建てるための土地を探していたとします。気に入った土地があり、契約をしようと思い(=意思)、その旨を不動産屋さんに伝えました。(=表示)しかし、この土地は池を埋め立ててならした場所で、地盤の強度が十分でないことがわかりました。この事実を先に知っていたら、契約したいとは思わなかったことから、地盤の強度が十分だと勘違いしていたことになります。
「地盤の強度が十分だ」というのが、「動機」にあたり、「勘違い」は錯誤ですので、動機に錯誤があったと言えます。この場合、不動産屋さんに平さんが、動機を明示するか、黙示に表示しなければ、錯誤とは認められません。
表示の錯誤
平さんが、家を建てるための土地を探していたとします。気に入った土地があり、契約をしようと思い(=意思)、その旨を不動産屋さんに伝えました。(=表示)しかし契約書にサインした後に、100㎡だと思っていた面積が、1,000㎡だということに気づきました。
この場合、1,000㎡の土地を買いたい(=動機)とは思っていない(=意思)ので、契約書にサインした(=表示)という行為は、意思と表示がバラバラと言えます。
意思表示~心裡留保・錯誤・虚偽表示など~
まず、無効もしくは取り消しうる意思表示はどのようなものかが問題となります。下記にまとめましたので、是非参考にしてください。
具体例は… 騙されて家を売ること
売主の状況は… 騙されたという落ち度あり
具体例は… 脅されて家を売ること
売主の状況は… 落ち度なし
✓ 詐欺と脅迫の共通点
他人から意思表示を求められた→取消(場合によっては契約を望む)
具体例は… 売主と買主が一緒になって嘘をつくこと(例)仮装譲渡
売主の状況は… 嘘をついたという落ち度あり
具体例は… 勘違いして家を売ること
売主の状況は… 勘違いはよくあることなので、重過失でなければ落ち度なし
具体例 は… 売主が買主に嘘をつくこと
売主の状況 は… 嘘をついたという落ち度あり
※原則、有効ですが、例外として無効になります。
なお、錯誤による取消しは、その錯誤が法律行為の目的および取引上の社会通念に照らして重要なものであることが必要です。また、表意者に重大な過失があったときは、原則として取消しを主張することができません。
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要素(動機)の錯誤に関する過去問
H17 問2
※この問題は2020年4月施行の改正民法より前の出題です。現在は、錯誤の効果は「無効」ではなく「取消し」に改められています(民法第95条第1項)。設問・解説は出題当時のまま掲載しています。
AがBに対し土地の売却の意思表示をしたが、その意思表示は錯誤によるものであった。この場合、次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、正しいものはどれか。
- 錯誤が、売却の意思表示の内容の重要な部分に関するものであり、法律行為の要素の錯誤と認められる場合であっても、この売却の意思表示が無効となることはない。
- 錯誤が、売却の意思表示をなすについての動機に関するものであり、それを当該意思表示の内容としてAがBに対して表示した場合であっても、この売却の意思表示が無効となることはない。
- 錯誤を理由としてこの売却の意思表示が無効となる場合、意思表示者であるAに重い過失があるときは、Aは自らその無効を主張することができない。
- 錯誤を理由としてこの売却の意思表示が無効となる場合、意思表示者であるAがその錯誤を認めていないときは、Bはこの売却の意思表示の無効を主張できる。
解説
- ×
設問の場合、要素に錯誤があり、かつAは重大な過失がないので、無効となり得ます。 - ×
基本的には、動機の錯誤については無効となることはありません。しかし、表意者(A)が相手方(B)に内容を表示していた場合は、無効となり得ます。したがって、「無効となることはない」としている本問は誤りとなります。 - ○
表意者(A)に重大な過失があった場合は、主張を無効とすることができません。よって、本問は正しい記述となります。 ×
錯誤の無効は、表意者を保護するための制度です。したがって、表意者が無効を主張しない限り、無効が認められることはありません。
動機の錯誤 改正ポイント
2020年4月1日に施行された改正民法により、それまで条文に明示されていなかった「動機の錯誤」が明文化されました。具体的には「表意者が法律行為の基礎とした事情についてのその認識が真実に反する錯誤」(民法第95条第1項第2号)と定められています。
また、動機の錯誤を理由に契約を取り消すことができるのは、「その事情が法律行為の基礎とされていることが表示されていたとき」に限られます(同条第2項)。これは、改正前の判例の考え方を条文にしたものです。
重過失についても改正点があります。
改正前も、意思表示をした者に重大な過失がないことが要件とされていました。現行法では、これに加えて以下の2点が定められています(同条第3項)。
- 相手方が表意者に錯誤があることを知っていたか、または、重大な過失によって知らなかったとき
- 相手方が表意者と同一の錯誤に陥っていたとき
この2点のいずれかに当たる場合には、表意者に重大な過失があったとしても、契約を取り消すことができます。

意思表示の重要な部分に関する錯誤があることを、要素の錯誤といいます。
たとえば、1,000万円で土地を売却しようとしたところ、契約書に100万円と記載したような場合がこれに当たります。現行の民法では「法律行為の目的及び取引上の社会通念に照らして重要な」錯誤と表現されています(民法第95条第1項)。動機に錯誤があったとしても、原則としてそれを理由に意思表示を取り消すことはできません。
しかし、たとえば、土地を買う時に、この土地は将来値上がりすることを予測して購入する契約を結んだが、結果としてその土地は値上がりしなかったような場合には、契約の時に、その動機を表示していたときには、錯誤を理由に取り消すことができます。
要素の錯誤とは、契約の重要な部分に関する錯誤をいいます。たとえば、車の購入において、色や排気量などは購入するか否かを決定する上で重要な要素です。このような内容について勘違いがある場合に、錯誤を理由とする取消しを主張できます。
動機が黙示とは、積極的に動機を示さなくてもいい、状況から動機を判断できるような場合を意味します。
