社労士

社会保険労務士とは、労働や保険に関する専門家であり、取得の難しい国家資格としても有名です。この社会保険労務士と不動産業界の関係はどのようなものがあるのでしょうか。同時に社会保険労務士の資格の取得に関する情報もまとめてみました。

社会保険労務士とは?

社会保険労務士は「社労士」とも呼ばれる国家資格になります。管轄は厚生労働省であり、労務や社会保険に関するエキスパートといえる士業です。社労士になるためには国家試験に合格するなどいくつかの方法がありますが、国家試験の合格率は例年6~7%程度と非常に低く、難関資格のひとつです。

社労士の国家試験に合格するのと別の方法として、弁護士になるための司法試験に合格するという方法もあります。司法試験に合格すると、弁護士と同時に社労士としても活動をすることができます。

社会保険労務士の仕事

社労士はその資格を持って独立開業を行う方もいますし、会社への勤務を続ける方もいます。主な仕事内容としては、社員の給与計算や労災の手続き、社会保険に関する手続きや申請などの業務になります。

不動産業界をはじめ、どの業界でも企業に勤務している社労士の方は、人事部や経理部などに配属されていることが多いようです。

独立開業をしている方は、主にコンサルタント業をしている方が多いようです、個人、もしくは法人とコンサルタント契約を行い、社会保険や労災の手続き、または労務に関する相談に乗るといった業務を行っています。

2020年春、新型コロナウイルスの感染拡大で、多くの中小企業が家賃支援給付金や持続化給付金の申請を行いました。社労士は社会保険や社会保険の専門家であり、こうした申請において、各中小企業に申請書類などについても専門的な知識を有しています。給付金申請に必要な書類についての相談などを受けていたのも、多くは社労士でした。

不動産業界においては?

では社労士と不動産業界とのつながりをみていきましょう。上でも触れたとおり、企業内にも多くの社労士が勤務しています。こういった企業内社労士の主な仕事が、社員の給与計算や、労務問題に関する相談、そして社会保険に関する手続きや申請ということになります。

特に作業現場でのアクシデントが多い建設業などの場合は、労災申請などでも社労士が活躍します。

ほかの資格と合わせてコンサルタントを行う場合も

社労士として独立開業している方は、主にコンサルタントを業務として行っています。その際、社労士の資格のみではなく、ほかの資格を併せ持つことで、より専門的に、そして幅広い相談に乗ることができるため、ほかの資格を取得する人も多いようです。

FPや不動産鑑定士資格を併せ持ち

主に個人の顧客をメインにしている社労士は、ファイナンシャルプランナー(FP)や不動産鑑定士の資格などを併せ持つケースが多いようです。こうした資格と社労士の資格を持つことで、個人の資産運用に関するアドバイスを行ったり、不動産投資に関するアドバイスを行ったり、個人の方が不動産投資を行う場合に、法人化を目指す場合のアドバイスを行ったりします。

税理士や行政書士といった他の士業資格を併せ持ち

顧客が法人となると、資産運用などのアドバイスを中心にコンサルタント業を行います。そのために有利となる資格が、税理士や行政書士といった資格でしょう。こういった資格を持っていると、公的機関に提出する書類の作成や、申請の代行などが行えます。

また顧客がさほど大きくない法人の場合、社内に人事部や総務部、経理部が設置されていないケースがあります。こういったケースでは資産運用などのアドバイスをしながら、社労士として、社員の給与計算や社会保険の手続きなどを、社外から手伝うといったケースもあるようです。

まとめ

社会労務士の資格は、多くの企業において必要不可欠な資格ということになります。これはもちろん不動産業界でも同様で、不動産業を行う多くの企業で、社内に社労士が在籍しています。

社労士の仕事は、社員の労務に関する業務が中心なので、働き方改革が叫ばれる令和はじめの日本においては、非常に重要な資格ということになります。不動産業界として特筆するような業務はありませんが、建設業など労災事案の多い職場では、特に重宝される傾向にあります。

不動産業界への就職や転職を有利にするために、社労士の資格を取得するのはさほどおすすめではありませんが、資格としては持っていて損のない資格ではあります。不動産業界での仕事、もしくは不動産関係の仕事に従事することを目指すのであれば、FPや行政書士など、ほかの資格も取得し、より幅広い業務に対応できるようにするのがおすすめです。