基本情報技術者試験のために押さえておきたいクラウドのポイント

更新日:2021年7月5日

基本情報技術者試験のために押さえておきたいクラウドのポイント

クラウドコンピューティングの登場により、ITシステムの利用形態や動作環境は大きく変化しました。

クラウドコンピューティングによるクラウドサービスは、従来のサーバを所有するという考えから脱却し、サーバを間借り・従量課金により利用するという仕組みを採用しています。

クラウドはIT業界におけるエポックメイキングといってよいでしょう。

この記事では、基本情報技術者試験の対策としてクラウドについての解説を行います。

目次

クラウドとは

クラウドとは、サーバを個別に設置するのではなく、大規模なサーバを部分的に利用することでサーバを自由かつ即座に利用できるようにした仕組みのことです。

まるで雲の上にあるかのように利用者は物理的なサーバを意識せずにハードウェアリソースを活用できるため、クラウドという名称がつけられました。

クラウドは2006年ごろから徐々に利用が始まり、現在では幅広い業界・分野で活用されています。

クラウドのメリットとデメリット

クラウドを利用することには多数のメリットがあります。例えば、クラウドの利用によりサーバの調達にかかる時間を削減することができます。

従来型のオンプレミスではサーバの調達のために数か月から半年程度の期間が必要でした。サーバ調達に必要なリードタイムがスピーディなシステム構築の障壁となるケースもあり、課題となっていました。

クラウドを利用することで、即日ハードウェアリソースを利用することができ、調達のリードタイムをなくすことができます。

また、リソースの増減を自在に行うことができるのもクラウドの大きなメリットです。

オンプレミスではハードウェアは買い切りであり、5年程度は利用を継続することが一般的です。その間、システムの利用量に増減があったとしても、リソース量を変更することは困難です。

一方でクラウドであれば、システムの利用量に合わせてリソースの増減を容易に行うことができます。特に新規事業を実施する場合などで必要なハードウェアリソースが見通せない場合などにはクラウド利用のメリットが大きいです。

一方で、サーバの必要スペックがあらかじめ確定している場合は、サーバを個別に購入したほうが安価となるケースもあります。

また、セキュリティ面で社外流出が絶対に許されないようなデータを扱う場合には、ネットワークから断絶させたオンプレミス環境を利用すべきです。

クラウドのセキュリティ

クラウドを利用する際には、クラウド事業者が実施しているセキュリティ対策を確認の上、安全なクラウドサービスを利用する必要があります。

一般に、優良なクラウド事業者が提供するサービスはオンプレミス利用よりセキュリティ対策に優れています。大量のサーバを取り扱うクラウド事業者はセキュリティに関する知見を持っており、技術力や対応スピードに優れています。

一方で、信頼できないクラウド事業者のクラウドサービス利用は情報漏洩などのセキュリティ事故のリスクがあり、避けるべきです。

クラウドの類型

クラウドには、いくつかの類型が存在します。以下ではクラウドサービスの類型について解説します。

SaaS

SaaSは、アプリケーションレベルでクラウドサービスを提供するものです。

WebメールサービスやWeb上のOfficeサービスなどがSaaSとして提供されているサービスであり、身近な例ではGmailやGoogleドキュメント、Googleマップなどが挙げられます。

SaaSは手軽に利用できることがメリットですが、カスタマイズ性に欠け、自由に機能を追加することはできません。業務で利用する際には業務要件に合わせて利用可否を検討する必要があります。

PaaS

PaaSは、ミドルウェアやソフトウェアレベルまでクラウドサービスを提供するものです。実装するアプリケーションを開発するだけでシステムを導入できることがメリットです。

利用者は、サーバやミドルウェアを自分で用意することなく、プログラミングを行うだけでシステム開発を行うことができます。

IaaS

IaaSは、ハードウェアレベルまでクラウドサービスを提供するものです。利用者は、クラウドサービスとして提供されるハードウェア基盤に自由にミドルウェアやソフトウェアを導入してシステム開発を行うことができます。

クラウドサービスとして提供されていないようなミドルウェアやソフトウェアを利用してシステム開発を行う場合は、自由度の高いIaaSの利用が適しています。

クラウドの提供パターン

クラウドには、様々な提供パターンが存在します。以下では一般的なクラウドの提供パターンについて紹介します。

パブリッククラウド

パブリッククラウドとは、複数の利用者が同一のサーバを利用するクラウドの提供パターンのことです。利用者を限定しないオープンなクラウドであり、業界や業種を問わず自由にサービスを利用できます。

他の事業者のシステムと相乗り状態となるためセキュリティ面に考慮が必要ですが、利用規模を拡大しやすいことから一般的にコストは安価に抑えることができます。

代表的なサービスとしてはAmazonが提供するAWSやMicrosoftが提供するAzureなどが挙げられます。

プライベートクラウド

プライベートクラウドとは、個別にクラウド環境を構築し、クラウドサービスを提供するものです。大企業であれば、自社専用のクラウド環境を自ら構築するケースもあります。

また、ベンダなどが企業向けに独自に構築するクラウド環境をレンタル利用することもできます。

利用者専用のサービスとなり、カスタマイズ等の自由度が高く、情報漏洩リスクも低いですが、その分コストは高くなってしまいます。

ハイブリットクラウド

ハイブリットクラウドとは、プライベートクラウドとパブリッククラウドを併用してクラウドサービスを利用するものです。

一般的には、機密情報など重要な情報についてはプライベートクラウド内に保持し、公開情報や機密性が低い情報などはパブリッククラウドに保持することで、ポイントを絞ってセキュリティレベルを向上させます。

これにより、セキュリティ対策とコスト低減を同時に実現することができます。

また、一般的にプライベートクラウドはパブリッククラウドと比較してリソースの増減に制約があります。

そこで、プライベートクラウドとパブリッククラウドで負荷分散を行い、リソースが必要なタイミングはパブリッククラウドを拡充してリソース管理を効率的に行うこともできます。

まとめ

この記事では、基本情報技術者試験を受けようとされている方に向けて、クラウドに関する内容の解説を行いました。クラウドは比較的新しい技術ですが、現代のITにおいてなくてはならない必須の技術となっています。

基本情報技術者試験対策としても必須のポイントといえるでしょう。これを機に、ぜひクラウドについての理解を深めてみてください。

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