簿記とのダブルライセンスで相性のよい資格は?

更新日:2023年3月28日

簿記だけでなくほかの資格も取り、ダブルライセンスを活かしたい方もいるでしょう。資格の組み合わせ次第で、独自のキャリアを望めます。ただし簿記と相性がよくなければ、出世につながらないでしょう。

そこで今回は、簿記とのダブルライセンスで好相性とされる資格を紹介します。それぞれの特徴を見極めて、キャリアメイクのきっかけとしてください。

目次

簿記と相性のよい資格の特徴

まずは簿記と相性がよい資格の特徴を確かめてください。お金の知識の活用や、ビジネススキルの充足などさまざまなポイントがあります。基本的に簿記との共通点があれば、ダブルライセンスに活かせるでしょう。ここでは簿記とセットで活かせる資格の特徴をまとめました。

お金の知識を活かせる

最初のポイントは、お金の知識を活かせる点です。簿記は企業の財務状況を記録、または管理する仕事です。以上からお金との親和性があります。

以上から金融的な知識を求められる資格は、簿記と相性がよいでしょう。ダブルライセンスで出世の可能性を上げたり、独自の働き方をアピールしたりできるからです。たとえばファイナンシャルプランナーのような金融系資格は、簿記の知識とセットで活かせます。企業の財務状況から、経営状態改善に向けた提案ができるでしょう。

このように簿記資格と組み合わせるものは、お金の知識を活かせるタイプが選択肢です。

ビジネススキルを求められる

簿記と相性のよい資格は、ビジネススキルを求められることがあります。企業の社員として働くうえで、大切な知識を問う資格があるのです。ほかにも企業を相手にした職業の資格も当てはまるでしょう。

たとえば社会保険労務士なら、労務管理などで提案が可能です。簿記で財務状況を整理しながら、業務改善に向けたアドバイスができます。以上から有資格者は、企業内で幅広く活躍できるでしょう。

このようにさまざまなビジネスシーンで活躍できる資格は、簿記との相性にも注目です。

ITのスキルを活かせる

ITスキルを活かせる資格も、簿記と好相性です。簿記の仕事では、パソコンを使うことが多いでしょう。実際にExcelやクラウド、ソフトウェアといったデジタルシステムを使い、財務状況をまとめる人がいます。

ITスキルを活かせる代表例が、ITパスポートです。こちらはIT関連の基礎知識を問います。こちらを持っているだけでも、パソコンを使った仕事を柔軟にできるでしょう。経理業務のついでに、デジタルの特殊業務を務められます。

このようにITスキルを問う資格も、簿記との相性が見逃せません。

簿記とのダブルライセンスによるメリット

簿記とのダブルライセンスによるメリットを紹介します。最初は転職に役立つ可能性です。ほかにも独自のキャリアメイクにつながるでしょう。ダブルライセンスの有用性を、以下でまとめました。

転職に役立つ

簿記と特定資格のダブルライセンスは、転職に役立つでしょう。企業の採用担当者によっては、資格を重視します。ダブルライセンスがあれば、人材として評価を受けやすいでしょう。

複数資格はアピールだけでなく、どちらも志望先に関わっていることが大切です。たとえば簿記とFPのダブルライセンスなら、金融業界で重宝を受けるでしょう。FP資格のおかげで、企業や顧客への金銭的アドバイスができます。

このようにダブルライセンスのある人材は、さまざまな可能性を見てもらえます。転職市場でも有利に立てるかもしれません。

独自のキャリアメイクが可能

簿記と特定資格のダブルライセンスがあれば、独自のキャリアメイクも可能です。複数資格の相乗効果から、ほかの人には見られない働き方ができます。独自のワーキングスタイルによって、社会で欠かせない存在になれるでしょう。

たとえば簿記とITパスポートのダブルライセンスがあるとします。ITパスポートでは、データ入力や書類作成関連の知識を活かせます。簿記資格を活かした経理作業も、財務状況をデータや書類にまとめる場面があるのです。

簿記とITパスポートの各知識を活かし、独自のテクニックでスムーズなデータ化ができます。ここまでできれば、人材として高評価を得られるでしょう。

簿記とのダブルライセンスがないことのデメリット

簿記資格だけでは、デメリットがあるかもしれません。競合相手がダブルライセンスを持っていれば、アピールポイントで負ける可能性があります。さらに資格不足によって、キャリアメイクができない可能性に注意です。ここではダブルライセンスを持たないことのデメリットをまとめました。

競合相手との比較から転職がうまくいかないリスク

簿記とのダブルライセンスがないと、転職がうまくいかない可能性があります。競合相手が複数の資格を持っていると、強みをアピールできないからです。

企業によっては、高度な知識を求めるケースがあります。これだと簿記資格だけでは、うまくアピールできない可能性に注意です。

たとえば資格が簿記3級だけとします。こちらは入門資格なので、企業には評価されにくいといえます。ITパスポートやFP2級のような資格と合わせて、初めて努力を認めてもらえるでしょう。転職市場での競合相手も考えると、ダブルライセンスがひとつの選択肢です。

必要資格がないことでキャリアメイクができない

ダブルライセンスを目指さないことで、キャリアメイクができない可能性に注意です。簿記資格があっても、人生計画によってはそれだけで不十分かもしれなません。

たとえば他人へのアドバイスを仕事にして、出世したい場合です。ここではFPや社会保険労務士のような、コンサルティングを主要業務とする資格が求められます。簿記はあくまでも経理向けの資格なので、コンサルタントとしての本格活動にはつながらないでしょう。

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このように人生計画によっては、ダブルライセンスが必要かもしれません。理想のキャリアに合わせて、複数の資格を要する可能性を考えてください。

簿記とのダブルライセンスにおすすめ資格4選

簿記とのダブルライセンスに有用な、4つの資格を紹介します。中小企業診断士、FP、社会保険労務士、ITパスポートです。それぞれの特徴を見ながら、簿記資格とのつながりを考えましょう。ここからは、おすすめ資格の各ポイントを示します。

中小企業診断士

中小企業診断士とは、中小企業の課題を洗い出し、解決方法を伝える専門家です。つまり企業を相手にしたコンサルタントの一種といえます。中小企業診断士が簿記と好相性である理由を見ていきましょう。

おすすめの理由

中小企業診断士がおすすめである理由は、次の2つです。企業内での有用性と、独自の人脈構築になります。簿記もビジネスマン向けの資格ですが、中小企業診断士との併用で、社内での活動性を高められます。

中小企業診断士の有資格者は、企業内での活躍を広められるでしょう。経営コンサルタントの観点から、課題を見つけ、解決方法を社員や上司に提案できるからです。

コミュニケーション能力に長けていれば、アイデアが採用されやすいといえます。さらに社会情勢や社内状況をうまくとらえたアドバイスができれば、勤務先の業績改善につながるでしょう。

また独自の人脈構築にも、中小企業診断士資格がいるようです。資格取得後には実務補習があるので、ここからネットワークを作れます。このような研修後も、仕事を通してさまざまな専門家と知り合えるでしょう。企業の課題解決に向けた情報共有が容易になります。

このように中小企業診断士の資格には、企業戦士として活躍できる可能性があります。

ダブルライセンスのメリット

簿記と中小企業診断士のダブルライセンスは、会計分野での活躍と、他企業分析の可能性に注目です。

たとえば会計分野では、データ整理だけでなく、戦略立案などにもつながるでしょう。簿記の知識を生かして、企業の財政状況をまとめるだけではありません。関連の計算書類をもとに、経営改善に向けた提案ができます。

また他企業分析ができる点も、簿記と中小企業診断士の共通メリットです。簿記の知識で、さまざまな企業の財政状況を分析できます。そして中小企業診断士の立場から取引先の選定や、他企業への改善点の伝授などが可能です。

中小企業診断士は社会貢献の可能性から、簿記資格と相性がよいといえます。

FP(ファイナンシャルプランナー)

FPとは金融関連の総合コンサルタントです。人生の目標のために資金計画を組み、実現方法を考えることをファイナンシャルプランニングといいます。FPはその手助けをする専門家で、簿記との結びつきも見られます。簿記とのダブルライセンスにおすすめの理由を、以下にまとめました。

おすすめの理由

FPがおすすめである理由は2つです。幅広い業界での活躍と、独学での合格の可能性です。

FPはさまざまな業種で通用します。金融業界で活かすイメージが強いといえますが、不動産業界やコンサルティングなどでも活用可能です。たとえば不動産業界では物件取得や相続、ローンなどに関して、柔軟なアドバイスができます。

コンサルタントとしては、顧客に対して支出抑制や収入増加、資産運用時のリスクマネジメントのヒントを伝えられます。

またFPは独学合格の可能性に注目です。たとえばFP2級なら、約300時間の勉強で合格が見えてくるでしょう。資格試験としては、比較的短時間で合格を目指せます。FPは取りやすさとビジネスでの有用性からおすすめです。

ダブルライセンスのメリット

簿記とFPのダブルライセンスは、金融関連の幅広い業務に活かせます。また独立開業にもつながるでしょう。

金融関連では、企業内の経理業務を務めつつ、顧客への金銭的アドバイスも可能です。お金に関して、さまざまな立場の人に助言を与えられるので、活躍できるフィールドが広がるでしょう。

独立開業では、FPのコンサルティングと、簿記での経理知識を両立できます。企業経営では財務状況の把握が重要です。FPとして独立開業する場合は、簿記のスキルも活かして、財務情報の整理もスムーズになるでしょう。

このように簿記とFPは、ともに社会的需要があり、ダブルライセンスとしても組み合わせやすいといえます。

社会保険労務士

社会保険労務士は企業人材の専門家で、「社労士」とも呼ばれます。人事や労務管理に関するアドバイスをするほか、関連手続きの代行も主業務です。社会保険労務士と簿記のダブルライセンスのメリットを、以下でまとめました。

おすすめの理由

社労士の資格があれば、高年収を期待できます。また社会貢献もできて、やりがいを感じられるでしょう。

社労士として高年収を目指せる理由は、独立開業が視野に入るからです。開業後の経営次第では、年収1000万円以上も見えてくるでしょう。また企業内社労士として活躍する場合も、組織を守る役目から高年収を望めます。

社労士は社会貢献につながりやすい職種です。労働者や企業の権利を守るため、社会では社労士の役割がカギになります。企業の健全な運営のためには、自分だけでなく社員や幹部、社長などの権利や法規遵守が大切です。トラブル回避のために、法律の観点から組織を正しい方向へ導くことになります。

このように社労士は社会的な必要性から、高収入も望める資格です。

ダブルライセンスのメリット

簿記と社労士のダブルライセンスには、次の2つのメリットがあります。先に簿記資格を取ることで、社労士試験の予備知識になります。加えて企業の財務状況だけでなく、コンプライアンスのチェックも可能です。

キャリアメイクの観点から、簿記と社労士のダブルライセンスはプラスです。社労士も会計や経理のスキルが求められるため、先に簿記資格を取れば予備知識になります。

また企業をさまざまなポイントから支えられるでしょう。簿記資格を活かした財務状況整理だけでなく、労務管理もできるからです。企業内で柔軟に活躍できる意味でも、簿記と社労士のダブルライセンスはアドバンテージになります。

ITパスポート

ITパスポートとは、ITの入門資格です。国家資格なので、持っていると社会的なアドバンテージになるでしょう。とくにIT業界での活躍や、デジタル関連の仕事を望むなら注目です。ITパスポートと簿記のダブルライセンスについて、以下でメリットを解説します。

おすすめの理由

ITパスポートは国家資格のなかでも、比較的取りやすいでしょう。またIT知識を味方につけた活躍も可能です。

ITパスポートが取りやすいのは、全国でほぼ毎週試験をしているからです。思い立ったらすぐにチャレンジできます。

また資格取得後には、IT知識を味方につけられるでしょう。IT業界に限らず、ほとんどの業界でデジタル機器を使った仕事があります。そうしたところでも、ITパスポートの知識が活きるでしょう。

ダブルライセンスのメリット

簿記とITパスポートのダブルライセンスのメリットは、次の2つです。PCスキルを活かした経理職での活躍と、企業情報の理解につながる点です。

経理業務では、PCスキルを活かした活躍も可能です。簿記の有資格者は、経理を志す場合があります。その仕事では一定のPCスキルが求められるでしょう。そこでITパスポート資格があれば、デジタルに強い人材としてアピールできます。

またITパスポートのおかげで、企業情報の流れを読めるのもポイントです。経理では財務状況をはじめ、企業のさまざまな情報をまとめます。これを正確に読み取り、今後の提案に活かすためには、ITパスポートの知識が有用です。

ITパスポートはIT業界に限らず、パソコンを使ったさまざまな仕事につながります。

簿記とのダブルライセンス成功のポイント

簿記とのダブルライセンス成功には、コツがあります。まずは自身のキャリアについて、掘り下げるべきポイントを決めましょう。ダブルライセンスを目指すなら、まずは簿記資格取得に全力を注いでください。

ダブルライセンスでは多くの勉強時間を取るので、講座選びも重要です。2つの資格を取るための要点を、以下で確かめてください。

掘り下げるべきポイントをチェック

ダブルライセンスを狙うなら、まずは掘り下げるべきポイントを確かめましょう。ここでは、メインテーマの決定が重要です。不動産業界、PCスキル、金融などさまざまなキーワードがあります。そこから大切なものをひとつに絞ってください。

たとえばPCスキルに自信があり、それを伸ばしたいとしましょう。簿記では経理業務でパソコンを使うほか、PCスキルを鍛えられるITパスポートの資格もあります。上記のダブルライセンスがあれば、経理の求人でアピールしやすいでしょう。このようにダブルライセンスを狙うときは、人生のテーマをじっくりと考えてください。

まずは簿記資格取得に全力を注ぐ

ダブルライセンスを目指すなら、まずは簿記資格取得への注力が大事です。簿記2級は独学で、約250~350時間以上で取得できるでしょう。1日3時間の勉強なら、約3カ月~4カ月に相当します。

キャリアメイクを考えるなら、幅広いビジネスシーンで活きる簿記2級以上からがおすすめです。ビジネスシーンでの実効性もあるため、他の資格に先駆けて取っておきましょう。簿記2級以上を先に取り、そこから別資格の取得を頑張ってみてください。

受けやすい講座を探してみよう

簿記とのダブルライセンスを狙うなら、各資格において受けやすい講座を探しましょう。2つの資格を取るには、長い勉強時間を要します。効率的な学習には、プロの教えが欠かせません。

そこで割引のある通学講座や、コンテンツ充実の通信講座などがおすすめです。とくに通信講座は、スマートフォンやパソコンの活用により、時間帯や場所を選ばずに学習できます。生活状況に合わせて、講座を決めましょう。

簿記とのダブルライセンスの注意点

簿記とのダブルライセンスを果たすには、3つの注意点があります。資格取得を目的としないように、先を見続ける意識が大切です。また資格の組み合わせがミスマッチだと、ビジネスに活きません。そして資格学習を始める前には、入念に人生計画を組みましょう。ダブルライセンスの注意点を、以下で紹介します。

資格取得を目的にしないように

資格取得では、ダブルライセンス達成だけを目的にしてはいけません。資格だけを取っても、それを仕事に活かせなければ意味がないからです。

資格試験を受ける以上、不合格のリスクも考えなければいけません。また2つの資格取得にこだわりすぎて、仕事がおろそかにならないように注意です。資格取得だけが目的になり、生活が犠牲になっては意味がありません。生活とのバランスを考えながら、必要な資格取得に力を注ぎましょう。

以上からもダブルライセンスが必要な理由を常に考えながら、キャリアメイクに励んでください。

意味のないダブルライセンスを避けよう

ダブルライセンスでは、資格同士のミスマッチにも注意です。相性の悪い資格だと、片方が活きない可能性があります。

たとえば不動産業界での活躍を目指す場合、簿記資格は企業内業務で活きる可能性があります。しかし簿記以外の資格としてITパスポートなどは、不動産業界とミスマッチになるでしょう。

資格同士の特徴を見極め、共通点を確かめながら組み合わせを決めてください。自分のやりたい仕事に活きるように、資格のマッチングを考えましょう。

入念な人生計画を

ダブルライセンスを目指すなら、入念な人生計画が必要です。ひとつの資格を取るだけでも、一定の学習時間を要します。以上を踏まえて、余分な時間をかけない形でのキャリアメイクを進めましょう。

資格がほしくなったときは、それを活かしてやりたいことを定めてください。これを定年までの人生計画に落とし込みます。ダブルライセンス達成時期の目標や、それを使った仕事の達成などを、計画のなかで決めていく形です。このように資格を求める場合は、大まかでもよいので、人生計画を見直しましょう。

まとめ

簿記はビジネスでの重要資格であるため、さまざまな他資格とのダブルライセンスにもつながります。相手となる資格として中小企業診断士やFPなどがおすすめです。

たとえば中小企業診断士なら、企業の財務状況を整理するだけでなく、そこから今後の経営に向けた提案ができます。またFPも企業や顧客の金融的問題を解決するうえで、味方になるでしょう。

何より大切なのは、資格の多さで満足しないことです。複数の資格を仕事に活かす方法を考え、それに応じたキャリアメイクを果たしてください。

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