2024年1月28日(日) 実施 2級FP技能検定の試験講評

2024/01/28

2024年1月28日(日)に、2級FP技能検定試験が実施されました。
受検されたみなさま、お疲れ様でした。

今回の試験は、学科試験においてやや難易度の高い問題が出題されていました。基礎的な問題や出題頻度の高い定番問題に対応できるだけでなく、出題頻度の低いテーマや受検生が苦手とするテーマについて、テキストを中心に体系的に学んでいることが求められる内容でした。 実技試験においては頻出テーマから多く出題されていました。

全体的な難易度としては、「やや難しい」という印象で、合格ラインである60%をクリアするためには、難問に惑わされず選択肢を見極めることや、基本的なテーマの問題を確実に得点する必要があったといえます。

学科試験の分析

問題の多くは過去にも出題されている定番の論点でしたが、一部の問題で深い知識を求められているものや、選択肢の吟味に時間のかかるものがあったため、やや難化した印象です。テキストで基礎的な論点をしっかり押さえておくことに加えて、制度や仕組みについて理解していることが求められました。

ライフプランニングと資金計画

FPの顧客に対する行為、各種係数、全国健康保険協会管掌健康保険(協会けんぽ)、在職老齢年金、公的年金の障害給付および遺族給付、確定拠出年金、公的年金に係る税金、住宅ローンの借換え、貸借対照表、クレジットカードの一般的な利用に関する出題がなされました。
比較的、典型論点が多かったといえますが、「在職老齢年金」、「公的年金制度の障害給付および遺族給付」、「確定拠出年金」に関する出題は、各制度をしっかり理解しておくことが求められた問題でした。

リスク管理

保険法、生命保険の一般的な商品性、総合福祉団体定期保険および団体定期保険の一般的な商品性、個人年金保険の税金、法人を契約者とする生命保険の保険料の経理処理、任意加入の自動車保険の一般的な商品性、傷害保険の一般的な商品性、法人を契約者および被保険者を従業員とする損害保険の保険金の経理処理、第三分野の保険の一般的な商品性、損害保険を利用した事業活動のリスク管理に関する出題がなされました。
「保険法」に関する問題は近年では出題されていなかったため、見慣れないと感じた受検生も多いのではないでしょうか。また、法人生命保険契約・法人損害保険契約の経理処理に関する出題は、益金・損金の区別を理解しておかなければ解くことができない、やや難しい問題でした。

金融資産運用

銀行等の金融機関で取り扱う預金商品の一般的な商品性、公募株式投資信託の費用、固定利付債券の利回り、東京証券取引所の市場区分等、株式の投資指標、オプション取引の一般的な特徴、ポートフォリオ理論、上場株式等の譲渡および配当等に係る所得税の課税等、わが国における個人による金融商品取引に係るセーフティネット、インフレーションの種類と物価関連統計に関する出題がなされました。
比較的、典型論点が多かったといえますが、「東京証券取引所の市場区分等」に関する出題については、上場基準についての知識が求められる等、一歩踏み込んだ問題でした。また、計算を要する固定利付債券の利回り、株式の投資指標で素早く計算処理をし、他の問題の選択肢を吟味する時間を設けることができるかどうかがポイントでした。

タックスプランニング

所得税における基本的な仕組み、所得税における所得の種類、所得税の損益通算、所得税における寡婦控除、所得税の青色申告の特典、法人税の仕組み、法人税の益金、消費税、会社と役員間の取引に係る所得税・法人税、貸借対照表および損益計算書の一般的な特徴に関する出題がなされました。
読み取りと正誤判定に時間がかかる選択肢が多かったため、時間配分がポイントになった受検生も多いのではないでしょうか。

不動産

土地の価格、宅地建物取引業法、民法および借地借家法、都市計画法、都市計画区域および準都市計画区域内における建築基準法の規定、建物の区分所有等に関する法律、不動産に係る固定資産税および都市計画税、個人が土地を譲渡した場合の譲渡所得、不動産の譲渡に係る各種特例、不動産の投資判断の手法等に関する出題がなされました。
細かな知識が問われている設問が多く、選択肢の吟味に時間がかかり難問と感じた受検生も多いのではないでしょうか。各設問の中に含まれる「明らかに誤りである」部分を素早く見つけ出し、消去法で答えを導き出す力が求められました。なお、「土地の価格」や「不動産の投資判断手法」は頻出であり、確実に正解したい問題です。

相続・事業承継

民法上の贈与、みなし贈与財産等、贈与税の配偶者控除、民法上の相続人等、相続税の非課税財産、相続税額の計算における遺産に係る基礎控除、相続税における取引相場のない株式の評価等、宅地の相続税評価額の算定方法等、非上場企業の事業承継のための自社株移転等、会社法に関する出題がなされました。
各設問や選択肢の難易度の変化に加えて、出題頻度がこれまで高くなかった「同族株主」や「非上場企業の事業承継」、「会社法」のような問題を正答するには、テキストの内容を満遍なく押さえておく必要があります。また、「相続税額の計算における遺産に係る基礎控除」の問題は確実に正解したい問題です。

実技試験の分析

出題内容については、今回も債券の所有期間利回りの計算、建築面積の最高限度の計算、保険金・給付金の計算、キャッシュフロー表の穴埋め計算、6つの係数を使った計算、バランスシート等の定番問題を中心に構成されていました。頻出テーマから多く出題されているため、過去問演習を確実に行い基本学習をしっかり行っていた方は得点できたのではないでしょうか。

【第1問】FP総論

FP関連業法等、金融サービスの提供に関する法律(金融サービス提供法)

【第2問】金融資産運用

経済統計等、NISA(少額投資非課税制度)、債券の所有期間利回り、投資信託の手数料等

【第3問】不動産

建築物を建てる場合の建築面積の最高限度、所得税に係る不動産所得の金額、居住用財産を譲渡した場合の譲渡所得の金額、不動産の広告

【第4問】リスク管理

生命保険の保障内容、少額短期保険、自動車保険の補償内容、生命保険料控除額

【第5問】タックスプランニング

所得税における総所得金額、減価償却費、役員等以外の者の所得税における退職所得

【第6問】相続・事業承継

民法の規定に基づく法定相続分および遺留分、路線価方式による相続税評価額の計算、相続税の課税価格の合計額、配偶者居住権

【第7問】【第8問】ライフプランニングと資金計画

キャッシュフロー表、6つの係数

【第9問】総合問題①

所得税の仕組み、財形年金貯蓄、個人向け国債(変動10年)の中途換金、生命保険の解約返戻金、リビングニーズ特約、健康保険の傷病手当金、雇用保険の基本手当

【第10問】総合問題②

バランスシート、配偶者特別控除額の額、投資信託を一部解約した場合の譲渡所得の金額、投資信託の個別元本、老齢厚生年金の受給額、健康保険の被保険者および被扶養者の条件

最後に

FP試験の学習経験を生かし、みなさまが、益々ステップアップされることをお祈り申し上げます。

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