民間における個人情報保護法の総論と定義の導入
「1-2 個人情報の保護に関する法律(民間)」に入ります。冒頭でも触れましたが、個人情報保護法は民間に対するルールと行政機関に対するルールが2つ合わさっている法律になっています。ここではまず民間事業者へのルールを見ていきます。
総論のところに出てくるのが、定義の問題です。なぜ同じように使えないかというと、対象が異なるためであり、民間は民間のところで定義を別途作っておく必要があります。
民間における個人情報で使用する定義を確認していきます。全体で使う定義として先に確認しましたが、個人情報とは生存する個人に関する情報であって、含まれる情報によって特定の個人が識別できるもの、もしくは個人識別符号が含まれているものです。
民間事業者が使う定義としては、これに加えて以下の4つの定義を用います。1番は個人情報データベース等、2番は個人情報取扱事業者、3番は個人データ、4番は保有個人データです。
4つの定義の関係性を図で理解する
先に関係性のほうから見ていきます。個人情報とは、個人が特定できる情報です。これ以外のところには、個人に関する情報で個人が特定できないものや、死者に関する情報などがあります。
個人情報データベース等とは、個人情報を体系的に構成したものです。そして、これを仕事に使っている人を個人情報取扱事業者と言います。
さらに個人データがあります。個人情報データベースを構成する個人情報を個人データと言います。
例えば、個人情報を体系的に構成したものとして、顧客データベースがあります。現在ではほとんどデジタル化されていますが、この顧客データベースの中にAさん、Bさん、Cさんといった形で情報が載っています。
まずこの全体、すなわちデータベースのことを個人情報データベース等と言います。そして、それぞれのデータ、つまりAさん、Bさん、Cさんというデータは、一つひとつが個人情報です。
顧客データベースの具体例で理解する個人データと保有個人データ
個人データとは何かというと、このデータベースを構成しているAの情報のことを指します。データベースに組み込まれた時点で個人情報という名前から個人データという名前に変わるというイメージで捉えてください。
改めて整理します。例えばある会社が個人情報データベースを作ったとします。顧客データベースがその典型例です。その中に、Aさんのデータ、Bさんのデータ、Cさんのデータといったさまざまなデータが入っています。このうちAさんのデータは個人情報です。
この個人情報がデータベースの中に組み込まれ、データベースを構成する要素となると、その時点で個人データと呼ばれます。つまり、データベースに登録された時点で個人情報という名前から個人データという名前に変わります。
例えばCさんの情報は委託されて管理されているものとします。AとBのデータは、この顧客データベースを持っているA社の自前のデータです。これに対してCのデータは委託されて管理しているB社のものです。
このように顧客データベースの中に、自前のデータと他社管理のものが入っていたとします。その場合、自社で管理しているもの、すなわち自社に開示等の権限があるものを保有個人データと言います。
各定義の条文を確認する
個人情報データベース等から見ていきます。個人情報データベース等とは、顧客名簿や顧客データベースのことです。個人情報を含む情報の集合物で、次のいずれかに該当するものを指します。
1つは、特定の個人情報を電子計算機を用いて検索することができるように体系的に構成したもの。つまりデータベースです。これだけではなく、個人情報を容易に検索することができるように体系的に構成したものとして政令で定めるものも含まれます。例えば顧客名簿、つまり紙ベースのものがこれに該当します。
(1)がパソコンで処理するもの、(2)が紙ベースです。すなわち、データベースを構成する媒体はコンピューターに限らず紙媒体でもよいということになります。
この顧客情報データベースを使って仕事をしている人のことを個人情報取扱事業者と言います。民間事業者に限られ、国などはここには含まれません。
個人データとは、このデータベースの中に入っている個人情報を個人データと読み替えたものです。
個人情報とデータベースに組み込まれない情報の違い
個人情報取扱事業者が個人情報を持っていた場合、これをデータベースに組み込めば個人データとなりますし、検索できる形にせず単に情報として散在している状態であれば、それは個人情報のままですが、いずれにしても規制の対象となります。
あくまで用語の区別です。データベースに組み込めば個人データ、データベース化せずに単なる個人情報として散在している場合、たとえば検索はできないがダンボール箱の中にまとめて入っているといった状態であれば、それは単なる個人情報を持っているということになります。
保有個人データと委託管理の関係
最後に保有個人データです。個人データの中、つまりデータベースに組み込まれた情報の中でも、個人情報取扱事業者(会社)が自社において開示、訂正、追加、削除といった権限を持っているもの、すなわち管理権限があるものを保有個人データと言います。
逆に言えば、委託を受けて管理しているもの、つまり他社に管理権限があるものについては保有個人データとは言いません。自社が保有しているのではなく、他社が保有しているものを単に管理しているにすぎないという考え方です。
このように定義を設けておくことで、後掲されているように事業者の義務の対象を区分けしていくという構造になっています。分からなくなった場合はこのページに戻って確認してください。何を規制しているのかを意識しながら、次の内容を読み進めていきましょう。


