RFIとRFPとは?基本情報技術者試験の重要キーワード解説!

更新日:2021年7月20日

RFIとRFPとは?基本情報技術者試験の重要キーワード解説!

システムを自社で開発するケースもありますが、大抵の場合はITベンダに開発を委託します。その際に実施するのがシステム調達です。

システム調達では、システムへの要望を整理したうえで、RFIとRFPを実施して発注先を決定します。

自社内でよい企画を作り上げたとしても、それを実現するベンダの力量が不足していたら絵に描いた餅となってしまいますので、システム調達は大切な工程となります。

この記事では、基本情報技術者試験の対策として、システム調達において実施するRFIとRFPについての解説を行います。

目次

システム調達とは

システム開発の委託先を選定し、システムの開発を委託することを、システム調達といいます。システム調達では、システムの発注先を決め、契約を締結して開発を開始するまでの作業を行います。

システムを実際に作り上げるのはITベンダですので、優れたITベンダを選定することは良いシステムを作り上げる近道となります。システム調達段階でシステムの良し悪しは大きく決まってくるため、本工程は重要な工程となります。

システム調達のマイルストンとして、RFIとRFPが挙げられます。これらの作業を通して、ベンダに対して自社の要望を伝え、システムの実現性を検証したり、発注先のベンダを選定したりしていきます。

RFIとRFP

RFIとはRequest for Informationの略称であり、システム化計画にて定めたシステムへの要望に基づき、ベンダにシステム開発費用や実現性などの情報提供をお願いするものです。RFIは日本語では情報提供依頼と訳されます。

一般的に発注側はシステムに対する知識が十分ではないため、システム企画で検討したシステムが本当に実現できるのか、技術上の課題はないか、コストは予想範囲内に収まるのかなどについてはベンダ側に確認する必要があります。RFIではこれらの内容について確認し、システムの実現性を明らかにするために行われます。

また、RFPとはRequest for Proposalの略称であり、定めた要件に基づきベンダに入札を依頼するものです。RFPは日本語では提案依頼のことです。

一般的にシステム開発を行う際には、複数ベンダに提案を依頼して相見積を取得します。物品のようにコストが明確になりにくいITシステムでは、見積を比較して費用の妥当性について精査するべきです。

システム調達の流れ

システム調達の大きな流れとしては、システム化計画、委託先の検討、見積の取得、委託先の選定、契約および発注というものになります。以下ではシステム調達における重要なポイントについて解説します。

システム化計画

まずは、作り上げたいシステムのイメージをベンダに伝えられるように、システムへの要望を具体化します。この作業をシステム化計画といいます。

システム化計画では、システム化の構想を示しシステム化の全体計画を立てます。具体的には、システム化の目的や求める成果、システム化の対象業務(スコープ)の明確化、システム投資規模の整理と費用対効果の検証などを実施します。

システム化計画は、企業の事業戦略と密接に関わる部分です。一般的にシステム構築は企業の事業戦略を実現するために行われますが、事業戦略と整合性のないシステム構築は大きな無駄となってしまいます。

システム化計画の際には、企業の事業戦略を実現できているのか、そのために必要な投資であるのかを明確化し、実行可否の判断を行います。

RFIの実施

システム化の大まかな構想が整理できたら、RFIを実施して広くベンダから情報提供を受け、システムの実現性や予算感について確認します。

RFIを実施する際には、システム化計画で作成したシステムの概要をベンダに提示し、システムが技術的に構築できるのか、そしてその構築期間や費用概算はどの程度かなど、幅広く情報の提供を依頼します。

RFIは、ベンダ選定の第一段階と捉えることもできます。RFIを通してベンダが保有する技術やソフトウェアパッケージに関する情報を提供してもらい、有望なベンダがいないか検討していきます。

要件整理

RFIを実施した後に、要件の再整理を実施します。RFIを実施すると、システムに対する理想と現実が明らかになります。

よくあるのが、当初実現したかった機能がどうしても技術的に実現できなかったり、膨大なコストがかかってしまったりといった理由で実現が難しいといったケースです。

また、機能を盛り込みすぎて開発に期間がかかってしまうようなケースもよくあります。

RFIを実施したことにより、予算やスケジュールなどの制約条件の中で実現できるシステムの範囲が明らかとなります。当初のシステム化計画で実施しようとしていた内容を、現実的な範囲で再整理していくのがこの作業のポイントです。

RFPの実施

RFI結果を踏まえ、概ね要件が整理できたら、実際の発注先を選定するためにRFPを実施します。RFPによりベンダ各社から提案を受け、コストや実力などを比較して発注先を決定していきます。

RFIを実施する中で有望と思われるベンダに声がけをして、RFPの依頼を行います。RFPでは、ベンダに対し当社の要望に対するシステムでの実現可否や、実現するためのコスト、開発スケジュールなどについて提案をしてもらいます。

ベンダ選定

RFPで各ベンダから提案を受けた内容に基づき、ベンダの力量や費用などを見極め、発注先を決定します。

比較の観点としては、システム企画に対してどの程度の範囲を実現することができるのかといった実現スコープや、過去の実績や導入事例といった技術力、そしてもちろんコストの観点などが挙げられます。

ベンダの選定は、様々な関係者が投票を行うなどして合意形成を実施し、最終決定とします。一度選定したベンダは、システム構築期間はもちろんのこと、運用・保守まで含めると長期間での付き合いとなるため、決定は慎重に行うべきものとなります。

契約締結

発注先が決定したら、契約締結を実施します。システム開発には主に準委任契約と請負契約という2つの類型が存在します。これらはベンダへの委託内容に応じて選択をします。

明確に成果物が定義できる場合は請負契約を選択します。一般的に、システム設計、開発、単体・結合テストなどは設計書やプログラムといった成果物が明確化できるため、請負契約に適しているといわれています。

また、成果物が明確に定義できない場合は準委任契約を選択します。要件定義や総合テストなどは実施しながら成果物の内容が変化していくため、準委任契約が向いているといわれています。また、システム企画について支援を依頼する場合なども、準委任契約が向いています。

請負契約

請負契約とは、受注側に成果物の完成責任があり、成果物を引き渡すことで対価を受け取る契約のことです。請負契約を結ぶためには、事前に発注側と受注側において、成果物の取り決めを行う必要があります。

成果物の作成のための業務の進め方については、受注側が裁量を持って実施します。発注側は、受注側の業務の進め方について指示をすることはできません。発注側は受注側の管理者(プロジェクトマネージャー)を通してのみ、依頼をすることができます。

準委任契約

準委任契約とは、労働力の提供に対して対価を支払う契約のことです。主に要件定義やコンサルティングなどの、成果物が明確に定められない発注において利用される契約形態です。

準委任契約では、発注側は受注側に完成された成果物を求めることはできません。たとえ仕事を完遂しなかったとしても、発注側には契約に基づく対価の支払い義務があります。

ただし、受注側には善管注意義務という専門家として一般的に期待される注意責任が存在し、いい加減な仕事をすることは許されていません。

まとめ

この記事では、基本情報技術者試験を受けようとされている方に向けて、RFIとRFPを中心に、システム調達に関する内容の解説を行いました。システム調達は主に発注元で行う作業ですが、たとえIT企業に勤めていたとしても発注元がどのような段取りで発注を行っているのかを理解することは大切です。

基本情報技術者試験においても、RFIやRFPに関する問題はよく問われますので、押さえておくとよいでしょう。

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