令和5年度 国内旅行業務取扱管理者試験の解答速報・試験講評

2023/09/04

9月3日(日)に実施されました、令和5年度 国内旅行業務取扱管理者試験の解答速報・試験講評を公開いたします。

解答速報

9月3日(日)に実施されました、令和5年度 国内旅行業務取扱管理者試験の解答速報を公開いたします。

旅行業法及びこれに基づく命令
(各4点×25問)
(1) (2) (3) (4) (5)
(6) (7) (8) (9) (10)
(11) (12) (13) (14) (15)
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(21) (22) (23) (24) (25)



旅行業約款、運送約款及び宿泊約款
(各4点×25問)
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(1) (2) (3) (4) (5)
(6) (7) (8) (9) (10)
(11) (12) (13) (14) (15)
(16) (17) (18) (19) (20)
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国内旅行実務(1.~4.:各4点×12問、5.~9.:各2点×26問)
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(1) (2)          
         
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(1) (2) (3)① (3)② (4) (5) (6)
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(1) (2)          
         
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(1) (2) (3) (4) (5) (6) (7)
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(1) (2) (3) (4)      
     
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(1) (2) (3) (4) (5)    
   
9
(1) (2) (3) (4)      
     

試験講評

はじめに

本年度の試験問題は、昨年度よりも各科目・分野全般で難度が下がりました。法令、約款は一部でマイナーな知識が出題されていますが、大半は定番といえるものであり、レベルBの難問は昨年よりも1、2問減少し、分野ごとの出題バランスもほぼ例年通りです。

国内旅行実務でも、運賃料金分野、地理分野それぞれ難問が減少しています。ただし運賃分野ではJRの改正点が早速問われ、地理分野では一部のテーマに偏りがあります。このあたりの対応力が成績を分けるものとなりそうです。

合格率は、昨年度(全科目受験者32.9%)を上回り、30%台後半と予想します。一昨年度(全科目受験者40.9%)に迫ることも考えられます。

以下、科目・分野ごとの印象と、主な難しい問題を見ていきましょう。

1.旅行業法及びこれに基づく命令

分野ごとの出題バランスは、ほぼ昨年と同じでした。定番といえる問題が大半で、全体のレベルは昨年よりわずかに易しくなっています。分野別では、昨年より「登録制度」が1問減少して3問となりました。昨年珍しく2問出題された「取引条件の説明」も1問に戻っています。一方、昨年出題されなかった「誇大広告」「業務改善命令」が復活しています。

(6)「営業保証金制度」は難問となりました。正解のウ.は滅多に問われないものです。またイ.は、営業所数は営業保証金の額の算定に無関係です。宅建士試験を勉強した方は引っかかりやすいかも知れません。(14)「広告」も、表示事項が覚えにくいものです。(17)「旅程管理」のイ.とウ.、同じく(18)のイ.とエ.もうっかりしやすい記述です。(17)イ.は、昨年も同じ問題が出ています。説明するだけではなく、旅行に必要な乗車券類等を交付しなければなりません。(23)「旅行サービス手配業」もア.イ.がやや難しいものとなりました。

2.旅行業約款、運送約款及び宿泊約款

約款も、分野ごとの出題バランスは令和3年以来変わりありません。約款でも定番問題が大半を占め、全体では昨年よりもやや易しい内容です。

(1)の「適用範囲」「用語の定義」は、ウ.が従来から定番の引っかけです。正解のエ.は意味がわかりにくいですが、このまま丸暗記の規定です。(5)b.と(6)イ.はそっくりの規定なので、これも引っかからないように注意が必要です。(7)はア.が大定番ですが、エ.で迷った人は、「当該期日の翌日」であることに注意です。(12)の「責任」は、ア.とイ.が難問です。(15)「旅程保証」ア.は、国内線の場合は重要な変更に該当しません。(17)「特別補償規程」のa.b.は記述にひとひねりがあります。

運送・宿泊約款では、第3問フェリーのア.で迷った方もおられるかと思います。フェリーには、損害賠償限度額の具体的な定めがありません。また、第4問のJRも難問です。ア.では、コンパートメント券が抜け落ちています。ただし、現在はコンパートメント席のある列車は存在せず、規則の中にのみ存在する規定です。エ.の小動物は意図的な難問です。

3.国内旅行実務

運賃料金分野からは12問(48点)、地理分野からは26問(52点)と、毎年この配分が逆転しています。今年は、両分野とも超難問といえるものはなく、昨年度よりも易しいレベルでした。

①国内運賃料金

例年、複数問が出題されていた貸切バスは、わずか1問のみでした。これは平成25年以来、10年ぶりのことです。難問である違約料が出題されなかったのは幸いというべきでしょう。

本年は、貸切バスとフェリーの複合問題が出題されました。1つの行程で異なる運賃料金を組み合わせる形式は、3年連続となりました。今後定番化すると見てよいでしょう。

第2問の宿泊料金は、文章問題ではありますが、イ.では計算が必要で、解答に時間がかかる難問です。このような中身の濃い文章問題は国内試験の特徴です。

JRは昨年同様7問出題されました。JRは大きな改正がありましたが、第3問の(1)と(4)で、その知識が問われています。この2問に正しく対応できたか否かで大きな違いとなります。また、第3問(2)では地方交通線のみを乗車する行程が出題されました。国内試験では非常に珍しく、本問が今年の最難問です。また、同(3)でも①が地方交通線がらみで、キロの取り扱いの基本知識が問われました。②と(6)にはマイナー規定が含まれていますが、共に正解が定番問題なので、消去法で答えられます。

②国内観光地理

本年の問題で目立った点は、展望台、峠など、珍しいテーマが出題されたこと、郷土料理と陶磁器など、例年出題されても1問程度のものが、それぞれ2問出題されたこと、NHK大河ドラマ(今年は家康)絡みの問題がかすりもしなかったこと、などです。特に大河ドラマ関連はがっかりした方も多かったと思います。

第5問(5)では「自然島」がヒントになります。ア.とイ.は東京湾外、八景島は人工島なので、消去法で答えたい問題です。第6問は国内試験独自の形式で、(4)(5)が難しかったと思います。また、第7問の(1)は各肢の内容が細かく、難問でしょう。

第8問のモデルコース問題は易しい内容でした。しかし、第9問の組合せ問題ではマイナーな地名・名称が多く、難問が多くなりました。

おわりに

試験後およそ1週間で、全国旅行業協会から正解と合格基準が公表されます。合格基準は例年どおり、各科目について満点の60%以上(1科目60点以上)の正答率となるでしょう。

毎年のことですが、国内旅行実務の成績が合否を左右する要因となります。しっかり改正点に対応できたか、今年は特に重要でした。しかし難問でも、定番選択肢が含まれているものや、消去法で解決できるものもあります。これらで取りこぼしを少しでも減らすことが、合格ライン突破につながります。

引き続き10月の総合試験を受験される方もおられると思います。JRや日本航空の改正点は、何度も確認しておきましょう。

皆様の合格を心からお祈りいたします。

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