中小企業診断士という資格をご存じでしょうか?あまりメジャーではない資格ですが、中小企業支援法という法令に基づいた国家資格になります。ここでは中小企業診断士の主な仕事内容と、不動産業界における活躍の場などを紹介していきましょう。
中小企業診断士とは?
中小企業診断士は国家資格ではありますが、独占業務がないこともあり、あまり目立たない資格といえるかもしれません。中小企業診断士の資格を取得するには、一次試験に合格し、さらに二次筆記試験、二次口述試験に合格したうえで、実務もしくはそれに見合った講習を受ける必要があります。
独占業務がない資格であるだけに、独立開業をする方は比較的少なく、どちらかとえ言えば企業内で働く有資格者が多い資格となります。
主な業務は中小企業への経営コンサルタントのような存在であり経営や資産に関するアドバイスを行うことが中心になります。
不動産業界と中小企業診断士
企業内で働く中小企業診断士が多いと書きましたが、もちろん不動産業界にも多くの中小企業診断士が在籍しています。特に多いのは法人の顧客が多い企業で、デベロッパーや不動産仲介業、不動産売買業などが中心となります。
顧客対応で大きな力を発揮
顧客に法人が多い業種として、不動産仲介業があります。法人顧客が、オフィス用に、倉庫用に、物流拠点として、新規工場として土地や建物の購入や賃貸を考えているケースで、中小企業診断士が活躍します。
仲介業者の従業員として、顧客である中小企業の経営状況や資産状況などを検討し、顧客が購入、もしくは賃貸すべき物件を提案するのが主な業務となります。顧客となる中小企業も、何の根拠もなく不動産仲介業者に勧められるより、中小企業診断士の有資格者に、理論的に説明してもらえれば信頼して契約ができるという利点があります。
同じように不動産売買業などでも多くの中小企業診断士が活躍しており、契約成立において大きな役割を担っています。
新規出店の相談も
中小企業が多い小売店などが、新規店舗を出店する場合などにも中小企業診断士の知識が大いに役立ちます。基本的には小売店が出店したい地域の空きテナントなどを探して紹介するのが不動産仲介業の仕事になりますが、ここからさらに一歩踏み込んだ業務ができるのが中小企業診断士です。
顧客である小売店の客層を考慮し、さらに出店を希望する地域の人の動きを検討。出店するのであればどこに出店するのがベストかをアドバイスできるのが中小診断士の知識ということになります。
例えば同じ国道沿いに出店するにしても、上り線にするか下り線にするかで人の流れは変わります。業種によっては建物1階となる路面店に出店しても、2階以上に出店しても、売り上げに大きな影響はないというケースもあります。そうなると、わざわざ賃料の高い路面店を借りる必要はなく、そういった判断も中小企業診断士であれば可能です。
より顧客に利益がある物件を推薦することで、質の良い契約を増やすののが中小企業診断士の業務ということになります。
複合施設の賃料の決定も
デベロッパーなどが、複合商業施設などを開業する場合も、中小企業診断士が活躍する場があります。デベロッパーは不動産のプロですから、土地や建物の構造などから、テナントに請求する賃料を設定することはできます。しかし、これは不動産としての価値でしかなく、実際の商業施設内の事情は加味されていません。
そこを検討するのが中小企業診断士となります。小売業者の客層や、商業施設内の人の流れを想定し、ベストな場所にベストな業種を配置することで、複合商業施設全体の盛り上がりを作り出すことができます。
この位置には服飾関係の店がいい、この位置には飲食関係、この位置には雑貨系の店舗がベストなど、最善の配置を考えてテナントを募集することで、より多くの応募を見込めるようになり、さらに買い物客にとっても見やすい、回りやすい施設になるように工夫するわけです。
まとめ
中小企業診断士は、独立開業に関してはかなりの人脈やコネクションがないと難しく、できればほかの士業の資格、弁護士や司法書士、税理士などの資格を持って独立するのが現実的です。
とはいえ中小企業診断士は、独立をせずとも企業内で十分にそのスキルを活かせる資格でもあります。特に顧客に法人の多い不動産業などでは、多くの企業内中小企業診断士が活躍しています。
中小企業診断士の資格に関しては、受験科目が多いという難しさはありますが、受験条件に制限がないため、現状よりも収入をアップしたい、この先転職を考えているという方はぜひチャレンジしたい資格のひとつといっていいでしょう。
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