社会保険労務士 講座 体験講義基礎講座2 労働安全衛生法 01 総則

労働安全衛生法は、多くの受験生にとって馴染みが薄く、情報量も膨大なため、効率的な学習戦略が欠かせません。フォーサイトの講義では、試験合格に向けた学習のポイントから、目的条文、重要な定義、そして実務上重要な共同企業体の取り扱いまで、分かりやすくまとめています。

 

 

1. 労働安全衛生法の効率的な学習法と対策
2. 労働安全衛生法の目的と手段
3. 主要な用語の定義:労働災害・労働者・事業者
4. 事業場の単位と業種区分の考え方
5. 作業環境測定とデザイン・サンプリング
6. 関係者の責務:事業者・設計者・注文者・労働者の義務
7. 共同企業体(JV)における規定の適用
8. まとめ
目次
講義の概要

1. 労働安全衛生法の効率的な学習法と対策

労働安全衛生法を学習する上で、まず理解すべきなのは、この法律が非常に膨大な情報量を持っているという点です。労働基準法と比較しても覚えなければならない項目が多い一方で、実際の択一式試験では3問しか出題されません。多くの受験生が3問中1問程度しか正解できないという現状もあり、労働基準法のように隅々まで深く理解しようとすると、学習時間に対する得点効率(コストパフォーマンス)が非常に悪くなってしまいます。

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そこで、本講座では以下の3つのステップによる学習を推奨しています。

  • まずは法律の基本的な考え方を掴むこと
  • 出題頻度の高い重要項目を集中的に学習すること
  • 用語や具体的な数値などの要件は、最終段階で徹底的に暗記すること

最近の選択式試験では数値そのものを問う問題も増加傾向にありますが、基本をしっかり押さえておくことで失点を最小限に抑えることができます。

2. 労働安全衛生法の目的と手段

労働安全衛生法の第1条(目的条文)では、この法律が労働基準法と相まって、労働災害の防止と快適な職場環境の形成を目指すものであることが規定されています。この条文は「手段」と「目的」の構成を正しく理解することが重要です。

まず、目的を達成するための「手段」として以下の3点が挙げられます。

  1. 危害防止基準の確立
  2. 責任体制の明確化
  3. 自主的活動の促進の措置
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これらを推進することにより、最終的に「労働者の安全と健康を確保すること」および「快適な職場環境の形成を促進すること」という2つの目的を達成しようとしています。特に注意が必要なのは、「労働者の衛生」ではなく「労働者の健康」と表記される点です。「衛生」とは事業場における環境面を指す言葉であり、人に対しては「健康」という言葉が用いられます。また、近年の改正では、労働者だけでなく、同じ現場で働く労働者以外の者も保護の対象に含める考え方へとシフトしています。

3.主要な用語の定義:労働災害・労働者・事業者

法律を正しく理解するためには、用語の定義を正確に把握する必要があります。

  • 労働災害: 労働者の就業に係る建設物、設備、原材料、ガス、蒸気、粉じん等により、または作業行動その他業務に起因して、労働者が負傷し、疾病にかかり、または死亡することを指します。「作業行動」とは、例えば重いものを持つといった動作そのものを想定しています。
  • 労働者: 労働基準法に規定される労働者の定義をそのまま用います。ただし、同居の親族のみを使用する事業や家事使用人は除かれます。
  • 事業者: 労働基準法では「使用者」という言葉を使いますが、安衛法では「事業者」と呼びます。事業を行う者で、労働者を使用する主体を指し、法人であればその法人そのもの、個人企業であれば事業経営主を指します。法人の代表者個人は安衛法上の事業者には当たりません。これは、事業経営の利益が帰属する主体に責任を負わせることで、安全衛生上の責任を明確にするためです。

4. 事業場の単位と業種区分の考え方

労働安全衛生法の規定は、「事業場」を単位として適用されます。この事業場の捉え方は労働基準法と同様です。

原則として、工場や事務所など、一定の場所において組織的に継続して作業が行われる単位を「一の事業場」とみなします。同一の場所にあれば一つの事業場、場所が分散していれば別個の事業場とする「場所的観念」によって決定されます。

また、業種区分の決定についても注意が必要です。例えば、製錬所自体は「製造業」に分類されますが、その製錬所を管理している「本社」や「支店」については、管理事務をもっぱら行っている場合、管理対象の業種とは無関係に「その他の業種」として区分されます。このように、実態に合わせて個別に決定される仕組みになっています。

5. 作業環境測定とデザイン・サンプリング

労働者の健康を守るためには、職場の環境が適切に管理されているかを確認する必要があります。そのための手法が「作業環境測定」です。これは空気環境などの実態を把握するために行われる一連のプロセスを指します。

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  • デザイン: 測定対象の作業場において、実態を明らかにするために諸条件に即した測定計画を立てることです。試験ではこの用語自体が問われることもあります。
  • サンプリング: サンプラー(捕集器具)を用いて資料を採取することです。必要に応じて、凍結処理や酸処理といった分析のための前処理も含みます。

現時点では抽象的な内容に感じられるかもしれませんが、まずはこれらの用語の定義をそのまま覚えることが、後の詳細な規定を理解する助けとなります。

6. 関係者の責務:事業者・設計者・注文者・労働者の義務

労働安全衛生法は、事業者だけでなく広範な関係者に責務を課しています。それぞれの責務の強さが異なる点が試験対策上のポイントです。

  • 事業者の責務(義務): 単に最低基準を守るだけでなく、快適な職場環境の実現を通じて労働者の安全と健康を確保「しなければならない」とされています。また、国の施策への協力も義務です。
  • 設計者・製造者等の責務(努力義務): 機械、器具、原材料、建設物の設計・製造・輸入等に携わる者は、労働災害の発生防止に資するように「努めなければならない」とされています。事業者に比べ、間接的な責任であるため努力義務となっています。
  • 注文者の責務(配慮義務): 建設工事の注文者などは、施工方法や工期について、安全衛生的な作業を損なうおそれのある条件を付さないよう「配慮しなければならない」とされています。
  • 労働者及び労働者以外の者の責務(努力義務): 労働者はもちろん、労働者以外の者で労働者と同一の場所において作業に従事する者も規制の対象です。労働災害を防止するために必要な事項を守るほか、事業者が実施する措置に協力するように「努めなければならない」と規定されています。

用語の確認:注文者と発注者の違い

責務を理解する上で重要となる「注文者」と、その中に含まれる「発注者」の定義は以下の通りです。

  • 注文者: 仕事そのものを注文する者のことを指します。
  • 発注者: 注文者のうち、その仕事を他の者から請け負わないで(下請けではなく、一次的に)注文している者を指します。

「発注者」は、いわゆるピラミッド構造の最上部、一番最初に仕事を出す人をイメージすると分かりやすくなります。

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7.共同企業体(JV)における代表者の選任と責任

共同企業体、いわゆるジョイントベンチャー(JV)方式のもとでは、複数の会社が共同で仕事を受注するため、労働災害防止の責任の所在が不明確になりやすいという課題があります。そこで労働安全衛生法では、責任の主体を明確にするための規定を設けています。

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代表者の選任と届け出

2以上の建設業に属する事業の事業者が、一の場所において仕事を共同連帯して請け負った場合、そのうちの一人を代表者として定める必要があります。代表者の選定にあたっては、出資の割合や工事施工における責任の程度を考慮しなければなりません。

定められた代表者は、仕事の開始の日の14日前までに(事前届け出)、届出書を当該場所を管轄する都道府県労働局長へ提出しなければなりません。なお、この届出書の提出は、労働基準監督署長を経由して行います。もし届け出がない場合には、都道府県労働局長が代表者を指名することになります。

適用対象となる「共同施工方式」

この規定が適用されるのは、共同連帯して請け負った事業者の労働者が一体となって工事を施工する「共同施工方式」の場合に限られます。工事の場所を分割してそれぞれが施工する場合は、責任の所在が明確であるため、この規定の対象には含まれません。

代表者の変更と効力

代表者を変更する場合、都道府県労働局長に届け出なければその効力は生じません。代表者の変更があった後は、遅滞なく届出書を都道府県労働局長に提出する必要があります。

責任の所在を明確にする「みなし規定」

共同企業体の代表者を定めた場合、以下の通り「みなして」法律を適用します。

  • 当該事業を「代表者のみの事業」とみなす。
  • 当該代表者を「当該事業の事業者」とみなす。
  • 現場に従事する労働者を「代表者のみが使用する労働者」とみなす。

このように、実態は複数の会社が関わっていても、法律上は代表者一人に責任を一本化することで、労働災害防止の措置を確実に実行させる仕組みになっています。

8.まとめ

労働安全衛生法の総則部分について解説しました。この科目を攻略する鍵は、まず法律の全体像と目的条文をしっかりと固めることです。

  • 労働基準法との用語の違い(事業者と使用者など)を正確に区別する。
  • 各関係者の責務が「義務」「努力義務」「配慮義務」のどれに該当するかを整理する。
  • 共同企業体における代表者の選定や「14日前まで」の届け出、みなし規定の仕組みを理解する。

特に第1条の目的条文は、法律の理念が詰まった最重要項目です。暗記して何も見ずに言えるようになるまで繰り返し確認しましょう。本講座で紹介した基本をベースに、頻出項目を重点的に学習することで、効率的な合格を目指してください。

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