社会保険労務士 講座 体験講義基礎講座5 労働保険徴収法03 労働保険の適用①

社会保険労務士の試験対策において、労働保険徴収法は得点源にしたい重要な科目です。労働保険の保険関係がいつ成立し、いつ消滅するのか。また、強制適用事業と暫定任意適用事業ではどのような手続きの違いがあるのか。法律の全体像を把握しながら、実務でも欠かせない知識をわかりやすく解説していきます。フォーサイトの講義の質の高さと、社労士試験合格に必要なポイントをぜひ体験してください。

 

 

1. 労働保険関係の成立時期と「強制適用事業」の仕組み
2. 保険関係成立届の手続きと提出期限
3. 事業内容の変更と「名称・所在地変更届」
4. 建設事業における「労災保険関係成立票」の掲示
5. 事業規模の縮小による「擬制任意加入」の仕組み
6. 暫定任意適用事業における保険関係の成立
7. 労災保険と雇用保険で異なる同意要件の理由
8. 保険関係の消滅時期とその手続き
9. 暫定任意適用事業における「任意脱退」の制限
10. まとめ
目次
講義の概要

1. 労働保険関係の成立時期と「強制適用事業」の仕組み

労働保険の保険関係がいつ成立するかは、その事業が「強制適用事業」なのか「暫定任意適用事業」なのかによって異なります。

まず「労災保険」についてです。労災保険の適用事業となる事業主については、その事業が開始された日に、法律上当然に保険関係が成立します。また、もともと暫定任意適用事業であった事業が、規模の拡大等によって適用事業(強制適用事業)に該当するに至った場合も、その該当した日に保険関係が成立します。

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「雇用保険」についても同様の考え方をとります。事業が開始された日、あるいは暫定任意適用事業が強制適用事業に該当するに至った日に、保険関係が成立します。これらのように、法律の規定によって当然に保険関係が成立する事業のことを「強制適用事業」と呼びます。

2. 保険関係成立届の手続きと提出期限

法律上当然に保険関係が成立していたとしても、行政側はその事実を把握できません。そのため、事業主は成立した保険関係について行政に届け出る義務があります。この届け出に使用する書類が「保険関係成立届」です。

提出期限と起算日の考え方

保険関係が成立した日の翌日から起算して「10日以内」に届け出を行う必要があります。なぜ当日ではなく翌日起算なのかというと、保険関係の成立は「その日の午前0時」に成立するわけではないため、原則通り翌日からカウントすることになっています。

提出先と記載事項

提出先は、事業の種類や事務委託の有無により異なりますが、原則として以下の通りです。

  • 労災保険: 所轄労働基準監督署長
  • 雇用保険: 所轄公共職業安定所長

届け出には、事業主の氏名または名称、住所、事業の種類、事業の行われる場所、その他厚生労働省令で定める事項を記載します。

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3.事業内容の変更と「名称・所在地変更届」

保険関係が成立した後に、届け出た事項に変更が生じた場合も手続きが必要です。事業主は、名称や所在地などの変更があった日の翌日から起算して10日以内に、その旨を政府に届け出なければなりません。

変更届の提出と確認書類

この手続きは、所定の事項を記載した「変更届」を所轄労働基準監督署長または所轄公共職業安定所長に提出することで行います。行政側が必要と認める場合には、事業主に対して登記事項証明書など、変更内容を確認できる書類の提出を求めることがあります。

特定の事業における追加事項

建設の事業や立木の伐採の事業については、通常の届け出事項に加えて以下の情報の提供が求められます。

  • 建設の事業: 請負金額、発注者の氏名・住所
  • 立木の伐採の事業: 素材の見込み生産量
  • 共通: 法人番号(有する場合)
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4. 建設事業における「労災保険関係成立票」の掲示

労災保険にかかる保険関係が成立している事業のうち、「建設の事業」を行う事業主には特有の義務があります。それは「労災保険関係成立票」を、工事現場など一般の人や労働者から見やすい場所に掲げなければならないというものです。

これは建設の事業に限定されたお話しであり、立木の伐採の事業などは含まれません。建設現場の入り口付近などで、保険関係が成立していることを証明する看板のようなものを見かけることがありますが、それがこの成立票にあたります。

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5.事業規模の縮小による「擬制任意加入」の仕組み

強制適用事業として保険関係が成立していた事業が、労働者数の減少などによって暫定任意適用事業の要件に該当するに至った場合、どのような扱いになるのでしょうか。

通常、暫定任意適用事業が保険関係を成立させるには大臣の認可が必要ですが、このケースでは、その該当するに至った日の翌日に、労災保険または雇用保険の任意加入にかかる厚生労働大臣の認可があったものとみなされます。これを「擬制任意加入」と呼びます。

この仕組みにより、事業の規模が縮小しても保険関係は消滅せず、引き続き成立することになります。また、この「みなされる」手続きについては、事業主から改めて行政に届け出を行う必要はありません。

6. 暫定任意適用事業における保険関係の成立

強制適用事業ではない「暫定任意適用事業」の場合、保険関係を成立させるには事業主の申請と厚生労働大臣の認可が必要となります。

労災保険の任意加入

労災保険では、事業主が申請し、大臣の認可を受けることで保険関係が成立します。また、その事業に使用される労働者の「過半数」が希望するときは、事業主に申請義務が生じます。

雇用保険の任意加入と同意要件

雇用保険の場合は、以下の3つの条件をすべて満たす必要があります。

  1. 事業主が申請すること
  2. 厚生労働大臣の認可を受けること
  3. 労働者の「2分の1以上」の同意を得ること

雇用保険には労働者負担の保険料があるため、加入にあたっては労働者の同意が必須となります。また、労働者の2分の1以上が希望する場合には、事業主に申請義務が発生します。

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7. 労災保険と雇用保険で異なる同意要件の理由

なぜ労災保険と雇用保険で、労働者の同意要件や希望者の割合(過半数と2分の1以上)に違いがあるのでしょうか。

まず労災保険には「被保険者負担分」が存在せず、保険料は全額事業主負担です。一方、雇用保険は労働者も保険料を負担するため、給与に影響が出ることから、より明確な同意の手続きが求められます。

また、要件の厳しさが異なる点については、労働者保護の観点があります。労災保険が成立していなくても、使用者は労働基準法上の「災害補償義務」を負っています。しかし、雇用保険にはそのような代替的な義務がありません。そのため、雇用保険の方が「2分の1以上」という緩い要件で保険関係を成立させやすくし、労働者が守られる機会を増やしているのです。

8.保険関係の消滅時期とその手続き

成立した保険関係は、事業の廃止や終了によって消滅します。この場合、保険関係は廃止・終了の「翌日」に消滅します。これは強制適用事業、暫定任意適用事業のどちらであっても共通です。

事業の廃止・終了の判断基準

事業の廃止や終了は、単に法律上の手続き(法人解散など)が完了した時ではなく、現実的に事業活動が停止し、労働関係が消滅した時を指します。例えば法人が解散しても、残務処理などの清算が行われている間は保険関係が継続し、清算結了の日の翌日に消滅することになります。

消滅時の労働保険料の清算

保険関係が消滅するための特別な届け出は必要ありませんが、これまで納付してきた労働保険料の「清算」手続きは必ず行わなければなりません。事業がなくなったからといって、保険料の精算が免除されるわけではありません。

9.暫定任意適用事業における「任意脱退」の制限

暫定任意適用事業では、廃止・終了以外でも、大臣の認可によって保険関係を消滅(任意脱退)させることができます。ただし、成立時よりも要件が厳しく設定されています。

各保険の脱退要件

  • 労災保険: 労働者の過半数の同意を得ること、かつ成立後1年を経過していること。
  • 雇用保険: 労働者の「4分の3以上」の同意を得ること。

雇用保険の脱退要件が「4分の3以上」と非常に厳しいのは、一度加入したことによって得られた失業給付などの「既得権益」を奪うことになるため、より慎重な合意が必要だからです。

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労災保険の特別保険料と脱退

労災保険において、未加入時の事故に対して特例的に保険給付を受けた場合などは、その費用を補うための「特別保険料」を徴収される期間があります。この期間が経過するまでは、任意に脱退することはできません。

10.まとめ

労働保険徴収法における「適用」のルールは、一見複雑ですが、「いつ成立・消滅するのか」「誰の同意がどのくらい必要なのか」を整理することで体系的に理解できます。

今回のポイントを振り返ると、強制適用事業は事由発生日に「当然成立」し、その後に「10日以内」の届け出が必要であること、一方で暫定任意適用事業は「認可」が成立の鍵となることが挙げられます。また、労災と雇用で同意の割合が異なる理由(保険料負担の有無や代替制度の有無)を理解しておくと、記憶が定着しやすくなります。

社会保険労務士試験の合格に向けて、こうした制度の背景にある「理屈」を理解することは非常に有効です。フォーサイトの基礎講座では、このように難しい法律の条文を整理し、視覚的・論理的に解説しています。この記事で学んだ内容を土台に、さらなる学習を進めていきましょう。

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