コンビニやコインランドリーなどでよく聞くフランチャイズというシステム。このシステムは不動産業でも存在します。この記事では、不動産業でフランチャイズにするメリットやデメリット、さらにフランチャイズと直営店の違いなどについても詳しく解説していきます。
フランチャイズとは？
不動産業界にもコンビニエンスストア同様にフランチャイズの制度が存在します。有名なところではアパマンショップやエイブルなどがフランチャイズ中心の業者です。
こういったフランチャイズ中心の業者に対し、加盟料やロイヤリティを支払うことで、有名業者の看板を掲げて営業をするのがフランチャイズ経営です。
まずはフランチャイズのメリットやデメリットを確認しておきましょう。
フランチャイズにするメリット
フランチャイズ店になると享受できるメリットは、不動産経営を行うには非常に心強いものも多くなっています。ひとつずつ解説していきます。
知名度の高い看板を利用できる
最大のメリットは、知名度の高い看板を利用できるということでしょう。不動産店を開業するにあたって、最大のテーマとなるのが「広告宣伝」です。個人で開業した不動産店は知名度も低く、集客に苦労するケースが目立ちます。
その点フランチャイズに加盟すれば、「アパマンショップ〇〇店」など、有名店を名乗れますので、個人開業よりもはるかに認知度が高く、集客に苦労することは少なくなります。
本社のシステムを利用できる
フランチャイズの店舗を数多く展開している会社は、フランチャイズとしての経営ノウハウを豊富に蓄積しています。こうした本社の経営ノウハウを利用できるのは、新規開業の事業主としては助かるはずです。
さらにフランチャイズを多く展開している会社は、各フランチャイズ店舗との連携をスムーズにするため、あらゆる情報をITシステムで管理しています。
こうしたシステムも利用することで、不動産情報を入手したり、他店の状況を確認できたりと自身の経営に生かせる情報を多数入手できるメリットがあります。
知識や情報などを得られる研修がある
フランチャイズ展開をしている会社にとって重要になるのが、「すべての店舗で同じレベルのサービスを提供すること」です。そのため定期的に各店の店長に対し、研修会や講習会を行っています。
こういった研修では、経営に関するノウハウはもちろん、不動産業界の現状やこの先の見通しなど、経営に必要な知識を得られるのです。
同時に同じくフランチャイズ経営をしている同業者との横のつながりを作れます。こういった人脈は、長く経営をする場合、大きな力になるはずです。
フランチャイズにするデメリット
フランチャイズに加盟することはメリットも多いですが、当然ながらデメリットもあります。そんなデメリットも確認しておきましょう。
加盟料や保証金など費用が必要
フランチャイズに加盟するには、まず加盟料が必要です。加盟料にもいろいろと条件によって違いがありますが、数十万円から数百万円必要な場合が多くなっています。さらに保証金という名目の費用も必要です。
保証金は、フランチャイズ店で何かあった場合の費用で、本社にプールされて全国のフランチャイズ店のどこかで問題が発生した場合に利用されるプール金となります。フランチャイズ店を閉める時、もしくは脱退するときに返却される費用です。
また、他にロイヤリティも納める必要があります。こちらは開業時ではなく、営業が始まってから売り上げの一部を会社に納めるシステムです。ロイヤリティの割合も契約次第ではありますが、数%から10%程度の範囲で定められていることが多いようです。
ロイヤリティ自体が経営を圧迫することは少ないかと思いますが、初期投資費用の回収に時間がかかり、経営が順調に進まないというケースも考えておくべきでしょう。
出店するエリアが限定される
フランチャイズ店の場合、どこにでも出店できるわけではありません。仮に出店したいエリアに、すでに同じ会社のフランチャイズ店が3つも4つもあるような場合、そのエリアでは出店ができないことがあります。
ならば出店できるエリアで、とも考えますが、不動産業は出店地域の情報に精通している必要があります。どこの道は混みやすい、あの公園の近くは昼間の騒音が問題になることがある、周辺の公立小学校の中で、評判がいいのはあの学校など、重要な情報はいくつもあるのです。
こうした情報は慣れ親しんだ地域でこそ入手できるものですから、希望地域で出店できないということは、大きなデメリットといえるでしょう。
本社のルールを遵守する必要がある
メリットの部分で触れた「経営のノウハウ」ですが、多くの会社は経営にあたって最低限遵守すべきルールを設けています。
その会社のフランチャイズとして営業する場合、このルールの遵守するのは絶対であり、ルールを無視した経営を行うことはできません。仮に自分で独自の経営方針を思いついても、会社が認めなければ行えないこともあり、経営者でありながら自分らしい経営ができないことが起こり得ます。
開業前から自身独自の経営方針を持っている方は少ないかもしれませんが、すでに営業をしている不動産店では、独自の経営哲学もあるかと思います。自身の考えと違う会社と契約をしてしまうと、後で経営がしにくいシーンが出てくるかもしれません。
直営店とは？
フランチャイズと並列に語られることが多いのが「直営店」です。フランチャイズと直営店を似た形態のものと考えている人もいるように、実際の違いを知らない方も多いようです。
直営店とは、会社が直接経営に携わる形態の店舗であり、店長を始め従業員はその会社の社員です。イメージとしては「支社」や「支店」に近く、フランチャイズのように外部の経営者と契約をするわけではありません。
フランチャイズと直営店は似て非なるものであり、並列に語るべきではない経営形態と言えるでしょう。
直営店とフランチャイズの違い
会社が直接経営する直営店と、外部の経営者と契約するフランチャイズ店。その決定的な違いを解説しておきましょう。
直営店はロイヤリティ不要
上でも解説した通り、直営店はその会社が直接経営している店舗になります。店長もその会社の社員ですから、当然加盟料もロイヤリティも保証金も納める必要はありません。
当然ながらその会社の社員以外が経営する不動産店が、「直営店になりたい」といってもなれるものではなく、外部の人間がその会社の看板を掲げるにはフランチャイズ契約ということになります。
また、直営店の売り上げはその会社の売り上げとなりますので、売り上げが良い月の店長の収入が上がることもありませんし、売り上げの悪い月の収入が落ちることもありません。
直営店の売り上げはすべての直営店トータルで考えられます。もちろん成績が優秀な店長は将来的に昇進、昇給ということはありますが、売り上げが収入に直結するわけではありません。
フランチャイズなら収入は売り上げ次第
直営店は売り上げが収入に直結しないと書きましたが、反対にフランチャイズ店は売り上げが大きく収入に影響します。
フランチャイズ契約を行った場合、毎月ロイヤリティを支払う必要がありますが、それ以外は経営者、もしくは経営法人の収入となります。売り上げが大きくなれば当然利益も大きくなり、収入にも影響を及ぼすのです。
特に経営者が個人事業主の場合は、収入から必要経費を引いた分がそのまま収入になります。
売り上げが収入に直結する分、直営店よりフランチャイズ店の方がやりがいを感じるかもしれません。
フランチャイズの会社選び3つのポイント
不動産店を開業する、もしくはすでに開業している店で、フランチャイズ契約を考えている場合、大事になるのはどの会社を選ぶかということです。フランチャイズ契約をする会社を選ぶ際のポイントを3つにまとめてみました。
イメージのいい会社を選ぶ
フランチャイズ契約の最大のメリットは、有名な会社の看板を利用できるということです。そのためには、イメージの良い会社を選ぶことが重要になります。TVCMを多数流している、CMに有名タレントを起用しているなど、メディアへの露出が多い企業を選ぶのも選択肢のひとつです。
避けた方が良いのは、クレームが多いと噂の会社や過去に不正があった会社などです。また地域によって会社の知名度やイメージが違う場合もありますので、全国的な知名度、イメージに加え、周辺地域でのイメージなども合わせて考えるといいでしょう。
使用しているシステムが自分に合うかどうか
フランチャイズを募集している各社は、独自のシステムを導入して経営方針や経営ノウハウ、さらに不動産情報などを共有しています。どの会社がどのようなシステムを運用しているか、自分の欲しい情報や使いやすいシステムはあるかなども考慮に入れる必要があります。
本社の経営方針を信用できるかどうか
フランチャイズの店舗は、その会社が定める経営に関するルールを遵守し、営業をしていく必要があります。フランチャイズ契約をする前に、その会社の経営方針を確認しておく必要があります。
契約前には当然その会社に問い合わせを行うかと思いますので、その時の担当者の印象なども判断材料としては重要です。最初に説明を受けた担当者とは長い付き合いになることが多いので、この人物を信用できるかどうかも大切になります。
できれば複数の会社に問い合わせをし、最終的に「この会社は信頼できる」と感じた会社とフランチャイズ契約をすることをおすすめします。
まとめ
フランチャイズ店と直営店は、大きく違うということはお分かりいただけたかと思います。これから不動産店を開業しようとしている方、もしくはすでに開業している方が検討するのはフランチャイズ店となるかどうかという点です。
フランチャイズ店に加盟すれば、有名企業の看板を掲げて営業を行えますので、いろいろなメリットが享受できます。単独の不動産店との大きな違いは、宣伝広告費用を抑えられることです。
もちろんチラシや看板などの設置は必要になりますが、大きく違うのはHPの作成。契約した会社で一括して店舗を掲載してくれますので、手間も費用も必要ありません。
当然有名店の看板を掲げることができるので集客力も高く、特にこれから開業する方には大きなメリットがあります。
デメリットとしては、加盟金や保証金、ロイヤリティなどの費用が必要なこと、そして自分の自由に経営することができない場合があることです。
自分の考える経営方針、理想とする経営方法などをじっくりと考え、資金面の状況も判断しながら、フランチャイズ契約をするかどうかを検討しましょう。