不動産業界で働くのに有利になる資格はいろいろありますが、管理業務主任者もそんな資格のひとつです。不動産管理業務を行う会社には必ず在籍する必要がある資格ですが、意外とその業務内容は知られていません。そこでここでは管理業務主任者の仕事や資格を取得する条件などをまとめてみました。
管理業務主任者とは?
管理業務主任者とは、国土交通省が認定する国家資格です。受験資格に条件はなく、多くの人がチャレンジできる国家資格として人気がありますが、合格率は例年20%程度と、そう簡単な資格ではありません。
もちろん管理業務主任者の資格があればできる業務は複数ありますが、多くの人は他の不動産系の資格と併せ持つことで、より業務の幅を広げています。
マンション管理には必須なスキル
では、そんな管理業務主任者の業務についてまとめていきましょう。管理業務主任者は、主に不動産管理業を行う企業に多く在籍しています。この資格を持って独立開業を目指すというよりは、資格を取得し、不動産管理業界への就職、転職を目指す資格と考えた方がいいでしょう。
管理業務主任者には設置義務あり
不動産管理会社においては、この管理業務主任者を必ず設置しなければいけないという設置義務があり、30管理組合ごとに1人の割合で管理業務主任者を設置する必要があります。
30管理組合とは、単純に考えれば管理するマンションが30棟あるごとにという意味です。多くの不動産管理会社は、最低限必要以上の管理業務主任者を雇っており、この資格を持っていることは、不動産管理業者への就職において大きなプラスとなります。
管理業務主任者の専任業務
では、管理業務主任者の専任業務についてまとめていきましょう。管理業務主任者の行う業務は主に3つです。
一つ目は管理委託契約における重要事項説明、および重要事項説明書への記名および押印です。重要事項説明とは、契約おいて特に重要な部分に関しては、専門知識の豊富な人間が口頭で説明することが義務付けられています。これは不動産の賃貸契約などでも同様で、賃貸物件を借りたことがある方は、契約前に細かい部分に関して口頭で説明を受けたことがあるはずです。
不動産の管理委託契約においては、この役目を管理業務主任者が行い、相手が重要事項について理解したことを確認したうえで、重要事項説明書にサインし押印をします。
二つ目が管理委託契約書への記名と押印です。重要事項説明書以外に、契約書への記名・押印の責任を負っており、その管理委託契約が正当な契約であり、双方に不利益が生じていないことを確認して記名・押印を行います。
最後に管理業務報告という業務です。マンションの管理業務を請け負う不動産管理会社は、区分所有者に対し、マンション管理業務における報告をしなければならず、これを行うのが管理業務主任者ということになります。少しわかりにくいので、非常に簡単に説明をしていきましょう。
マンションの管理組合における収入と支出や、管理委託業務関する事項を書面にまとめ、これを各部屋の所有者、つまり大家さんや居住者に交付するのが管理業務報告です。報告自体を行うのは、そのマンションの管理人さんになりますが、その書面を作成するのが管理業務主任者となります。
管理業務主任者がすべき業務
管理業務主任者が行う業務は書類の作成や重要事項説明だけではありません。現在マンションに住んでいる方は、日常的に管理人さんが行っている業務と考えれば間違いありません。具体的な業務内容の一部を確認していきましょう。
まずはマンションの設備の保守点検です。とはいえ、エレベーターの点検や貯水槽の保守点検などは、専門の業者に頼るしかありません。管理業務主任者が行うのは、共用部分の蛍光灯や電球の交換や、消火器がきちんと所定の位置にあるか、掲示板に余計なものが貼り出されていないかなどになります。
エレベーターや貯水槽、さらに排水口の点検など、専門業者に依頼する必要がある保守点検に関しては、スケジュールを組んで業者に依頼するのが業務ということになります。保守点検の日程などを組み、それを住民に周知するのが管理業務主任者の仕事となります。
最後に住民に対する対応や、共用部分の清掃など、日常的に必要な業務も請け負います。特に住民同士のクレーム対応などの場合は、その場を取り仕切る能力や、コミュニケーション能力に加え、場合によっては法的な知識も必要となります。
まとめ
近年の傾向として、特に都市部ではマンションが多く建ち並び、マンションで生活する方が増えています。そのため管理業務主任者の需要は高く、今後も多くの管理業務主任者が現場から求められるといわれています。
国家資格試験においても年々受験者が増加傾向にあり、それに伴い資格試験の内容も難化の傾向があります。管理業務主任者の資格を取るには今がチャンスといってもいいでしょう。
不動産管理会社への就職や転職を考えている方には、非常に有利になる資格ですので、まずは受験に関しての情報を集めてみるといいかもしれません。
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