行政書士 講座 体験講義基礎講座2B 民法 第15回「5-4 多数当事者の債権及び債務①」

この講義では、多数当事者の債権債務関係について学習します。これまでは債権者も債務者も1人の場合を想定してきましたが、実際には当事者が複数の場合もあります。ここでは、分割債権債務の意義、対外的効力、そして内部関係について解説していきます。

 

 

1. 総論・分割債権債務の意義
2. 分割債権債務の意義と分割主義の原則
3. 対外的効力
4. 多数当事者の内部関係
目次
講義の概要

総論・分割債権債務の意義

これまでは債権者も債務者も1人の場合を想定して学習してきました。しかし、実際の債権債務関係においては当事者が複数の場合もあります(たとえば、ABCがDから車を共同で購入する場合やABCがDに対して連帯債務を負担している場合など)。

そこで、ここでは多数当事者の債権債務関係として、分割債権債務・不可分債権債務・連帯債務・保証債務・連帯保証・債権譲渡等について学習していきます。

分割債権債務の意義と分割主義の原則

分割債権債務関係とは、一つの債権・債務について複数の当事者が生じた場合に、分割可能な債権債務については、各人について平等に分割されるというものです(427条)。

たとえば、Dが死亡して、Dの相続人がABCだったとして、DがEに対して負っていた900万円の金銭債務があった場合には、原則として、それは分割債務としてABC各人が300万円ずつ負担することになります(なお、DがEに債権を有していた場合には、これを分割債権と呼ぶことになります)。

なお、分割が可能な債権債務につき複数の債権者又は債務者がいる関係は、別段の意思表示や法律の定めや特段の慣習等がない限り、原則として分割債権債務関係となります(分割主義の原則、427条)。これは、民法が個人主義(私的自治)を基本原理としているためです。各人が独立した個人である以上、債権債務も各人ごとに分割して扱うのが原則となります。

対外的効力

分割債権債務は、対外的には分割されたそれぞれの債権・債務は独立したものと扱われ、各分割債権者は自己の債権のみを独立して行使できますし、債務者は自己の債務のみを弁済すればよいのです。

前掲の例の場合、ABCの各300万円の債務は、それぞれが独立した債務となります。

なお、分割の割合は別段の意思表示がなければ、原則として平等です(427条)。

ポイント:分割債権債務関係では、債権者・債務者の1人について生じた事由は、すべて相対的効力しかありません。つまり、他の当事者には影響は及ばないということです。

多数当事者の内部関係

民法は、明文では分割債権債務の当事者の内部関係(求償関係)については規定していません。

これは、前掲のようにAはEに対して自分の債務である300万円を支払えば、それ以上は責任を負うことはありません。したがって、そもそも他者の債務を支払わなければならないという事態にならないので、求償関係を想定しなくてもよいからだと解されます。

つまり、分割債権債務における内部関係(求償関係)は「なし」ということになります。

なお、もしAが任意にEの請求に応じて900万円全額を弁済した場合についてですが、これは内部関係の話とは別の問題です。この場合には、それによってBCは自分の債務を免れていますので、不当利得や事務管理の問題として、AはBCにそれぞれの負担分である各300万円を求償できると考えられます。

ポイント:分割債権債務では、各自が自分の債務のみ負担するため、民法上の求償関係の規定はありません。

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