基本情報技術者試験で問われるプロジェクトマネジメントの解説!

更新日:2021年4月27日

プロジェクトマネジメント

プロジェクトマネジメントは、システム開発を円滑に進めるために必要となる技術です。プロジェクトを管理するプロジェクトマネージャーには、品質(Quality)・予算(Cost)・納期(Delivery)のいわゆるQCDを守り、システム開発を成功に導くことが求められます。

長期間にわたるシステム開発プロジェクトを完遂させるために、様々な手法を用いてプロジェクトを管理していきます。

この記事では、プロジェクトマネジメントとして行うべき内容について解説を行います。

目次

プロジェクトマネジメントとは

そもそもプロジェクトとは、一定期間内で物やサービスを生み出す際の計画のことです。建設工事であったり、研究開発などもプロジェクトの一種です。基本的にシステム開発はすべてプロジェクトに該当します。

プロジェクトをうまく運営するために必要なのがプロジェクトマネジメントです。プロジェクトマネジメントの目標は、プロジェクトを成功に導くことです。

プロジェクトを成功させるためには、品質(Quality)・予算(Cost)・納期(Delivery)のいわゆるQCDの管理が最も重要です。よってプロジェクトマネジメントの最重要項目はこれらQCDの管理となります。

プロジェクトマネージャー

プロジェクトマネージャーは、プロジェクトの管理者としてプロジェクトマネジメントを実行する役割があります。プロジェクトマネジメントに対して責任を持つのがプロジェクトマネージャーです。

プロジェクトマネージャーは、上述したQCDの管理を行うために様々なプロジェクト管理手法を用いて管理を行います。プロジェクトマネージャーは、プロジェクトの目標を意識して、ゴールに向かってプロジェクトチームを引っ張ります。

また、プロジェクトのステークホルダーとの調整を行うのもプロジェクトマネージャーの重要な仕事です。

しかしながら、プロジェクトマネージャーの仕事は個別の要素にとどまりません。プロジェクトマネジメントの活動にはプロジェクトを成功に導くためのあらゆる要素が含まれます。

プロジェクトに発生した予期せぬ困難を、都度解決していくのがプロジェクトマネージャーの大切な役割です。

PMBOK

PMBOKは、プロジェクト管理に関するノウハウや手法を体系的にまとめたものです。プロジェクト管理の標準として世界的に利用されています。

PMBOKは、非営利団体であるプロジェクトマネジメント協会が発行しているガイドです。基本情報技術者試験で問われるプロジェクトマネジメントの内容は、PMBOKに準拠したものとなっています。

ですので、PMBOKについて知ることが、基本情報技術者におけるプロジェクトマネジメント関連の試験対策を行う近道となります。

PDCAサイクル

PDCAサイクルとは、計画(Plan)・実行(Do)・評価(Check)・改善(Act)のサイクルを繰り返すことで継続的な向上を目指すことです。プロジェクトマネジメントにおいては、PDCAサイクルを意識することが大切です。

プロジェクトを成功させるためには、事前の計画が重要です。やみくもにプロジェクトを進めると、必ずどこかでひずみが発生します。しかしながら、計画を実行した結果、思うようにいかなかったときに計画を修正することも必要です。

実行結果を評価し、改善を行い軌道修正をすることも、プロジェクトマネジメントにおいては大切となります。

リソース・コスト管理

プロジェクトマネジメントの一要素として重要なのが、リソースとコストの管理です。いわゆるQCDの「C」であるCostに該当するのがこの要素です。

システム開発において、リソースとは主に人員のことを意味します。また人員が行う作業工数を管理するのがコスト管理です。

人月管理

システム開発においては、リソースおよびコストは人月として管理されます。人月とは、1人の人員が1か月に行える作業のことを意味します。

人月は人員×月数により示される値です。

ある機能の開発に4人月かかるという時には、その機能は4人で1か月、もしくは1人で4か月で完成するということを意味します。

それぞれの作業に必要な人月工数を見積もり、作業ごとに必要な人員をアサインすることがプロジェクトマネジメントでは重要となります。また、作業の進捗に伴い想定の成果が出ないときには、人員のアサインを見直すことも大切となります。

見積手法

それでは、どのような手法で各作業の人月工数を見積もればよいのでしょうか。人月工数を見積もるための手法は様々存在します。下表で、基本情報技術者試験で問われる見積手法について紹介します。

手法の名称 概要
類推見積法 過去の類似するプロジェクトの実績を参考に必要な人月工数を見積もる手法。
標準タスク法 各作業を標準的な作業に分解し、各作業の工数を合計して人月工数を見積もる手法。
プログラムステップ法 現行システムが存在する場合に用いる手法で、プログラムのステップ数(行数)をもとに人月工数を見積もる手法。
ファンクションポイント法 各開発機能について、画面数や入出力項目、処理難度などのなどの要素によって点数付けを行い、人月工数を見積もる手法。

スケジュール管理

プロジェクトが期間内に完了するようにプロジェクトマネージャーはスケジュール管理を行う必要があります。これは、QCDの中では「D」であるDeliveryの要素に該当します。

システム開発においては、様々な手法で必要な開発期間を見積もります。ここでは、基本情報技術者試験で問われる主なスケジュール管理手法について紹介します。

アローダイアグラム(PERT)

アローダイアグラムは、各作業の必要日数およびその前後関係を可視化するための図表です。すべての作業の完了までに必要となる日数を把握するために作成します。

アローダイアグラムはPERT(Program Evaluation and Review Technique)とも呼ばれ、プロジェクトマネジメントにおいては頻出のテクニックです。

アローダイアグラムの作成においては、各作業を丸で表し、その丸の中に必要日数を書き込みます。一般的にある作業を開始するためには、その前に実施しなければならない作業があります。このような各作業の順序関係を示すために、それぞれの丸同士を作業の順序関係に応じて矢印でつなぎます。

全体の作業を終了させるために最終的に必要になる日数がプロジェクトに必要な期間となります。その日数は、アローダイアグラム上で矢印をたどっていき、各作業を線でつないだ時に最も時間がかかるパスの合計作業日数となります。

このパスのことをクリティカルパスといいます。

クリティカルパス上の作業が遅延した場合には、プロジェクト全体の遅延につながります。よって、クリティカルパス上の作業に対して重点的に管理を行うのがプロジェクトマネジメント上のポイントとなります。

WBS

WBSはすべてのタスクとその必要期間を表にしたものです。WBSでは、縦軸に作業リストを、横軸に時間軸を設定します。WBSを作成することで、作業をタスクレベルに分解し、各作業に必要な日数を一元的に可視化することができます。

WBSは、一般的に実施スコープの定義と作業の進捗確認に用います。プロジェクトの開始時点においては、スコープに漏れがないようにWBSの作業リストを作成します。

また、プロジェクトの進行中は、WBSを参照しながら各作業に遅れがないかを確認していきます。

品質管理

システムの品質を担保するために、プロジェクトマネージャーは品質管理の活動を実施します。これは、QCDの中では「Q」であるQualityに該当する要素です。

システム開発において品質を確保する方法には、大きくレビューとテストがあります。

レビューとは、ドキュメントやプログラムの作成者以外の人がその内容をチェックすることで、作成者以外の目から品質に問題がないかを判断します。

また、テストでは、システムの要件どおりにプログラムが作成されているかを確認します。

リスク管理

プロジェクトには様々なリスクが存在します。プロジェクトマネージャーはあらかじめリスクを可視化したうえで、発生時の対処法について確認する必要があります。これを、リスク管理といいます。

プロジェクトに発生するリスクの代表例を以下に示します。プロジェクト開始時点で起こりうるリスクについて整理し、各リスクの取り扱いを検討することが大切です。

リスクの例 概要
関係者のコミット不足 関係者が多忙であり要件確認やレビューの時間が取れず、品質の確保に問題がある。
ドキュメントの不備 現行システムのドキュメントが不存在であり、システムの機能概要が不明確である。
ステークホルダーの力関係 ステークホルダーが多岐にわたる。また、ステークホルダーのパワーバランスにより、意思決定が困難である。
経営層の理解不足 経営層がシステム導入に関して理解していない。プロジェクトに対するコミットが不十分である。
・・・ ・・・

まとめ

この記事では、基本情報技術者試験を受けようとされている方に向けて、プロジェクトマネジメントについての解説を行いました。プロジェクトマネジメントには経験が必要であり、特に初学者の方にとってはイメージがわかないところも多いのではないでしょうか。

まずはQCDなどプロジェクトマネジメントのポイントについて理解し、その後プロジェクトマネジメント手法など範囲を広げて徐々に理解を深めていくことをおすすめします。

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