経営企画

経営企画と聞いてその仕事内容がパッと思いつく方は、現在働いている会社に経営企画の部署があり、その業務内容を知っている方でしょう。自社にそういった部署がない方、またこれから就職する学生の方などは、今ひとつイメージがつかみにくいかもしれません。

そこでここでは経営企画の仕事を紹介します。また、不動産業界では顧客の経営企画をサポートする不動産コンサルタントという仕事もありますので、そちらもご紹介しましょう。

経営企画は会社の舵取り役

一般的な企業において、経営企画という部署が行う仕事は、会社の経営方針を決定づけるような提案を行う部署になります。社外、社内など多方面からデータや情報を集め、現在の自社の経営状況や人員について分析、導き出した経営方針の道しるべとなるような企画を、会社の経営陣にプレゼンする仕事と考えれば大きく間違ってはいません。

もちろん経営の最終判断は、社長や役員を始めとる会社の経営陣の判断ということになりますが、そういった上層部が判断を下すためのデータを集め、分析して助言するのが経営企画部です。

多方面からデータを収集・解析

経営企画の仕事は、上層部から経営の方向性について持ち掛けられ、その方向性が正しいのか判断をする場合や、自部署独自で新たな提案を行う場合など様々です。

自分たち発信か、上昇部発信かという点においては、その企業の体質や社員構成などもかかわってきますので、どちらにも対応する必要があります。

経営企画部は、提案する企画に沿って必要な情報を集めます。市場調査を依頼したり、金融機関と協議をしたり、同業他社との情報交換を行うケースもあります。また不動産業ということを考えると、開発事業に携わるケースなどでは自治体や国からも情報やデータを収集します。

必要なデータの収集をしながら、同時にデータの解析も進めます。この解析力が経営企画にとっては非常に重要な仕事です。ここで間違いを犯すと会社全体に大きな悪影響を及ぼしますので、慎重に進める必要があります。

経営方針の指針となる企画を作成

収集した多くの情報やデータから、経営企画部としての結論を出します。結論は単純にYESかNOかという形では決まりません。「こうするのであれば、同時にこちらの事業も行い、リスクに備えましょう」ですとか、「そうする場合は資金面での補強が必要ですので、先に金融機関からの融資をつけるのが条件」など、あらゆるケースを想定した結論を用意します。

プレゼン資料など資料作成業務も

経営企画として結論が出たら、経営陣など上層部にプレゼンを行います。このプレゼンのためにわかりやすくデータをまとめた資料を作成するのも大事な仕事です。

また、経営方針が決定した場合、金融機関などに融資の申請を行う事業実績資料などの作成も経営企画部の仕事です。金融機関に提出する資料など、金銭にかかわることは、財務や経理といった部門の仕事に見えますが、事業計画や事業実績の説明が必要な場合、経営企画部が担当することが多いようです。

不動産コンサルタントは「外注経営企画」

ここまでは、多くの企業の内部にある経営企画部の仕事について解説してきましたが、不動産関係と限定すると、不動産コンサルタントの仕事もこの経営企画に近い業務になります。そんな不動産コンサルタントの仕事にも触れておきましょう。

不動産に関するアドバイスが基本

不動産コンサルタントは一般の企業と契約し、その企業の持つ不動産関係に限りアドバイスを行う仕事です。例えば工場の敷地を購入したい、会社が持っている土地を売却したい、社員のために社員寮を建設したいなど、ある程度の大きさの会社になると不動産関連の事業も増えていきます。

会社内の経営企画は「経営のアドバイス」を行う部署、不動産コンサルタントは社外ながら「不動産に関するアドバイスを行う会社」と考えると、どちらもその企業にアドバイスを行うという点で非常に類似性が高い仕事なのです。

顧客の不動産を有効活用するアドバイスを行う

ある程度の大きさの企業になると、土地や建物といった不動産資産を持っているものです。不動産コンサルタントはこうした土地の有効活用もアドバイスします。

例えば持っている土地に関して売却をした方がいいのか、商業地として活用すべきなのか、賃貸物件を立てて家賃収入を目指すのか。もちろん今は何もせずに土地として持っていた方がいいというアドバイスになることもあります。

不動産コンサルタントは企業が持っている土地の場所、広さ、利便性、周辺環境、さらに税制面や金融関係の現状まで加味して、最適と思えるアドバイスを行います。

顧客の求める不動産について検討しアドバイス

顧客となる企業が不動産を購入する際もアドバイスを行います。そもそも購入すべきかどうかという基本的な部分から検討を行うのが不動産コンサルタントです。

例えば企業が工場用地としてこのくらいの広さの土地を購入したいと相談を持ち掛けたとします。この場合不動産コンサルタントは、物流の利便性やその敷地の広さから、候補となる地域をいくつか提案します。さらにその候補地のおおよその相場や、購入のしやすさなども考慮に入れて、最適な土地を提案するのです。

もちろん購入にあたっての税制面での手続きや、購入に必要な資金の融資に関してもアドバイスを行い、企業の不動産購入をフォローする仕事を行います。

経営企画に求められる人材

企業の経営方針にも大きな影響を与える経営企画の仕事。この仕事に求められる人材、能力、スキルなどを考えてみましょう。

多くの情報を集めるフットワークの軽さ

経営企画の仕事にとって、最も重要なのは多くの情報やデータを収集することです。こういった材料がしっかりとそろわないと、企画や提案ができないため、これは最低限必要な作業といえるでしょう。

多くの情報やデータを集めるにはフットワークの軽さが重要になります。会社にとって重要な情報が入手できるのであれば、日本全国どこにでも飛び、場合によっては海外にもすぐに行けるような行動力が必要です。

冷静な分析力

多くの情報やデータを集めても、それらを分析できる力がないと意味がありません。当然こういった分析力は重要なポイントとなります。同時に求められるのが、多くの人と議論ができるコミュニケーション能力でしょう。

情報やデータの分析において、重要なことは「客観的な視点で分析すること」です。個人の思い込みが強くなるとどうしても大事なところを見落としがちになりますので、こういった分析はチームを組んで複数人のディスカッションを経て結論にいたる必要があります。

こうした討論で出すぎず抑えすぎず、しっかりと自分の考えを発表できるだけのコミュニケーション能力も必要でしょう。

人を納得させる論理的思考力

多くの同僚と討論をしながら結論を導き出すには、論理的な思考力が必要です。討論ということは自分の意見をほかの人にきちんと伝える必要があり、そのためにはだれもが聞いて納得ができる理論がないといけません。

そのためにも必要なのが論理的思考力。情報やデータを冷静に判断し、かつロジカルな考え方でとらえ人に伝える能力は、部署内の討論はもちろん、経営陣へのプレゼンの場でも重要な能力といえます。

不動産コンサルタントに求められる能力

経営企画と類似性の高い仕事と紹介した不動産コンサルタント。不動産コンサルタントの仕事に求められる能力も似たような能力になるのでしょうか。

不動産コンサルティング技能登録証

不動産コンサルタントとして働くには、「不動産コンサルティング技能登録証」という資格が必要になります。この資格は国家資格ではありませんが、国土交通大臣の登録を受けた、公益財団法人不動産流通推進センターが認定する資格になります。

不動産コンサルタント業を開業するには、この資格を有する不動産コンサルティングマスターがいることが条件となっており、実質不動産コンサルタントの仕事をするには必要不可欠な資格となっています。

合格率は例年40~50%程度となっており、この数字だけを見るとさほど難しい試験とは思えないかもしれません。しかしこの試験は受験資格に、宅地建物取引士、不動産鑑定士、もしくは一級建築士の資格が必要であり、そもそも受験するだけで大変な資格です。

さらにそれらの資格を有するプロでさえ、半数以上が落ちる試験ですから、資格取得にはかなりの勉強が必要といえるでしょう。

不動産に関する深い専門知識

不動産コンサルティングマスターであることも条件ですが、同時に不動産や税制、金融関係の法令や条例にも精通している必要があります。

不動産の取り引きの際はあらゆる部分に気を遣う必要があります。資産として購入するか商品として購入するかで、税務上の取り扱いは変わります。不動産コンサルタントの仕事をするにはこうした知識は当然必要です。

また、多くの場合不動産投資は金融機関から融資を受けて行うことになります。同じ融資を受けるにも、どのような条件で融資を受けるべきか、頭金としてどの程度用意するのが望ましいかなどもアドバイスできるのが望ましいでしょう。

不動産業界で働いてきた経験と人脈

最後にこちらが意外と重要ですが、経験と人脈が欲しいところです。多くの不動産コンサルタントは、不動産業界で働いていた方が、独立して起業するケースが目立ちます。

不動産業界で仕事をしている間により多くの人脈を築き、より多くの経験を積んでいることが、不動産コンサルタントとして成功できるかどうかのポイントとなります。企業にコンサルタントとしてアドバイスをするにしても、不動産取引の現場を数多く経験していないと、的確なアドバイスができません。

また、アドバイスをするにはより多くの情報が必要となります。個人で独立起業した場合、ひとりで収集できる情報には限界があります。そんな時に活用できるのが人脈です。不動産業界の人間はもちろん、自治体や国の役人、金融機関の人間に同業者などより多くの情報源を持っていることが重要です。

不動産コンサルティングという仕事は、何かの商品を販売する仕事ではありません。自身の知識や情報を提供するのが仕事ですから、人脈と経験は大きな武器になります。

まとめ

経営企画という仕事は、その会社の経営方針に大きな影響を与える部署になります。この部署が良質な仕事をすることで、その会社自体がより成長していくことになります。

仕事内容は情報の収集とデータの分析。そしてそれらをプレゼンし、最適解を導き出すこと。情報収集のためにはどこにでも出向くフットワークが重要ですし、収集したデータを冷静に分析する能力も求められます。

非常に大きな責任を持つ仕事ではありますが、その分やりがいの大きな仕事でもあります。自分の能力を最大限に生かしたいと思っている方にはオススメの職種といえるでしょう。