司法書士

マイホームを購入する場合など、不動産売買における取引には、必ずと言っていいほど司法書士が関わっています。当然ながら売買契約の費用の中には司法書士費用も含まれており、司法書士がいなければもっと安く不動産を購入できるというのも事実です。それでも司法書士が関わる理由などを、司法書士の仕事内容からみていきましょう。

司法書士とは?

司法書士という職業、資格について聞いたことがあるという方は多いかと思います。しかし、実際に司法書士が行っている仕事内容となると、詳しく説明できる人は少ないのではないでしょうか?

司法書士とは法務省が認定する国家資格であり、不動産などの登記の代理や、裁判所、検察庁、法務局へ提出する書類の作成などが主な業務となります。簡単にいってしまえば、正式な書式が必要となる公的書類を作る専門家と考えればいいでしょう。

司法書士の国家資格を取得する国家試験は、合格率が毎年4~5%前後と非常に低く、最難関の国家資格の一つとされています。

不動産売買取引と司法書士

では、不動産取引の現場に司法書士が必要な理由を考えてみましょう。司法書士の業務は上で説明した通り。つまり、司法書士は不動産取引の現場において、契約書などの書類の作成などを行うものというのはお分かりいただけるかと思います。

正確な書類作成と登記手続き

不動産取引における司法書士の仕事は、まずは正確性が求められる書類作成となります。特に不動産売買、譲渡、交換といった取引においては、その不動産の所有者を変更する必要があります。

不動産登記の原則としては、その不動産の売り手と買い手の本人である2人が、共同で行う必要があります。これは不動産取引において、双方に不利益が発生しないようにとの配慮からの処置です。

とはいえ、売り手と買い手が予定を合わせて、また法律的な専門知識もなく登記を行うのは非常に難しいのが事実です。そこで、法と登記の専門家である司法書士が代理を行うわけです。

不動産取引にかかわる司法書士は基本的に1人であり、売り手と買い手がともに同じ司法書士に不動産登記の手続きを委任します。委任を受けた司法書士は、法に則り不動産登記の手続きを行い、双方に不利益が出ないように取引を完了させます。

中立な第三者としての代理人

上でも触れたとおり、一般の方でも不動産登記の手続きは可能です。もちろん多大な手間がかかりますし、売り手と買い手のスケジュールを合わせる必要があります。そのための代理人が司法書士になるのですが、この司法書士に関しては、中立な第三者としての役割もあります。

例えば売主が連れてきた司法書士が代理で手続きを行う場合、買主としては自身の資金をその司法書士に委ねることに抵抗感を感じるかもしれません。反対に買主が連れてきた司法書士が代理を務めるとなると、売主としては、大切な財産である土地の権利をその司法書士に委ねることになります。

不動産取引は、大きなお金が動く取引です。それだけにどちらかに立場が近い司法書士が取引に絡むのは望ましい状況ではありません。

司法書士という存在は双方と同等の距離感を持つ、中立な第三者である必要があります。だからこそ、不動産取引の間に入る司法書士は、その取引を仲介する不動産業者が連れてくるのが一般的となります。

不動産取引という、個人にとっては非常に大きな契約を、売主、買主ともに不信感なく環椎させるためには、必要不可欠な存在が司法書士ということになります。

住宅ローン申請でも司法書士の存在が重要

不動産業界と司法書士の関係でいえば、マイホームを購入する際や、不動産投資で金融機関から融資を受ける場合にも司法書士が活躍します。

金融機関は融資の審査の際、購入する不動産に抵当権を付けられるかどうかに注目します。万が一ローンの支払いが滞った際は、その不動産に抵当権をつけて補填を行うためです。その不動産に抵当権がつけられるかどうかを、事前に確認することができるのが司法書士です。

ローン申請の際に、司法書士が抵当権について確認済みとの一言があるだけで、審査への通りやすさが格段に変わります。そのためにも司法書士は必要な存在となります。

まとめ

一見不動産業界との関わりが薄いようにも思える司法書士ですが、法と書類作成、登記手続きの専門家として非常に親密な関係性にあります。司法書士試験を通過した方の多くは、独立開業、もしくは司法書士事務所への就職という道を選ばれます。

司法書士事務所にもいろいろあり、得意とする業務に絞った事務所が多くあります。もし不動産関連の業務に興味があるという方は、不動産登記を専門に扱う、もしくは得意としている司法書士事務所を探しましょう。

不動産関連業務を中心に、独立開業をする場合は、その前に人脈づくりと取引現場に立ち会う経験が非常に重要になります。まずは、不動産登記を得意としている司法書士事務所で経験を積み、将来的に独立を考えるといいでしょう。