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労士試験「選択式足切り」とは?基準点と救済措置の実態、基準点を確実に確保するための対策

社労士試験「選択式足切り」とは?基準点と救済措置の実態、基準点を確実に確保するための対策

「択一式は合格点だったのに、選択式のたった1科目、あと1点のせいで不合格...」社労士試験で多くの受験生がつまずくのが、この『選択式足切り』の壁です。 他の科目で高得点を取っても、1科目で基準点を下回れば、その1年間の努力が無効になってしまう。そんな仕組みを前に、「運が悪ければ落ちてしまうのではないか」と不安を感じていませんか? その不安の背景には、「足切り」と「救済」の仕組みを正しく理解できていないことがあります。本記事では、過去10年以上の公式データをもとに、基準点の決まり方、救済が発動する条件、そして運に頼らない「足切り回避」のための学習戦略と本番での考え方まで、必要な情報を整理して解説します。 この記事を読めば、「足切り」は運だけで決まる課題ではなく、戦略的に対応できる課題であることがわかります。1点を落とさないための対策を身につけ、落ち着いて本番に臨めるようになることを目指します。

なお、本記事は社労士試験の全体像を解説する「社労士試験の完全ガイド」の一部です。試験全体の難易度や科目についてまず把握したい方は、こちらの社労士試験の完全ガイド|難易度・科目・勉強法まで徹底解説をご覧ください。

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もくじ

そもそも「選択式足切り」とは?制度の仕組みを正しく理解する

多くの受験生を苦しめる「足切り」。そのルールを正確に理解することが、対策の第一歩です。

合否を分ける「2つの合格基準」

社労士試験の合否は、以下の2つの基準を両方クリアして初めて「合格」となります。

1. 総得点基準
試験全体の合計点が、その年の合格基準点以上であること。

2. 科目別基準点
各科目で、定められた最低得点以上を獲得すること。

この「科目別基準点」を下回ることが、いわゆる「足切り」です。たとえ総得点が満点近くても、1科目でも足切りにあえば、その時点で不合格となります。

なぜ原則「3点」なのか?選択式と択一式の基準点

社労士試験では、選択式・択一式それぞれに科目別基準点が設けられています。

選択式と択一式の基準点比較
試験形式満点(1科目あたり)原則の合格基準点
選択式5点3点以上
択一式10点4点以上

特に選択式は、5つの空欄のうち3つ以上を正解する必要があり、難所と言われる理由がここにあります。

1科目でも基準点を下回れば不合格になる「足切り」の仕組み
1科目でも基準点を下回れば不合格になる「足切り」の仕組み

過去10年データ徹底分析|救済措置はいつ、どの科目で発動するのか?

「難しい年には救済がある」と耳にしますが、その実態はどうなっているのでしょうか。公式データから、その仕組みと傾向を確認していきます。

「救済」が発動する2つの条件

科目別基準点の引き下げ、いわゆる「救済」は、試験センターの裁量で毎年行われるわけではありません。原則として、以下の条件を満たした場合に検討されるとされています(公式に明文化された計算式は公表されていません)。

ひとつ目は、対象科目の平均点が、全受験生の平均点の一定割合を下回った場合です。

もうひとつは、対象科目で基準点(原則3点)未満だった受験生の割合が、一定の割合を超えた場合です。

これらの条件を満たした科目について、基準点が「2点以上」に引き下げられる措置が取られます。ごく例外的に「1点以上」まで引き下げられるケースもあり、直近では令和3年度(第53回)の「労一」で発動しています。

データで見る!過去10年間の科目別救済実績

過去10年間で、どの科目が何回救済されたのかを一覧にしました。

過去10年間の科目別救済実績

過去10年間の科目別救済実績

データから読む!救済されやすい科目・されにくい科目の傾向

上記のデータから読み取れるように、救済が入りやすいのは「労働に関する一般常識(労一)」「社会保険に関する一般常識(社一)」です。労一は10年間で5回、社一は4回と 、突出して救済の頻度が高くなっています。これは出題範囲が広く対策が立てにくいため、平均点が下がりやすい傾向があるからです。なお、令和3年度の労一では基準点が「1点以上」まで引き下げられた異例のケースもありました。

「健康保険法」も3回の救済があり、法改正の出題タイミングによっては難化する科目です。

一方で、「労働基準法及び労働安全衛生法」「厚生年金保険法」では過去10年間で一度も救済が発動していません。これらの科目は基本的な条文知識で対応できる出題が多く、ここで基準点を落とすことは避けたいところです。

基準点を確実に確保する【学習戦略編】

救済をあてにせず、自力で全科目の基準点を突破するための具体的な学習戦略を解説します。

戦略の基本:「捨て科目」は作らないが「広範囲科目」は割り切る

足切り制度がある以上、どの科目も完全に捨てることはできません。しかし、全科目に同じ熱量を注ぐのは非効率です。

得点源にすべき科目(労基・安衛・労災・雇用・健保)
過去問を仕上げ、確実に4点以上を狙う。

範囲が広く対策しにくい科目(労一・社一)
満点を狙わず、足切り回避の「3点」を確保する戦略に徹する。

労一・社一対策の最適解:白書・統計は予備校教材で効率化する

独学で膨大な白書や統計資料を読み込むのは、費用対効果が非常に悪いです。ここは専門家の力を借りるのが得策です。

フォーサイトのような受験指導校が提供する「白書・統計対策講座」や専用テキストを活用し、出題可能性の高いポイントに絞って学習するのが、合格への最短ルートです。

目的条文・基本理念で確実に得点する覚え方

選択式では、各法律の目的条文や基本理念がそのまま空欄にされる問題は頻出です。選択式は1科目わずか5点(5空欄×各1点)で合格基準は3点以上。つまり2つ落とすだけで足切りに直結するため、目的条文のような「知っていれば確実に取れる」論点を押さえておくことが重要です。

各科目のテキストの冒頭にある目的条文だけを抜き出し、自分だけの「目的条文暗記ノート」を作成し、スキマ時間に繰り返し音読することをおすすめします。

二神大貴講師

講師からのアドバイス

選択式試験は、知識の『正確性』が問われる試験です。特に、普段の学習で見過ごしがちな目的条文や定義規定は、本番で合否に直結する1点になり得ます。テキストを読む際は、ただ漫然と読むのではなく、『もしここが空欄にされたら答えられるか?』と自問自答しながら読む習慣をつけましょう。その意識の積み重ねが、本番での対応力につながります。

本番で実力を出し切るための【実践テクニック編】

学習の成果を本番で発揮するための、試験当日の考え方と気持ちの整え方です。

選択式80分の時間配分と見直しの進め方

選択式は80分・8科目(労基と安衛は同一科目として1科目扱い)で構成され、単純計算では1科目10分ですが、見直し時間を確保するため「1科目8分」を目安に解き進めましょう。

最初の64分(8分×8科目)
全科目を一通り解く。少しでも迷ったら印をつけて次に進む。

残りの16分
印をつけた問題に戻り、じっくり再考する。

この時間配分を、模試の段階から徹底して体に染み込ませることが重要です。

知らない語句が出た時の考え方:「文脈」と「消去法」で正解を絞り込む

本番では必ず見たことのない問題が出ます。その時に慌てないことが大切です。手順としては、まず前後の文脈から推測し、次に明らかに違う選択肢を消し、最後に残った選択肢から最も自然なものを選ぶ流れになります。

前後の文脈から推測する段階では、空欄の前後の文章から、「ここにはプラスの言葉が入るか、マイナスの言葉が入るか」「法律用語か、一般的な言葉か」などを判断します。

次に、20個の選択肢のうち、文脈に合わないものや、他の空欄で既に使ったものを消していきます。

最終的に2~3個に絞り、最も文章の流れとして自然なものを選択します。この手順で、正答率は上がりやすくなります。

昼休みの気持ちの整え方:自己採点を避けたい理由

午前中の選択式試験が終わった後、できれば避けたいのが「答え合わせ」です。

「労一で2点しか取れていないかもしれない...」と感じたとしても、それは主観であり、実際には得点できていたり、その科目に救済が入る可能性もあります。不安な気持ちを引きずったまま午後の択一式に臨むことは、大きな失点につながりやすい要因です。昼休みはテキストをしまい、音楽を聴くなどして気持ちを切り替え、午後の長丁場に集中しましょう。

まとめ

この記事のまとめ
  • 社労士試験の難所である「選択式足切り」について、その仕組みから具体的な対策までを解説しました。要点を整理します。
  • 足切りは原則3点で、総得点と科目別基準点の両方をクリアする必要があります。救済措置は過去データから傾向が読み取れ、「労一」「社一」は難化しやすく救済も多いものの、基本科目では発動しにくい傾向にあります。
  • また、運に頼らない戦略として、範囲の広い科目は割り切り、白書・統計対策は効率化し、目的条文などの基本で確実に点を拾うことが重要です。本番では、時間配分を意識し、知らない問題にも落ち着いて対処すること、そして昼休みの自己採点は避けることが、合否に直結します。
  • 「足切り」は恐れるべき壁ではなく、正しい知識と戦略で対応できる課題です。本記事で紹介した対策を実践することで、基準点を確保できる可能性は高まります。合格に向けて、着実に準備を進めていきましょう。

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この記事の監修は二神大貴(ふたがみ だいき)
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出身
大阪府
経歴
東京大学法学部卒業。社会保険労務士資格(2017年合格)、社会保険労務士登録(2018年)、年金アドバイザー3級を保有。
趣味
お笑い、子供への読み聞かせ
座右の銘
冬は必ず春となる
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