行政書士 講座 体験講義基礎講座2A 民法 第25回「2-6 代理①」

この記事では、民法の「代理」をテーマにした体験講義の内容をお届けします。代理制度の意義から三面関係の構造、そして代理の要件である「顕名」と「代理権の存在」について整理していきます。代理の基本をしっかり押さえていきましょう。

 

 

1. 代理制度の意義
2. 私的自治の拡大・補充
3. 代理の三面関係
4. 代理の要件 ― 顕名と代理権
5. 顕名を欠く代理行為の効力
目次
講義の概要

代理制度の意義

代理制度とは、本人と代理関係のある他人(代理人)が、本人のために意思表示を行い、又はこれを受けることにより、その法律行為の効果を本人に帰属させる制度をいいます。

本来、私的自治の原則からすれば、自分が行った行為だけが自分に効果帰属するべきであり、他人が行った行為の効果を自分が受けることはありません。しかし、代理制度はこの原則に対する重要な例外として位置づけられています。

ポイント:代理制度の本質は、「代理人(他人)が行った行為の効果が本人に帰属する」という点にあります。私的自治の原則の例外として、民法が一定の要件のもとに認めた制度です。

私的自治の拡大・補充

代理制度を認めることにより、本人が自ら行わなくても、代理人に仕事をさせ、かつその効果を自己のものとすることができます。これによって、私的自治の拡充が可能となります。

そこで、民法は一定の要件を定めて代理制度を認めました。

たとえば、多忙なAがBに自分の家の売却について代理をお願いし、BはCという買い手を見つけて交渉して契約を締結し、そして、その契約の効果はAC間に発生するということが可能になります。つまり、Aは自分で家を売る手間暇を省くことができる(私的自治が拡大・補充された)のです。

ポイント:代理のポイントは、代理人(他人)が行った行為の効果が本人に帰属するという点にあります。これにより、本人は自ら行為しなくても法律効果を得ることができ、私的自治が拡大・補充されます。

代理の三面関係

代理には、本人A・代理人B・相手方Cという三者が登場します。この三者の関係を「代理の三面関係」といいます。

まず、家の売却をしたい本人Aが、代理人Bに売却の代理を依頼します(代理関係)。次に、代理人Bが相手方Cとの間でAの家の売買契約を締結します。

契約の締結自体はBとCの間で行われますが、契約の効果はAとCの間に帰属します。これが代理制度の特徴です。

当事者発生する債務
本人A → 相手方C家を引き渡す債務が発生する
相手方C → 本人A代金を支払う債務が発生する

ポイント:代理の三面関係では、契約締結はB・C間で行われますが、契約の効果(権利義務の発生)はA・C間に帰属します。誰と誰の間にどのような効果が生じるかを正確に把握しておきましょう。

代理の要件 ― 顕名と代理権

有効な代理行為を行うためには、その代理行為が次の2つの要件を充足することが必要です。

①顕名 ― 代理行為の際に、代理人であることを明示して行うことをいいます(たとえば「A代理人B」など)。これがないと、相手方からすると、契約などの相手方が本人なのか代理人なのかが分からないことになるからです。

②代理権の存在 ― 本人が代理人に代理権を付与することです。当然のことながら、これがないと有効な代理行為とはなりません。ここでは、代理権がないにもかかわらず代理人として行為をする、いわゆる「無権代理」が問題となります。

ポイント:有効な代理行為の要件は「①顕名」と「②代理権の存在」の2つです。いずれかが欠けると、本人に効果が帰属しない場合があります。特に「無権代理」は重要な論点ですので、しっかり押さえておきましょう。

顕名を欠く代理行為の効力

たとえば、本人A、代理人B、相手方Cという場合に、Bが自らを「A代理人B」と顕名すれば、相手方Cは契約の相手方がAであるということが分かります。

しかし、逆に、Bが顕名せずに相手方Cと契約したような場合には、相手方Cとすれば、Aではなく、直接の相手であるBと契約をしたと考えるのが通常でしょう。

そこで、民法は顕名がない場合には、その代理行為は本人に帰属せず、代理人自身が自分のために行った行為と評価することとしました。

民法 第100条(本人のためにすることを示さない意思表示)

代理人が本人のためにすることを示さないでした意思表示は、自己のためにしたものとみなされます。ただし、相手方が、代理人が本人のためにすることを知り、又は知ることができたときは、本人に対して直接にその効力を生じます。

ポイント:顕名を欠く場合、原則として代理行為の効果は本人に帰属せず、代理人自身の行為として扱われます(100条本文)。ただし、相手方が代理人であることを知っていた場合(悪意)や、知ることができた場合(有過失)には、例外的に本人に効果が帰属します(100条ただし書)。

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